アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

IS最高指導者自爆

2014年よりイラク・シリアにまたがる広大な面積を、「イスラム教の国」(Islamic State = IS)と主張して支配していたISは、国家としてどこの国からも認められず、出身母体であるアルカイーダとも絶縁状態になって、残った戦闘員は世界各地に散らばってテロを起こしている。ISの最高指導者になりあがった者が、昨日の米軍Delta Forceによる急襲で死亡したBaghdadi(バクダディ)と称する享年48才の男だ。生まれた時の名前は別だが、自分の師であったAbu Omar al-BaghdadiにあやかってAbu Bakr al-Baghdadiと名乗っている。イラクアルカイダの指導者であった先輩Baghdadiは2010年5月殺害され、その後継者になったのが、昨日自爆死を遂げたISのBaghdadiだ。

 

もともとISはal-Qaeda(アルカイダ)から派生した一派だが、Osama bin Ladenが生きていた頃は彼に敬意を表して目立った活動をせず、2011年5月、米軍の急襲でbin Ladenが殺害されてから、独自の活動を始めたようだ。bin Ladenは自分たち独自の国家は持たず、アフガニスタンパキスタンあたりに潜伏していた。Baghdadiはイラクの一部からシリアの一部に至る面積を「国家」と称して、最盛期の2015年は年間国家予算$10億(1,000億円以上)も使っていた。油田を支配して石油を売るほか、銀行強盗、身代金目的の誘拐、武器の転売、麻薬の密売等幅広い資金源を持ち、暴力団並みの悪事を働いていた。異教徒の女性、外国人ジャーナリストなどISに「処刑」された数は数えきれない。

 

貧乏な家の4人兄弟の3番目の息子に生まれたBaghdadiが、なぜISという勝手な国を作り、カリフ(Caliph)という予言者ムハンマッド(Muhammad)の後継者と自称して一時的に最大20万人ほどの戦闘員を抱えることができたのか、それは、イスラム教の信仰のせいではなく、単に現状に不満を持つ若者に傭兵という仕事を与え、生活できるほどの給料を払ったからだ。単なる仕事だけでは若者は命を懸けて戦わないので、宗教を利用しただけであり、Baghdadi自身は敬虔なイスラム教徒でもなく、単なる悪党である。たまたま、大学のイスラム学科を卒業して、博士号まで取ったので、イスラム教を若者に都合よく教えることができただけだ。Baghdadiの言葉を信じて戦闘で命を落としたIS戦闘員は既に64,000人になる。

 

最盛期のISにはシリアのアサド政権派(ロシアも含む)から反アサドの外国勢力も含めほぼ周り一体全て反ISとなってしまい、ISの首都と称したラッカ(Raqqa)陥落後は頻繁に隠れ家を変えて逃げていたが、何度かロシア、イラク、シリアなどの空爆で死亡したと報じられた後も、負傷しただけで生き延びており、今年に入ってから何度かビデオメッセージを流して、Baghdadi健在を誇示していた。しかし、これが命取りとなった。

 

クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」に居場所が漏れて、米CIAにその情報が伝わり、今回の奇襲作戦になった。この情報に対する米国の報奨金は$2,500万(約27億円)。Trumpの手柄ではないが、来年の大統領選挙で自分の実績にするには安い金だと思っているだろう。