アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ギリシャのユーロ離脱ほぼ確定

ギリシャの昨日の国民投票で、過半数が緊縮財政反対の投票をした。これによりチブラス青年は首相として生き残るが、ギリシャEUの後ろ盾を実質的に失った。政府に資金がないのに、公務員給与、年金を引き下げないとなれば、通貨の価値を下げるしかない。Euro導入に際して旧紙幣Drachma輪転機は破壊したというから、すぐにDrachma紙幣を印刷することもできない。当面は実質的ギリシャ・ユーロ(G€)となる借用証書(IOU)を発行し、通貨として使うしかない。G€とユーロの交換比率は限りなく10:1に向かって下がるだろう。
 
東西ドイツ合併の2-3年前、東ドイツで、東独マルクは西独マルクと公定相場1:1であったが、実質的には8:1だった。東独マルクは東ドイツでも使い勝手が悪くて、タクシーの運転手でも西独マルクで支払ってくれというし、外国人が宿泊するホテルでも東独マルクでの支払いを認めなかったし、要するに紙幣に見える紙切れのようなものだった。英国の銀行で、残った東独マルクを両替してもらおうとしたら扱っていないと断られ、スイスに行って、やっと両替すると言われ喜んだものの、8:1に換算され、価値は12.5%に減ってしまった。それでもゼロよりましとはこのことだ。英国では、紙幣と認めていなかったのだから。
 
ギリシャの公的債務は, EUIMFからの借金(救済資金)2,400億を含めて、3,171億(43兆円)もある。GDPの約1.8倍だから、返済不能であることは誰の目にも明らかだ。富裕層は既に国外に資本を避難させているし、ますますギリシャ国内に資金はない。債務不履行した後のギリシャは、赤字国債の発行も不可能だし、これまで運転資金に充てていた短期国債の発行もできなくなる。となると、年金などの支払いは、政府の借用証書(IOU)で支払うしか方法がなくなる。このIOUギリシャ・ユーロ(G€)とすれば、G€とユーロ(€)の比率は、瞬く間に2:1から10:1になるだろうから、今後のギリシャ国内のインフレが一気に進むだろう。ギリシャは自動車一台も作っておらず、経済は輸入に依存している。
 
 緊縮財政反対と投票した国民の大半は、ユーロから離脱することまで賛成したわけではないという。しかし、資金の貸し手の条件を受けないのであれば、借金を踏み倒して、なおもユーロ圏に残留するなど夢物語だ。せっかく国民投票するなら、「ユーロ残留」か「ユーロ離脱」かの選択にすべきだったが、チプラスはまやかしの国民投票にした。ECBの緊縮財政要求は拒否し、ユーロに残留するのが国民の選択だと言っても、子供が駄々をこねているのと何ら変わらない。
 
 今後、大半のギリシャ人は、物価が高騰し、価値のなくなったG€で受け取った収入で、未来永劫耐乏生活を強いられることになるだろう。(こうなることを予想して、今までに国外に資金を逃避させていた富裕層は、この混乱から免れる) ますます格差は広がり、デモが増えたり、社会不安が増すことになるだろう。約1,100万人のギリシャ人にとって、GREXITは悪夢の始まりだ。