アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

嘘をつく文化を大切にする韓国

 嘘をつくことは韓国でもどこの国でも犯罪だ。しかし、日韓関係史が専門の李東原(イ・ドンウォン)氏の説によると、韓国人(朝鮮人)が嘘をつくのはDNAに組み込まれているからという。古くから隣の大国(中国)に支配され、途中モンゴル帝国の傘下に入り、その後また中国の属国となるも、日清戦争で中国が負けると、今度は日本に併合され、第二次世界大戦が終わるまで日本の統治下にあった。このような運命の国民が生き延びるには、嘘も方便と信じて実行するしかない。現にかの国では、目的が「善」ならば嘘(善意の嘘)は大目に見るのが当たり前なのだそうだ。お世辞は一種の嘘だが、事実に反して相手を褒める嘘なので、当然善意の嘘として受け入れられる。

 

 韓国の小学校では、教科書でスッポンとウサギの逸話を習う。竜王様の肝の移植手術のために、ウサギの肝が必要で、スッポンが陸に上がって、ウサギを竜宮まで誘いだし連れてくるという話。スッポンは、竜宮に行けば幸せに暮らせると嘘をついて、まんまとウサギを竜宮まで連れてくる。しかし、ウサギは肝を取られる直前に、肝を陸に忘れてきたという機転の利いた嘘をついて、自分の命を救った。スッポンもウサギも嘘つきだが、主君・竜王様に対する臣下・スッポンの忠誠心を評価する教えであり、嘘が悪いと教えられなかった。ウサギの嘘は生き抜くための知恵の象徴とみなされ、そのために君たちはよく勉強しなさいと教えられるのだそうだ。

 

 しかし、善意の嘘をつき続けると、たまには、うっかり善意でない嘘もついてしまう。現在、日韓で問題になっている徴用工問題が、典型的な韓国型嘘の典型だ。過去のレーダー照射問題も、日本側があれだけ証拠を提示しても、認めようとしない。朴槿恵(パク・クネ)前大統領までほぼすべての過去の韓国大統領は、現役時代の不正蓄財で、投獄されるか自殺を選んでいる。根底には、肝臓を陸に忘れてきたというウサギの奢りがあるのだろう。結果至上主義だから、騙される人はその程度、騙した自分の方が賢いのだということだ。

 

 李東原氏は、詐欺罪で起訴される件数から、韓国人は根っからの嘘つきのDNAを持っていると分析している。2013年の統計だが、韓国で詐欺罪で起訴された件数は29万件、これはOECD加盟37か国中、人口比で最高だという。日本は、詐欺罪で起訴される件数は2019年統計で7,863件、日本の人口は韓国の2.5倍、日本の詐欺罪起訴件数が韓国並みになると72万件になるから、検察官、裁判官を大幅に増やさなければ、詐欺大国・韓国の司法に追いつかない。

 

 裁判所で嘘を言ういわゆる「偽証罪」の起訴件数も、韓国は世界最高水準。2007年の統計だが、偽証罪で起訴された件数は、韓国で1,544件、日本では9件(但し、昨年はゼロ)。人口比率では400倍以上の開きがある。これは嘘をつくDNA以外では説明がつかないというのだ。我が国で、IR汚職により逮捕され、保釈中に法廷で偽証してくれと2,000万円の現金を証人に持っていって依頼した国会議員(自民党・秋元司)が先般再々逮捕されたが、これは例外的な事件。お隣の韓国ではごく普通の日常であるばかりか、庶民から国会議員、大統領までほぼみんな息を吸うかのように嘘をつくのだそうだ。この記事の著者、李東原氏は韓国人、自身の出自に対して、「顔から火が出る思いがした」と告白している。今、彼はこのDNAを消し去りたいと日々努力し始めたそうだ。

