アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ばれた一国二制度の本質

香港で、逃亡犯条例(extradition bill)採決をめぐって大規模反対デモが発生、69日に始まった時は100万人位だったが、16日のデモには前代未聞の200万人が参加したという。これほど大勢の香港人が逃亡犯条例に反対する理由は、民主主義国国民が中国共産党を信用していないからだ。香港島には、1842年の第一次阿片戦争以降英国に支配され、民主主義の何たるかを知っている香港人が大勢住んでいる。170年以上自由を謳歌してきた国民が、今更訳の分からない理由で罪状をでっちあげ、思想矯正施設に収容されるのはかなわないという思いがある。
 
現行の逃亡犯条例は、米英等20カ国と協定を結んでいて、香港外で犯罪に関わり香港内に逃げ込んだ容疑者を、協定相手国の要請に応じて引き渡すことができるが、香港以外の中国には適用しないとしている。今回問題になった逃亡犯条例改正案では、容疑者を中国本土に移送することが可能になる。中国の代弁者である行政長官Carrie Lam(林鄭月娥)が、国会で強引に法案を通そうとしたが、空前の大規模抗議運動により実質的廃案になった。
 
いつまでたっても共産党独裁体制を続ける中国は、香港が英国から返還されるのを機に、ゆくゆくは台湾を取り込むという魂胆から、併合しても50年間は一国二制度を維持し、高度の自治を認め、中国の制度を押し付けないと約束をした(鄧小平の時代)。返還後、香港の行政長官は普通選挙で住民が選ぶと香港特別行政区基本法を制定したにもかかわらず、実際に、2014年、第一回行政長官選挙に際しては、中国に反対する人物の立候補を認めず、正々堂々と一国二制度の約束を破った。現行政長官Carrie Lamという女性はこの選挙で選ばれた、中国公認の傀儡首相/知事だ。この選挙の時も香港では大規模な抗議行動が起こり、雨傘革命として知られている。
 
今回の反逃亡犯条例運動は、デモの規模では前回を上回る大規模なものだという。全人口の4分の1、約200万人というから、東京24区(人口957万人)に例えれば、約240万人が国会周辺に集まったような規模だ。学生運動家とか、特定の政党、集団が集客したものでもなく、参加者はごく一般の人々、それも先が長い若者が特に多いとのことで、抗議行動の指導者不在が特徴のデモだ。途中で、Carrie Lam行政長官がこのデモを「暴動」と規定したことから、今回は本能的にやばいと感じて、静かに家に残っているわけにいかず、自発的に街頭に出て行った人が多いそうだ。これは香港人全体の問題、我らの香港を守れ、と自主的にデモに参加した人が街を埋め尽くした。
 
とりあえず、今回は、逃亡犯条例は廃案になったが、ほとぼりが冷めた頃にはまたやってくるだろう。中国外務省は、今回の大規模抗議行動を見て、会見で、香港から中国本土への容疑者の引き渡しを可能にする条例改正は必要だと強調している。いずれ2047年には一国二制度は終わるのだが、それまで待てないと。そして、今週末の大阪G20で、諸外国がこの香港問題を議題にするのは内政干渉であり、断固反対と予防線を張っている。米国は、国際法違反であり、国民に対する催涙ガスなど人権問題だと議題にする意向だ。香港人は、2047年までに中国共産党を排除することはできないものか、今後もっと知恵を絞るのだろう。