アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

対馬・観音寺の仏像返還に光明

 2012年10月、長崎県対馬市の観音寺で、県指定の有形文化財「高麗金銅観世音菩薩坐像」が韓国の窃盗団に盗まれ、韓国に持ち去られるという事件があった。同窃盗団は同じ対馬市の海神神社から国指定の重要文化財銅造如来立像」も盗んで韓国に持ち帰ったが、3カ月後、韓国警察は窃盗犯を逮捕し、仏像を回収した。窃盗団の主犯格の男は70代の兄で、民家や商店への空き巣を常習的に繰り返しており、弟は文化財・古美術品を中心に窃盗を繰り返している仲良し兄弟。窃盗の実行犯や運搬役、売買人など窃盗に関わった犯人7人が捕まり裁判にかけられた。7人の前科を合わすと56犯になると言うから、この道のプロばかりだ。もちろん服役経験も豊富な者たちだ。

 

 窃盗団は刑事裁判にかけられ、そのうちの6人に1年~4年の懲役刑が確定した。犯人の刑罰が確定すれば、盗まれた物品は元の所有者へ戻されるのが原則なので、銅造如来立像は無事2015年7月、海神神社に返還された。しかし、もう一方の観世音菩薩坐像はまだ返還されていない。この仏像の「所有者」を名乗る寺が現れて、仏像は14世紀に浮石寺(プソクサ)で作られたものが倭寇に略奪されて日本に渡ったはずだと主張したからだ。もちろん、古い昔のことであり、倭寇が略奪したことを証明する証拠は何もない。

 

 観音寺が韓国政府に盗品の返還を訴える嘆願書を提出すると、浮石寺は、元来うちの寺の所有物だから引き渡せと韓国政府に訴状を提出した。その結果、2017年1月、大田(テジョン)地裁は、窃盗団が盗んだ観世音菩薩坐像は、もともと浮石寺の所有物であると認め、日本に返還する必要はないと判決を出した。「倭寇が略奪したことは充分推認できる」のだそうだ。韓国政府は、反日の大統領が続いていたものの、14世紀の倭寇の略奪が事の発端だから、韓国の窃盗団がそれを取り返したところで罪には問えないなどとふざけたことは言わず、なんとか裁判で決着をつけて早く日本に返してやれと考えていたようだ。

 

 浮石寺に返せという原告勝訴となった1審判決で、負けたのは韓国政府だが、今度は韓国政府が原告として大田高裁に控訴した。昨年6月、観音寺側が補助参加人として初出廷、改めて観音寺の正当な所有権を主張した。昨日、2審の控訴審判決があり、今度は観音寺側の所有権を認める逆転判決となった。日韓民法の返還請求権の時効(10年)にもかかっており、14世紀の浮石寺と現在の浮石寺が同一の寺院だとする証明が不十分として、所有権継承を認めなかった。敵は上告する意向のようだが、盗品が返還されないという不条理はどこの国でもあり得ない。あくまでも、これは窃盗団による窃盗事件であり、犯人が捕まったら、盗品は返却するのが人の世の常識だ。