あの世から生還の例

 先週、米Michigan州の町で、脳性麻痺で死亡した20才の女性が死亡宣告後、葬儀場で生き返ったというニュースが流れた。8月23日、Timesha Beauchampという女性が自宅で泡を吹き呼吸困難に陥って倒れているところを家族が発見、救急車が到着した時は既に呼吸をしておらず、30分ほど心肺蘇生を試みるも息を吹き返さなかった。その後、医師が死亡を確認し、死亡宣告をしたので、家族は、遺体を遺体収納袋に入れて葬儀場に運んだ。埋葬の前に遺体から血液を抜いて防腐液を注入する防腐処理(embalming)という工程があり、そのために遺体整復師が遺体収納袋のジッパーを開けると、「遺体が」パッチリ目を開けたという。

 

 心肺停止で脈もなく、医師の死亡宣告から3時間以上経っており、家族も葬儀場の係りの人も驚いて、すぐに葬儀場から病院に連れて行ったという。27日(新聞記事)の時点では、ICUで人工呼吸器につながれて経過観察中とのことだが、死亡宣告をした医師の判断ミスというよりは、本当に死亡していた時間があったのだと考えなければ説明がつかない。

 

 今年2月17日、ウクライナで83才の女性が自宅で倒れ、救急隊員が駆けつけて呼吸が停止したことを確認、念のため心電図も取ったが心臓の動きは全く見られず、医師が死亡診断書を作成した。高齢の母親を埋葬するため、墓掘りが雇われ、準備中に娘が母親の頬に触れたところ、不思議なことに暖かく感じたという。死亡宣告から10時間ほど経過しており、病院に運んだところ昏睡状態に陥っており、生命の兆候がほとんど見られないと判断された。しかし、治療を続けていくうちに、彼女は昏睡状態から抜け出し、意識を取り戻した。医師が再検査しても、彼女は健康上問題がない状態であることが確認されたとのこと。

 

 昏睡状態で死んでいる間の感想を、地元の新聞の取材できかれた女性は、「私は天国にいて、父を呼んでいた」と記憶していたそうだ。元看護師のこの女性は、多くの患者を救うために働いてきたので、神様が私にご加護を与えてくださったのでしょうと考えている。彼女は「死亡」後1週間で退院し、その後は健康で元気に過ごしているという。僕の7才上の姉は十数年前心筋梗塞で3週間ほど意識のない状態が続き、もうだめかと思っていたらその後意識が戻り、後遺症はあるもののまだ生きている。意識のなかった頃の記憶があるか尋ねたら、舟で川を渡って対岸に着く前に誰かに「帰れ」と言われたとのこと。(三途の川のことか?)

 

 2014年12月、インドで、72才の男性が突然死したため、親族が葬儀をとり行い、ヒンドゥー教のしきたりで木片や布など燃えやすいものを集めて火葬の準備をしていたところ、着火の寸前に突然目を開け上体を起こしたという。息も脈も確認できないため医者が死亡を宣告したのだが、気絶してほぼ死んだ状態だったのが実際のところだったようだ。「死亡」している間、複数の人に「起きろ!目を覚ませ!」と叫ばれて目が覚めたのだという。危うく焼き殺される直前に目が覚めて運がよかったのかもしれないが、この世には、完全に死んでいないのに、埋葬されたり火葬されたりする人も稀にいるのかなと思う事件だ。

英西間300年来の領土問題

 大英帝国が1704年に占領したスペイン南端の半島ジブラルタル(Gibraltar、対岸はモロッコ)が、本年末の英国EU離脱を機に、英西間の古い領土問題として現実的課題になってきた。300年前、スペイン継承戦争(1701~1714年)というのがあり、スペインの王位継承問題に、他国である英国が首を突っ込み、軍隊を派遣してスペインの領土を侵略して今も居座っている。Gibraltarがイギリス王領植民地(crown colonies = 国連の表記、英国は単に「海外領土」= overseas territoryと呼ぶ)として現在も英国の支配下にある事実は、300年以上前、英国がスペイン王位後継問題に内政干渉して、どさくさの中で占領した半島であり、第二次大戦後、国連は植民地の独立を支援する方針をとったにも拘わらず、英国は違法にもスペインの中で植民地を維持し続けている。

 

