アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

マンション騒音紛争

マンション上下階の騒音問題は刑事事件に発展することもあり裁判でも争われる深刻な問題だ。平成19(2007)年12月、愛知県東浦町の分譲マンションで、35才の女性が自宅の玄関先で腹などを刺されて重傷を負う事件が発生したが、犯人は同じマンションで真下の部屋に住む38才の男だった。被害女性宅(夫と子供3人の5人家族)の足音や物音がうるさかったことに腹を立て、犯行におよんだ。毎日のように天井から音がして辛抱できなくなりキレたという。類似の事件は少なくない。上下の階を隔てているコンクリートの厚さが1980年代の標準が12cm程度だったので古いマンション或いは賃貸マンションで階下の騒音が問題になる。最近の分譲マンションのコンクリートの厚さは20cmほどあるので幾分改善されてはいるが、子どもが跳びはねる音などの重量衝撃音を抑えるのは基本的に難しい。東京地判平19.10.3で争われた騒音は、上階の4才くらいの子供の走りまわる音や跳びはねる音がほぼ毎日50-65dB(デシベル)にもなり、しばしば7pm~深夜に及ぶというものだ。階下の住人が分譲マンションの管理組合や警察に注意してもらったがらちあかず裁判に訴えた。東京地裁は一般社会生活上の受忍限度を超えているとして慰謝料30万円と弁護士費用の一部6万円の支払いを命じた。今月出た同じ東京地裁の判決は慰謝料60万円と騒音の調査費用64万円の支払いを命じるものだった。東京地判平24.3.16で問題になった騒音も上階の住人の子供の走りまわる音や跳びはねる音が問題となった。下階に住む夫婦は騒音にたまりかねて騒音の測定を専門業者に依頼したところ、昼間だけでなく夜9時以降も45~66dBと証明された。東京地裁は子どもの騒音に配慮すべき義務を上階に住む親が怠ったと判断して、午後9時~午前7時までは40dB、午前7時~午後9時までは53dBに達する音を出してはならないと命じた。

静かな住宅地の騒音=40dB
劇場・映画館の観客のざわめき=50dB
レストラン・大きな商店・ホテルのロビーなどの音量=60dB
銀行のロビー・騒がしい事務所などの音量=70dB

要するに夜間一般的な静かな住宅地の環境を維持することができない住人は、騒音配慮義務違反という不法行為に対して損害賠償責任を負うのであり、階下の住人の環境権を侵してはならないということだ。