アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

当りくじないのは当たり前

「夏祭り 夜店のくじに 当りなし」
「当たり前 何度引いても はずれだけ」
「このやろう 看板はずせ 店たため」

先日、大阪市内の夏祭り夜店で、当りの入っていないくじを客に引かせ、詐欺の疑いで男(45才)が逮捕された。1から100までの数字が書かれたくじを一回300円、二回500円で引かせ、60以上の数字が出たら、高価なゲーム機などと交換できるとうたっていた。3人の客が14,000円つぎ込んで合計56回くじを引いてもすべてはずれだったことから、警察に相談したという。警察官がすぐに張り込みをして、100人の客がくじを引いても一つも当りが出ないのを確認した。警官がくじの入ったかごを調べたところ54までの番号しかなく、当りくじは男が別に持っていた。

くじを納める業者は、当りくじとはずれくじを区別して渡すので、当りくじをわざと箱に入れないことだってできるわけだ。こうしてこの男は27日一日だけで10万円ほどの売り上げがあったというから、400回ほどくじ引きさせて400回はずれくじをつかませていた。そんなに多くの人をだますことができた仕掛けは、高額な商品を並べていたからというも、中身なしの空箱だけを並べていたそうだ。問屋街には人気商品の空箱だけを売っている店もあり、主に露店がくじの目玉に買っていくという。そんな空箱だけの商売をしている問屋も共犯同然だと思うが、はずれくじだけの甘い商売をさせてもらっている男の背景に、暴力団がいることを警察は見抜いていて、背後関係を調べている。

2009年、福岡県で指定暴力団幹部(当時43才)ら3人が、暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕される事件があった。カラオケ店で、UFOキャッチャーのカプセル内のくじがすべて空くじだったため激怒し、「この落とし前どうするとか」と店長を脅したのだ。3人はゲーム機で数個のカプセルを取ったが、中のくじがすべて空くじだったため、カラオケ店主に迫って、ゲーム機内に残っていた約180個のカプセルを1個当たり、正規のゲーム料金の100円で買い取り(合計18,000円支払う)、その場でくじを開封、結果、当たりが一つもなかったことから事件に発展した。店主は警察の参考人聴取に「何回かに1回は当たりを入れてある」と話しており、この場合、三人組ご来店の前に当りが出尽くした可能性もあり、店側の詐欺罪は成立しなかった。それにしても当りを入れないというのはこの業界の常識であり、三人組はその事情を見抜いて買い占めたはずだ。

大阪の夜店では詐欺(刑法§246)の正犯、福岡のカラオケ店では、詐欺被害に遭ったと言い張って店主に対する脅迫(刑法§222)で有罪になったり、とかくくじやゲーム機にからむ問題を起こすのは同類の人間のようだ。なけなしのお小遣いを投資して夢を買おうとする子どもを食いものにしている大人がおり、一方でそんな大人を食いものにしようとする別のやつもいる。世の中こんなものよ、社会勉強と思って諦めな、なんて子どもには言えない。ただ、夜店のくじは買うなよと諭すしかないのだろうか。