アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

メキシコの巨人、コロナに勝つ

 世界最重量だった人間がメキシコにいる。2017年ギネス世界記録(体重世界一)のJuan Pedro Franco(現在36才)。当時、ギネスが認定した彼の体重は595kg、相撲界最重量だった小錦の往時の体重は285kgだったから、小錦の2倍の男だ。あまりにも体重が重すぎて自力で歩くこともできず、ほぼ寝たきりの日々だったが、ギネス世界記録に載ったことで有名になり、医療により減量してくれる医者が現れた。このままでは命が持たないと、メキシコ第二の都市GuadalajaraのCastaneda医師が救いの神となった。いくら世界記録保持者で有名になっても、自力で歩いてみたいとの夢を持つだけ、この姿では、好きなギターも弾けないという悩みを医師が解決してくれるというのだ。(彼は6才の頃から体重60kgを超えていた)

 

 超肥満に付きものの糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患など数えきれない病気を持つ巨人に対し、まず、胃の体積を80%減らすため、胃の大半を切除する手術がおこなわれ、残った胃を二つに分割、その一つに胃バイパス手術を施して、直接腸につなげた。更に、腸そのものも栄養の吸収を減らすため、分割手術をした。2017年5月に最初の手術を始め、その結果、2018年2月には、体重は345kgに減らすことに成功した。しかし、それでもなお酸素チューブに常時つながれていたが、徐々に特殊な歩行器を使って、ようやく歩く練習ができるようになり、徐々に運動も始めるようになった。(息子の面倒を見ていた巨大な母親は、今回の新型コロナにかかり先日死亡した)

 

 メキシコは、新型コロナウイルス感染者74万人、死者7.7万人と、隣接する米国の影響か結構危険な国だ。しかも、メキシコ人の肥満度も世界一・二位を争うほど、死者の1/4以上は肥満とくるから、Juan Pedro Francoさんが頭痛、体の痛み、呼吸困難、発熱などの症状を訴えて、検査結果、新型コロナに感染したと判明した時は、これで終わりかと覚悟したそうな。しかし、治療、食事療法、運動とみんなで力を合わせた結果、現在の彼の体重は208kgまで下がり、運動をしていたからか、高リスクな患者にしては運よく新型コロナを乗り越え、元気を取り戻したという。

 

 そういえば、新型コロナの死者数世界一の米国の死者の中でも超肥満(BMI 40以上、身長180cmの人なら体重130kg以上)の死者数は極端に多い。米国の「肥満」の定義はBMI 30~40というから、身長180cmの人なら体重97~130kg、成人人口の38%は「肥満」以上だ(超肥満8%を含む)。肥満人口の多い国に新型コロナ死者が多い。死者数上位の米国(21万人)、Brasil(14.3万人)、Mexico(7.7万人)は全て肥満人口が多いため、死者数上位になっていると分析される(インドの死者約10万人は、肥満とはあまり関係なく、14億人という単なる人口の大きさによる)

 

 BMI(Body Mass Index:体重kg÷身長mの二乗)は肥満度を測る基準で、日本人の標準は18.5~25(身長180cmの人なら体重60~81kg)。日本人の死亡者数が今のところ1,500人強くらいで収まっているのは、多分に我が国の肥満人口が極端に少ないことに起因すると思われる。何はともあれ、今回の新型コロナは、肥満人口の多い国で大きな被害が出ている中で、せっせと運動をして肥満解消に努力しているメキシコ人がめでたく回復したというのは嬉しいニュースだ。

やらせ口コミばれて罰金20万円

 通販サイト・アマゾンのレビユー(評価)欄にわざと悪い内容を書きこみ、低評価の投稿をさせて競合他社の信用を傷つけたとして、福岡市の会社役員が、刑法233条(信用棄損罪)で罰金刑20万円を言い渡された。被害に遭った福岡市の健康食品販売会社社長(39才、男性)が、執念で犯人を探し出し特定したのだった。

 

 低評価の投稿をした女(40代)は、商品(サプリメント)を一度も使ったことがないのに「一粒が大きくて飲みにくかった。独特な匂いも好きではなかったです。もう少し粒が小さいとよかったと思います。」などと書き込み、5段階評価で最低の「星一つ」の評価をした。実はこの女、やらせ口コミレビューの請負を含む仕事仲介サイトに登録しており、職業でやらせ口コミレビューの会社を経営している26才の男の会社に雇われ、1件500円でアルバイトをしていたというのだ。

 

 被害者社長は実行犯の女をほぼ特定し、その女が所属していた会社の男もインターネット上でほぼ特定できた。念のため、自分の商品のモニターの仕事を男に依頼してみたところ、あっさり受けてきて、同じ人物であることを確認した。更に、自社のサプリメントについて「粒が大きくて飲みにくい」と書かれた低評価レビューに「粒の大きさは飲んでいると慣れた」という一文を加えてもらえないか頼んだところ、依頼通りレビューに書き加えてくれた。加筆・訂正はそのレビューを書いた本人しかできないから、これでばっちり犯人が特定できたのだ。