 300年ほど前のスペインでは、当時の国王カルロス2世(Carlos Ⅱ)に子がなく、フランス王ルイ14世(Louis XIV、ブルボン家=Bourbon=)が自分の孫Felipeをスペイン王として認めてもらうために、イギリス海軍が占領したGibraltarを英国領とすることを認めたのだ。1713年のいわゆるユトレヒト条約(英国対仏西)。英国海軍にとって、自国から離れたイベリア半島に自国領土があると、軍艦の補給などで大いに役立つが、今はその必要もなく、単に一旦自国の領土になったものを減らしたくないというだけだ(他に排他的経済水域の漁業権などあり)。アルゼンチン沖にあるフォークランド(Falkland)島も同じような理由で英国の海外領土だ。経緯は違うが、ロシアが実効支配している北方四島も、ロシアは既得権益と考えているので手放さないのだろう。

 

 Carlos Ⅱの前までのスペインはAustriaハプスブルク家(Habsburg)の王だったが、300年前からフランスBourbon家の王になり、一時中断してJuan Carlos → Felipe現国王に引き継がれている。その間ずっとスペイン南端の半島Gibraltar(6.5㎢)は英国の所有となっている。英国は、本年12月31日で正式にEUから離脱するので、イベリア半島にはスペイン・ポルトガルというEU加盟国しかないはずが、GibraltarだけはEUでないということになり、国境を復活させなければならない。人口3.4万人のGibraltarに、1.4万人のスペイン人が毎日「国境」を渡って働きに行っているので、一人5秒かかるpassport controlにスペイン側、英国側でそれぞれ少なくとも20人くらいの係り員を配置しなければならない。しかも越境労働者の長蛇の列ができるはずだから、通勤時間が毎日1時間余計かかることになる。

 

 英国が、EU離脱を決めたことで、Gibraltarはいよいよ自分たちの運命を、自分たちで決めなければならない時が迫りつつある。スペインはこれを機に、主権をスペインに返せと動き始めている。過去には英西共同主権をスペインが提案したこともあったが、英国が拒否している。Gibraltarが独立したらどうかという考えもあるが、人口3.4万人の弱小国にとり、これは現実的ではない。人口の半分以上は英国人・スペイン人の末裔だが、2002年の調査では、住民は英西共同主権を望まず、英国への帰属を圧倒的多数で希望した。その後の英国EU離脱投票では96%の住民がEU残留を希望した。こうなったら、再度住民投票をして、EUのスペインかEUでない英国かをGibraltarの住民に決めさせ、その決定に両国が従うしか方法はないのではないか。

スペイン前国王ほぼ罪人

 2012年4月、母国スペインが経済危機のさなか、アフリカ南部ボツワナの王族関係者の招きで、当時の国王ファン・カルロス(Juan Carlos)は、「優雅な」象狩りで豪遊中に転んで股関節を折り、旅行を切り上げてprivate jetで急遽帰国、Madridの病院で手術を受ける羽目になった。このお忍び旅行には、デンマーク人女性実業家(Corinna zu Sayn-Wittgenstein、当時48才、夫とは離婚)が同伴しており、怒ったSofia女王が病院の夫に面会に行ったのは、入院3日後だった。Juan Carlosは、長年、野生動物保護を掲げる国際的NGO世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature = WWF)スペイン支部の名誉総裁の地位にいたにも拘わらず、この旅行で、死んだゾウの横でライフルを持って撮った写真などが公表され、WWFスペイン支部名誉総裁は解任された。

 

 この象狩り旅行が契機となって2014年6月、76才で国王を退任、息子のFelipeに王位を譲り、自分は「名誉国王」になる。ところが、この名誉国王は、女王のほかに愛人がたくさんいることが昔から知られており、僕がスペインに駐在していた1990年代、国王がBarcelonaに来る時はいつもMallorca島に住む女性と逢引きしていたと言われていた。現にBotafumeiroという海鮮レストランには、Juan Carlosが女王Sofiaでない別の女性と一緒に写っていた写真が飾られており、国王の愛人として広く知られていた。英国の新聞(2017年8月)にも前国王のMallorca島でのvacationとして、Marta Gayaと一緒にいる写真が出ている。

 

