アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

中国が恐れるノーベル平和賞

 2010年のノーベル平和賞中国共産党による一党独裁の見直しや言論・宗教の自由などを求めた中国人人権活動家で作家・詩人の暁波(リウ・シァオポー、当時54才)に授与された。中国での基本的人権を求める非暴力の戦いを主導したことが評価されたのだが、共産党による一党独裁を未だに続けている中国政府にとって、その存在基盤を揺るがす主張だけに、絶対に認めることはできない。内政干渉だとノーベル財団Norway政府を中国は非難してきた。
 
その劉氏が先週13日癌でなくなった。中国政府は、本人はもとより、本人の妻がノーベル賞を代理受賞するため出国することを認めず、Norwayではノーベル平和賞受賞者が確定しているのに、ノーベル賞の証書も賞金約1.2億円も劉氏は受け取らずに亡くなった。中国人でノーベル賞受賞者は史上、彼ただ一人しかいないという、とてつもなく価値のある人物なのに、中国政府は体制維持に都合悪いとして彼を徹底的に罪人扱いしている。
 
 彼は、米Columbia大学客員研究員として米国滞在中に天安門広場での民主化運動を知り、1989年、学生らに民主化推進を呼びかける公開書簡を発表して帰国、運動に合流した。天安門事件後、1991年まで反革命罪で投獄され、その後も投獄や強制労働の刑罰を二度受けている。中国共産党による一党独裁の見直しや言論・宗教の自由などを求めた2008憲章をきそうして、20096月再度逮捕され、20102月に国家政権転覆扇動罪で懲役11年と政治権利はく奪2年が確定、刑務所に収監されていたが、今年5月末、末期肝臓癌であることが判明し、刑務所外の医療施設で治療を受ける許可が出たところだった。
 
中国は、いずれ、共産党一党独裁政権から、選挙で選ばれた代表者による統治に変わると思われるが、劉氏はその大変革を主導した新中国建国の祖と言われる人物だ。今の政権幹部にとって、その大変革の時期が早く来てしまっては自分の立場が危ないので、自分たちの存命中にそのような時期が来てほしくない。彼の死を機に、中国で大々的な民主化運動が起こったら困るので、彼の墓など作ってほしくない政府は、墓を作れないように遺骨を海葬せよと劉氏の妻(霞氏、56)・兄などに命令し、15日、遺骨は海に流された。遺族は当初、遺体を冷凍して長期間保存したいと希望したが認められず、せめて遺骨だけでも引き取らせてほしいとの願いも中国政府はきき入れなかった。彼のお墓が今後の民主化運動の聖地になることを恐れているからだ。
 
劉氏を罪人と決めつけている中国政府は、彼の妻もほぼ同罪とみなし、政府の管理下に置いているから、出国も認められていないが、ドイツ政府などは受け入れを表明している。不本意ながら夫の海葬に同意したかのように協力してもらったので、劉氏の妻の出国は認められるかもしれない、いや、こうなったら、劉氏の妻が中国国内にいないほうが政府にとって便利なのかもしれない。彼に続く国内の民主化運動家たちが、亡き劉氏の代わりに劉霞(リウ・シア)氏を民主化運動(反政府運動)の象徴に祭り上げ、香港をはじめとする全国各地で本格的な国民運動に発展する恐れがあるからだ。「中国の良心が死んだ」は偉大な彼を追悼するSNS上の国民のささやかな抵抗だ。