アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

暗黒の香港

 6月30日、香港国家安全維持法が成立、翌7月1日から施行された。一国二制度と国際的に公約した期間50年を待たず、1997年7月1日、英国から中国に返還後23年で、高度な自治を認められたはずの国際公約は中国側から一方的に破棄された。英中共同声明によれば、香港は、少なくとも返還後50年間はそれまでの英国並みの香港独自の統治を認めるという前提だったが、7月1日からは、その香港はこの地球上に存在せず、共産中国の完全な一部になってしまった。

 

 もともと香港の「憲法」は香港基本法であり、言論・報道の自由、デモやストライキの権利など中国では認められない権利も認められていた。しかも、香港政府には、行政管理権、立法権、独立した司法権及び終審権が与えられていたが、昨年の逃亡犯条例改正案が不成立になってから、中国共産党がしびれを切らして、あからさまに香港に直接介入する法律を制定し、それを香港基本法の中に組み込んだから、もはや一国二制度は完璧に消え去り、香港は中国並みの共産党が支配する準都市国家に成り下がった。

 

 中国は、1年前から逃亡犯条例を作るよう香港を指導してきたが、住民の反対にあい実現しなかったどころか、それがきっかけになって香港住民により中国の政治介入断固反対という強烈な市民運動が続き、業を煮やした中国が、今回は正々堂々と香港に介入してきたのだ。英米など外国から非難されても「内政干渉」と居直るだけ。米国は昨年11月、香港人権法を成立させ、先月にはウイグル人権法も成立させて、中国政府関係者で、香港・ウイグルにおいて人権弾圧に関わった者らに制裁を科すと準備を整えてきた。一時は中国を同胞扱いしていた英国も、ここにきて中国排除に動き、Hua Weiの5Gも英国から締め出すと方針を転換した。また自由のなくなった香港から英国に帰化したい者には入国・就労のVISAも発給すると救いの手を差し出した。

 

 一国二制度は、将来的に台湾を中国に組み込みたい中国共産党が考え出したまやかしの法律で、その当時は中国の経済的地位が圧倒的に低く、発展途上国が先進国台湾・香港を取り込むには自由主義を信仰する台湾人や香港人の自由を禁止するわけにいかなかったため、苦し紛れに鄧小平が英国に提案した制度だ。

 

 今後、「国家分裂」「政権転覆」「テロ活動」「国家安全に危害を加える行為」は即犯罪となり、最高「終身刑」となる。台湾やウイグルなどの分離独立を叫ぶと国家分裂罪、民主化運動に参加すると政権転覆罪、デモ行進をしてもテロ活動罪、インターネットやマスコミで中国共産党批判の発言をすると国家安全危害罪となり、完全に政治的な自由がなくなる。もともと、共産党中国は、法の支配という西洋の概念を否定しており、習近平は、三権分立、司法の独立など絶対に許してはならないと主張している完全独裁者だ。中世の国王のように、「国王の言うことが法律だ」と主張するのではなく、表向きは「中国共産党の決定が法律だ」と言いつつ、自分が中国共産党を自由自在に操っているのだから、国王より一層たちが悪い。世界は、これから一党独裁中国と民主主義を主張する国々の二派に分かれて、戦い始めることになるだろう。