 Juan Carlosは本年6月からスペイン・スイス両方の裁判所から賄賂・資金洗浄の罪で事情聴取を受けている最中だ。この追求から逃れるためか、彼は先週、現国王である息子Felipeに置き手紙を残してアラブ首長国連邦UAE)に従者4名を連れて亡命した。首都Abu Dhabiの高級ホテルEmirates Palaceの1フロア(1泊$1万≒106万円)を借りている。彼はスペインから年間19.4万ユーロ(約2,400万円)の生活費を受け取っている身分なので、生活費に事欠くことはないが、愛人にお小遣いを渡すための財源が必要で、今問題になっているのは、Saudi Arabiaの高速鉄道工事(2011年、総額€67億≒8,400億円)をスペインの事業者が受注する過程で、国王に$1億(106億円)の口銭をSaudi Arabia王家からJuan Carlosのスイスの口座に支払われたというものだ。

 

 Juan Carlosは各国の王家からスペイン企業が受注するたびに、口銭を受け取る仕組みを作っていて、スイスの口座にはとんでもない金額が入金される。バーレン(Bahrain)国王から受け取った$190万(2億円)を現金でスイスに運んだこともある。Juan Carlosは、CorinnaとMartaに夫々€1億(125億円)贈与したことが確認されている。スペイン政府も国民も新型コロナで経済的打撃を受けている中で、このような愛人に貢ぐことが名誉国王に許される行為か。2014年6月までは国王としてスペイン国内では免責特権を有しているが、それ以降の分についてはその特権はない。しかもスイスは、そもそも外国の国王に免責特権を認めていない。前国王の犯罪が、やがてスイスの裁判所を中心に暴かれるであろうが、なんとも破廉恥な「国王」がいたものだ。彼は自分のスイスの財産は息子のFelipe国王に相続させると公言していたが、Felipeはその財産は相続しないと宣言した。スペインでは、もう君主制を廃止して共和制にすべきだという議論も始まっているという。ギロチンにかけられる前に国外亡命は、Juan Carlosにとって正しい選択なのだろう。 

 

見事復活した元大関照ノ富士

 2020年1月場所の徳勝龍に続いて、今場所も幕下最下位力士の優勝という珍しい出来事があった。徳勝龍も幕内から2度も十両に落ちてはまた幕内に這い上がってきた力士だが、照ノ富士の場合はそのジェットコースターぶりが余りにも極端で、普通の日本人力士ならプライドが邪魔して相撲をやめていただろうと思われる。年俸3,500万円の大関から十両に陥落すると年俸1,500万円に収入が減るから、会社でいえば極端な降格だが、十両までは関取といって管理職、その下の幕下となると給料ゼロ、場所手当として2カ月に一度15万円のお小遣いしかない(年俸換算90万円)。三段目は場所手当10万円、序二段は8万円(年俸48万円)。

 

 せっかく無給の身分から管理職、重役並みの高給取りになった者が、また幕下に落ちて無給になるのは、元重役のプライドが許さない。大関経験者で幕下に陥落した者は照ノ富士しかいない。しかも彼は、ケガと病気のせいで三段目、序二段(2019年3月場所)まで番付を落としてもなお相撲をやめなかった。こんな根性のある力士は日本人にはいない。モンゴルでもまれな男だろう。

 

 18才でモンゴルから日本に相撲留学、19才初土俵、21才新十両で関取になってからは、22才新入幕、23才新三役(小結を飛び越えて関脇)、初優勝後新大関と順調に進んだ出世街道だが、190cm、180-190kgの巨体だけに両膝のけが(前十字靱帯損傷、外側半月板損傷、遊離軟骨)に加えて糖尿病、C型肝炎、腎臓疾患などの病気もあって、大関は14場所で陥落、27才で自身どん底の序二段から返り咲いた。地獄を見たおかげで酒豪が一切のアルコールを絶ったという。

 

