アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

サムスン電子の敗北

昨年純利益9,500億円(13.7兆Won)を出したという韓国No.1の稼ぎ頭Samsung電子のスマートフォンが米国Appleにモノマネと訴えられていた裁判の判決が先月末出た。2008年日本でも売り出したAppleスマートフォンiPhone(国内販売会社はSoftBank & AU)の対抗馬として2010年から日本で売り出したSamsung電子のスマートフォンGalaxy(国内販売会社はNTT Docomo & AU)はAppleの特許を侵害しておりiPhoneのデザインの模倣品であると米国California州の北部連邦地裁が断じた。Samsung電子の100%敗訴である。

判決(評決)ではAppleの4年間の投資と独創的な開発能力をSamsung電子は3ヶ月で模倣し、取り入れたとした。特許侵害の賠償としてSamsung電子には約820憶円(10.5億法砲了拱Гい鯡燭犬拭この高額賠償金自体はSamsung電子の昨年の1ヶ月分の利益相当だから大した打撃ではないだろうが、裁判で指摘された模倣品メーカーの汚名は、世界市場で販売を伸ばしていた韓国の企業にとって今後body blowのように効いてくるだろう。

特許侵害の問題はさておき、デザインを真似した、真似されたという問題は繊維業界なら日常茶飯事だ。早い話がfast fashionと言われているところはH&MZara、Gap、Uniqloに限らずどこもここもトップブランドのデザインをいち早く真似し、多少の修正を加えて市場に出している。まったく同じでなければマネとはいえないと勝手に信じているはずだ。規模の小さいfast fashionの中にはデザインも色もずばり同じコピーを出しているところもある。しかも市場に出る時期も限りなく本物と同時期だ。相手が小手であれば裁判に訴える手間も暇ももったいないから諦めようということになるだろうし、デザインも色もよく似ていても素材が異なると言い訳されたりもするだろう。

世界で売れている先行商品の優位点をよく分析し、短期間に取り入れ安価に提供するのが私企業の成長の法則だ。トヨタだって自動車を発明したわけでもないのにHenry Fordの自動車を分析して改良版を安く作り世界一になった。企業間における製品のコピーを正当だと解説するハーバード大経営大学院教授の見解もある。

しかしAppleにとってSamsung電子は小手ではない。世界販売台数はiPhoneの2.4億台に対して、模倣品とされたGalaxyは5,000万台にもなる。しかもiPhoneの部品にはSamsung電子のprocessor、液晶display、memory chip等が使われていた。一介の下請け企業であったSamsung電子は最終製品でAppleと競合するライバルだったのだ。こうなったからには今後の新型iPhone用の部品をSamsungに発注するのを大幅に減らすと発表、既に半導体memoryはエルピーダメモリに、液晶displayはシャープなどに、memory chipは東芝などに大量発注したそうだ。米韓の裁判沙汰は日系企業には干天の慈雨、Appleによる本格的「Samsung切り」が始まった。