アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

2019年3月からBREXIT


英国May首相が、来年3月までにEUに対し離脱を通知すると発表したのを受けて、通貨ポンドは加速的に下落している。対ドル相場では31年ぶりの安値($1.27/£)という。もともとイギリスは旅行者にとって物価の高い国だったが、それは$2.001.50/£の相場が長く続いていたからだ。1ポンド=200円で換算すると物価は高く感じる。そして今や130円、EU離脱を嫌気してポンドが売られているからだ。やがてユーロ(€、116円)と同じ価値になるのだろうか。


 


英国のEU離脱理由は大きく二つある。国家の主権を取り戻す(EUの政治統合反対)ことと、果てしない移民の受入れ阻止だ。EUに残留している限り、EUの方針に従い、ある程度の移民受け入れはしなければならない。しかし、移民受け入れに反対する英国民は、移民に職を奪われていると感じている中高年労働者が主だ。ここでも経済格差が問題になり、優秀な移民を使って莫大な利益を出している経営者群がある一方で、働けど働けど実質所得が増えない多数の貧困層があるようだ。不満は増加する移民に向けられる。


 


英国は幸にもEUの通貨ユーロを採用していないので、EUから離脱しても、自国の通貨を新たに印刷しなければならないという状況にない。もしギリシャEUを離脱するときは、もはやユーロを使うことはできなくなるから、かなり困難な状況に直面する。英国は金融立国と言われるだけあって、金融関係の労働者が110万人もいる。英経済の12%を金融産業が占めるから、ユーロの経済センターがロンドンからEUの別の都市に移ると、当然人も移動するわけで、国として相当な打撃をこうむるはずだ。


 


英国はユーロを採用していないにもかかわらず、EUの金融センターとしてEU域内で最大のユーロ取引を認めてもらっている。EUメンバーでなくなれば、その特権は当然剥奪される。EU加盟国が金融業の免許を相互に利用できる単一免許(passport)制度も利用できなくなり、英国内で認可された金融商品をそのままEUの他の国で販売できなくなる。既に一部の大手金融機関はロンドンの人員を1,000人単位で移動させると発表しているから、徐々に金融立国の地位は揺らぐだろう。


 


英国がEUとの政治統合を嫌うように、Scotlandも英国の中に残留して一緒にEUを離れることは認められないと主張している。Scotland自治政府の与党「Scotland民族党」(SNP)のNicola Sturgeon党首は住民投票を経て独立する意向だ。人口5億人のEUから英国(6,500万人)が抜けてEUが縮小するように、大英帝国からScotland(人口525万)がぬければ英国自体も縮小する。更に北Ireland(人口180万)も抜けるかもしれない。


 


二度と第二次世界大戦のような悲劇を繰り返さないために考え出された人間の英知「欧州合衆国構想」は終戦時の英首相Winston Churchill1874-1965)の悲願でもあったはずだ。EUに支払う拠出金がもったいない即EU離脱はどうみても世紀の愚行でしかないだろう。