アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ギリシャEuro離脱か(GREXIT)

1週間前の議会選挙で、ギリシャは、財政緊縮策の見直しを掲げる急進左派連合が圧勝した。新首相は、同国史上最年少40才のチプラス氏(Alexis Tsiprahs)で、共産主義を崇拝している。これによりギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びてきたと思われる。もともと、しっかりしたドイツの通貨マルクも、いい加減なギリシャの通貨ドラクマDrachmaも、同じ名称の「ユーロ」とするのが土台無理だったのだ。勤労を美徳とする国民と、休暇が人生の最大の目的と考える国民が、同じ通貨を使うからおかしくなる。
 
 Euroという通貨は本来ドイツマルクに代わるしっかりした通貨であるべきだから、この通貨に参加するには、財政赤字GDP3%以下等厳しい条件があった。しかし、ギリシャはでたらめな数字を公表して、財政赤字も債務残高も条件に合ったように見せかけ、Euroに加盟した。インチキがばれたのは、政権が代わった2009年。その時もEuro離脱かEuro圏残留かもめたが、結局、EUIMFから返済不能な金額の救済資金2,400億ユーロ≒32兆円)を借りて急場をしのいだ。しかし、借入額がGDPより大きいから返済できるはずがない。この夏から返済が始まるが、新政権は、借入金の一部返済免除とか返済期限の引き伸ばし、挙句の果てには追加の支援金1,000億ユーロまで交渉しようとしているようだ。もちろん国庫には、返済できる金はない
 
 EUなどがギリシャ支援を決めた時には、同国の財政再建など厳しい条件を付けた。主に公務員関連の出費が多いのと、いい加減な徴税による国家収入が少なすぎるのが問題だった。公務員の数は全人口(1,100万人)の10%で、同規模のオーストリア(人口830万人)が3.6%だから、いかに国の「固定費」が高いかがわかる。全労働人口25%が公務員だ。なぜこうなったか、縁故主義、政治家の口利きなどで公務員をどんどん増やし、しかも公務員の給料は民間企業従業員の二倍ほど、その公務員の年金は現役時代の73-90%EUで最高水準)ももらっていた。他国の年金支給開始年齢が67才のところ、ギリシャ61才から、希望すれば、さほど支給額が減らずに55才に前倒し可能だった。
 
 公務員の大量解雇により税務署職員も人員削減で国家収入は改善しない。新政権は、EUが要求する固定資産税徴収の廃止も主張するから、借入金返済の財源はありえない。一方で、緊縮財政による失業率は26%と、暴動がいつ発生してもおかしくない状況の中で、今回の総選挙が行われた。「借金返済するまで我慢しよう」と訴えて納得してくれる国民ではない。ユーロ圏残留と自分の生活困窮解消のいずれを選ぶか、多数決で決めれば結果は明らかだ。ユーロというメンツにこだわる余裕のないギリシャ人は、最低賃金の引き上げ、年金引き下げ幅の圧縮など目先の利益を追求するから、緊縮財政クソくらえだ。
 
 EUにとってギリシャ経済は2%ほどの重みしかない。この際、未来永劫返済能力のない仲間に対する金融支援は断念し、ギリシャも昔の通貨(Drachma)に戻して、独自の生き方をすべきだと思う。ドイツ式勤労だけが、人生の目的でも美徳でもないはずだから。