アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ユーロの分裂不可避

ある夏休みの旅行で昼食時に高速道路のサービスエリアで見た光景が典型的なゲルマンとラテンの哲学だと思う。優雅な大きいベンツから降りてきたドイツ人家族は組み立て式の椅子を出して用意してきた冷たいサンドイッチを食べ始めた。一方、少し遅れて小さなフィアット (こちらは明らかにぼろ車)からイタリア人家族が5人降りてきたと思ったら優雅にも レストランに食べに行った。車にお金をかけて食事を粗末にするゲルマンと、車にお金をかけず食事にお金をかけるラテンの価値観の違いだ。当然労働に対する倫理観も異なる。両者が同じ通貨ユーロを使っていること自体最初から矛盾を含んでいたと言わざるをえない。重債務国と言われるキリギリス派(主にラテン系)の発行する10年もの国債利率は7%(10年後の返済額は元利合計約2倍)を超えており、まず満額返済できないから踏み倒すしかない。欧州中央銀行から資金援助してもらう条件に緊縮財政の実施があるが、これをやるとギリシャでもイタリアでもスペインでも暴動が起こる。借金の身だから金を使うなと言われているのに金を使わせてくれなければ暴動を起こす。自国通貨があればどんどん増刷して従来通り金を使いながら貨幣価値を切り下げることもできようがユーロではそれができない。一方の債権国の大ボスたるドイツはユーロ共同債(euro bond)は負担が大きすぎて認められないという。アリはいつまでもキリギリスの面倒をみる必要ないという発想だろう。借金が必要で緊縮財政が取れない国はユーロから出て行くしか選択肢はない。もっぱらギリシャはユーロから離脱するとヨーロッパの金融関係者は見ているようだ。ゆくゆくはPIIGS5か国はすべてユーロから離脱するのかもしれない。EUの政治・外交を統一することはできても通貨まで統一するのは価値観・倫理観の異なる国同士で無理があった。