 28才でようやく十両(2020年1月場所)に戻り、今場所遂に幕内最下位に戻った28才の根性の男は、13勝2敗で2度目の幕内優勝を実現した。幸運もあった。13日目、新旧大関大戦で大関朝乃山に勝った照ノ富士は1敗単独トップ、朝乃山は2敗で二番手、14日目、照ノ富士は負けて2敗になるも、同じ部屋の後輩照強(元付け人)が朝乃山に土をつけて3敗にした。千秋楽、照ノ富士が勝てば幕内優勝が決まる。両横綱白鵬鶴竜)共にケガで途中休場という好条件の中、千秋楽で負けても3敗3人で優勝決定戦となるところだったが、照ノ富士が勝ったため、結びの一番を待たずして優勝が決定した。

 

 重役から無給の一力士に成り下がるのはかなわんと、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱北の富士)には4度も5度もやめさせてほしいと頼んだそうだ。モンゴルに帰って違う仕事をするという。やめるやめないを決める前に、まず体を治せと師匠から諭され、プライドを捨てて、元大関は序二段で相撲を取った。決して諦めぬ不屈の精神があったから今回の優勝に結び付いた。両ひざを故障してからの二度目の相撲人生は、人の三倍トレーニングに励んだそうだ。この根性でまた大関に復活してもらいたいものだ。たまたま、今場所は照ノ富士の他、元大関が三人も幕内にいる。前頭14枚目琴奨菊(36才、2017年3月大関陥落)、11枚目栃ノ心(32才、2019年7月と2019年11月以降大関陥落)、13枚目高安(30才、2020年1月大関陥落)だが、みな怪我をして重役を首になっても年俸2,000~2,500万円の高給取りだ。無給でも頑張るというのはいないだろう。

安楽死は合法化すべき

 京都の女性(51才)安楽死幇助の罪で、医者二人が逮捕された事件が報道されているが、安楽死が合法となっている国ではこの医者の行為は犯罪ではない。安楽死を希望した女性は、7年来、神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っていて、在宅で療養していた。ALSを発症する前はテニスに夢中になるなど活発な人物だったというが、最近は胃ろうからの栄養摂取をせざるを得ない状態になり、回復の見込みもないまま早く人生を終わらせたいと思うようになったという。

 

 身体的に健康な人であれば自殺をすることもあろうが、ままならぬ体で四六時中ヘルパーさんがついてくれていては、自殺をするすべもない。スイスでは外国人でも安楽死が認められているというテレビ番組を観て、安楽死にあこがれるようになったようだ。世界で最も早く安楽死が公認された国はオランダ、1993年のこと、但し、自国民に限るという条件付き。治る見込みがない難病などの人は、12才以上安楽死が認められる。但し、17才までの若者は両親の同意が必要。18才からは自分一人が決断すればよい。その後、2001年には安楽死を刑法の適用除外とする法律ができた。

 

 オランダの安楽死容認の条件は、28項目あり、患者が不治の病であること、耐えがたい苦痛があること、患者本人が繰り返し安楽死を要請していること等細部にわたって決められており、医学専門家が判断するので、単なる自殺(一般人が勝手に決断を下す)よりも合理的ともいえる。最近の統計では、全死亡者に占める安楽死者の割合は4%~4.5%(年間6,000人前後)、1/3は80才以上の老人という。基本的には不治の病の範疇に入る人が90%以上らしい。日本の自殺者(年間2万人前後)の全死亡者に対する割合は1.5%に相当するので、これと比べるとオランダの安楽死自殺者の割合がなぜか多いように思う。

 

 キリスト教国であるオランダで、一種の自殺である安楽死が認められるというのは、神の摂理に反しているのではないかとも思われる。命は神から授かったものであり、自分で勝手に処分することは、キリスト教の教理に反するはずだ。しかし、個人主義を徹底すれば、自分の運命は自分で切り開くものであり、自分で終了させることも許されることになる。人生の最後まで神に支配される必要はないとも主張できる。キリスト教者でない者にとって、自分の命を勝手に処分することは、両親を始めご先祖様に申し訳ないということになるのだろうか。日本で安楽死合法化が議論されるときの拠り所は、先祖代々受け継いだ命を自分の代で早めに終わらせるのは、人間の社会そのものを冒涜するものだということかもしれない。

 

