アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

生涯現役だった医者の教え

生涯現役の医者だった日野原重明氏が106才の手前で亡くなった。1059か月2週間の壮大な人生だった。58才の時、福岡の医学学会に出席するため、日航機「よど号」に乗って赤軍派のハイジャックに遇い、4日間人質になるも、運よく韓国金浦空港で解放された。その時は、他の拘束された乗客と同じく死を覚悟したという。事件後、自分は命を与えられたと人生観まで変わったと述懐している。それから、生かされている最後の瞬間まで、人は誰でも「人生の現役」なのだと悟ったそうだ。
 
「成人病」という呼称を「生活習慣病」に改めさせたり、予防医学の重要性を説いて人間ドックを日本で最初に始めたりと、医者としての功績は全国的に知れ渡っている。65才を過ぎたら腹八分どころか腹七分だと指導しているそうだから、僕も lunch buffetでは食べ過ぎないように気を付けなければならない。年を取ると若いころとは違って運動量が減るので、節食を心がけるべきだという。
 
彼はユダヤ人哲学者Martin Buberの言葉「人は始めることさえ忘れなければ、いつまでも若くある」が気に入っているという。生物的な「老化」は避けられない現象だが、自ら新しいことを始めていれば精神的な「老い」は避けられる。つまり、新しいことへの挑戦を続ければ、体は老い衰えても、心の若さはいつまでも続くはずだ。だから、「新しいことを創(はじ)められる人は、いくつになっても老いることがない」を、生涯現役医者は座右の銘としていた。それまでやったことのないことをやることによって、使ったことのない脳が働き出すから、認知症にもなりにくい。僕もわずかながら影響を受けて、54才で行政書士試験科目の勉強を独学で始め、64才でピアノ独習を始め、65才で社交ダンスを習い始めた。彼は100才で俳句を始め、103才で乗馬を始めたというから、僕もこの先何を始めるべきか、暇な時に考えておこうと思う。人生とは未知の自分に挑戦することだから。
 
人生には無駄というものがないともいう。我々は不本意ながら無駄になったことをしでかしては反省をする。しかし、後にならないと、無駄でなかったことがわからない。つらい経験、苦しい経験、失敗でもそれはその人にとってよい教訓であり、将来の強みになる。彼は医学部の学生の頃に結核になり1年以上病床にした経験がある。当然留年もする。しかし、その経験があるからこそ患者さんの気持ちがほかの医者よりよくわかるようになったのだ。100才になっても同年代の医者の何倍もの仕事をこなしていたのは、結核を克服することで、病気全般に対する、免疫力、抵抗力が高まった身体と彼は分析している。
 
結核という大病を経験したことで、些細な健康を喜ぶことができるようになった。幸福というものは、失われかけて初めて気が付くものだ。最後に自分の障害を顧みて、自らが生まれてこうなったことは意味があると考えられるように今日を生きることが大切だと教えてくれる。何か目標を持って活動している人に元気な人が多い。いつまでも目標をもって新しいことに挑戦しよう。