 しかし、自殺した者は既にこの世にいないから、刑法で処罰できず、道徳的罰を与えることもできない。自殺を手助けした医師は、刑法第202条による嘱託殺人罪で懲役刑になる。英語ではPAS = Physician-assisted suicide(医師による自殺幇助)といって、あくまでも「自殺」の一種という扱いだが、日本の刑法では「殺人罪」(自殺させた、又は殺した)となる。今回の女性も、生前に尊厳死宣言の公正証書を残していれば、安楽死を手伝った医師が無罪になる可能性もあると思う。我が国で安楽死が合法化されるまでは、尊厳死宣言を使って自己決定するしかないのかもしれない。

世界最大最悪の三峡ダム

 6月初めから50日に渡って降り続けている雨により、中国中南部を流れる最大・最長の河川・揚子江(長江)が氾濫して、既に3,800万人もの被災者が出ている。死者も140人ほどと報告されているから、九州豪雨よりけた違いに大規模だ。氾濫した河川は433、大半は揚子江の支流とのこと。その揚子江中流に建設された世界最大の三峡ダムが危険水域を超え、大量の雨水の圧力で間もなく決壊するのではないかと心配されている。河口には上海市(人口2,428万)があり、流域に宜昌市(人口414万)、武漢市(人口1120万)、九江市(人口492万)、南京市(人口851万)など大都市もあって、その際の被災者は4億~6億人とみられている。もちろん、揚子江流域は穀倉地帯でもあり、中国の穀倉地帯が水没すれば食糧危機も発生する。

 

 長さ2.3km、貯水容量393億トン(琵琶湖の水量275億トンの1.43倍)の三峡ダムは、世界最大規模の水力発電量を誇る。1994年着工から15年かけて2009年に完工した。総工費1,800億元(約2.7兆円)。このダム1個で日本のすべてのダムの貯水容量に匹敵するというから、その規模が想像できる。巨大ダムを造るとなると必ず被害者が出てくるが、この場合は約100万人ほどの住居を埋没させたというから、民主主義国でこの数の合意を得ることはまず不可能だ。独裁中国共産党の命令により、立ち退きを強制できたからこそ実現した、世界最大のダムプロジェクトといえる。

 

 実は毛沢東が中国を掌握する以前から三峡ダムのプロジェクトはあったらしい。皮肉にも洪水防止のためのダムであり、同時に発電、河川運輸にも寄与するというものであった。1992年の全人代(日本の国会に相当)で決定した議案だ。通常は反対票を投じる者はなく、すべての議案は賛成票100%で議決されるところ、三峡ダム議案の場合、賛成票は67%(1,767票)、反対(177票)及び棄権等(689票)が33%もあった。当時の中国共産党執行部は江沢民李鵬。親分の提案議案に反対する者は干されるから、中国共産党執行部の後継者胡錦涛温家宝も賛成票を投じたはずだが、皮肉にも胡錦涛清華大学水利学部「河川中核発電所専攻」のダム発電専門家であり、温家宝は北京地質学院の修士課程を卒業した地質の専門家だ。専門家としては問題のあるプロジェクトであるとして反対だったはずで、それが証拠に、現役時代、彼らは一度も世界最大の三峡ダムを視察に行くことはなかった。

 

 しかし、中国にも優れたエンジニアはいるもので、人生をかけて三峡ダム建設反対を訴えた専門家は多い。その理由は、揚子江下流の堤防が崩壊する、汚泥の堆積問題、水質悪化、気候の異常変動、地震の頻発、生態の悪化、上流における水害の深刻化、地滑り・山崩れ・土砂崩れの発生など、すべて建設強行された三峡ダムが現実に引起した問題ばかりだ。中国には現在9.8万基のダムがあるが、8.2万基(84%)は欠陥があって危険と国務院も認めている。この中に当然、三峡ダムも含まれており、位置のずれ、漏れ出し、変形などの発生が確認されている。あと1週間ほど降雨が続けば、三峡ダム決壊は現実の問題になるという。もし、そうなった場合は、中国共産党の独裁政治が終わりを迎えることになるだろう。