 

 世の中にはアマゾンだけでなく、楽天などのショッピングサイトや食べログなどのレビユーサイトにも、同じような依頼を受けて意見を投稿する職業投稿家がいると思われるが、もしこれが犯罪でないならばインターネット上で見る情報のどれが本当のものでどれが偽なのかわかったものではない。店頭で見ていないものを買う場合、先に買った人の意見を参考にするしかないが、それが請負で依頼通りの内容にしているのならば、参考にもならない。このような人間はインターネット上から排除すべく、厳罰に処してもらいたいものだ。

 

 刑法233条(信用棄損罪)は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定めているが、20万円の罰金では効果なく、同業他社の見せしめのためにも、一定期間の懲役刑を科すべきではないか。やらせ口コミ、今回は刑法の信用棄損罪が適用されたが、景品表示法の不当表示にも該当するので、法人の代表者には3億円以下の罰金もありうる。アルバイト感覚で何でも請け負っている男らが、捏造コメントで摘発されたのは今回が初めてらしく、これで自分たちの業務の違法性に気づくだろうが、まだ気づいていない者たちには、次は景品表示法も待っていることを知らしめる必要がある。

 

 罰金は国庫に納入される金銭で、被害を受けた健康食品販売会社社長は、これから投稿者の女と会社経営の男に対し、損害賠償請求をすることになる。はっきりしているのは1件500円でアルバイトをしても、たとえ5,000円のアルバイトであっても割に合わない仕事だということだ。やらせ口コミレビュー運営会社の男も、まだ先は長いのだから、真っ当な仕事に変えた方がいいだろう。

やっぱり発生源は武漢ウイルス研究所

 先週、香港の著名ウイルス研究者が、新型coronavirusは中国の武漢ウイルス研究所から出たと暴露した。香港大学の公衆保健学部でウイルス学と免疫学を専攻したDr. Yan(Dr. Li-Meng Yan、女性博士)は、ウイルスが、武漢ウイルス研究所で作られたという科学的な証拠を持っており、近々発表すると英国のテレビで発言した。武漢生物兵器として開発されたもので、このウイルスの塩基配列を解明しないことには人類がこの敵を克服することができないという。

 

 武漢市の病院が、最初の原因不明の肺炎患者を確認したのは2019年12月8日、12月中に香港大学のDr. Yanの上司、Dr. Leo Poon、に中国で出始めたSARSに似た肺炎を調査するように指示があった。香港大学はWHOの連携ラボでもある。中国で育ち学問を続けてきたDr. Yanは、中国にたくさん人脈を持っていたので、関係者と連絡を取り、12月末には、このウイルスは人から人に感染することを武漢の研究者は知っていた。このことを上司に報告するも、WHOは1月9日に「人から人に感染しない」と発表した。中国政府の専門家が人から人への感染を確認したと発表したのは1月20日だった。その後、WHOが緊急事態宣言を発表したのは1月30日。

 

 中国政府がWHOも巻き込んで事実を隠蔽していた間に中国では多くの感染者が発生、実態は政府の公表感染者数・死者数の20倍とも30倍ともいわれるほどに膨れ上がり、最終的には全世界で感染者3,000万人、死者95万人、どこまで行けば止まるのか予想がつかない状態だ。

 

 中国の関係者は、一同に、新型コロナ関係の情報を絶対に外部に漏らすなとかん口令を敷かれており、香港大学の研究者であるDr. Yanにも、口外しないという条件で情報を提供してくれたという。もちろん、香港から武漢に調査に行くことも認められなかった。1月16日にDr. Yanはそれまでの調査で判明した事実を上司のDr. Poonに報告したところ、ウイルスに関する発表はすべて政府が制御しており、我々は一切の発表を禁止されていると伝えられたという。WHOの研究者も中国の下部組織のように腐敗していて、いくら正しい情報を提供していても握りつぶしていた。

 

 研究者として判明した事実を社会に伝えるのが正義だと考えるDr. Yanは、人々が知る権利のある事実を、米国に居住するYoutuber/blogger Mr. Lu Dehに伝え、1月初めには中国政府は、新型coronavirusの人間間伝染について知っていたと暴露した。間もなく、Dr. Yanだけでなく、上司のDr. Poonにも怪しいうわさが流れてきて、「行方不明者」になる可能性が出てきたので、彼女はMr. Lu Dehの助けを借りて4月末に香港を脱出し米国に逃亡した。6年間結婚していた夫にも一緒に米国に逃亡してほしいとお願いしたが、聞き入れられず、自分の身の安全を図るため、夫も家族も棄てて米国に亡命したという。

 

 一研究者として知っていることを人々に知ってもらうことは自分の使命だと信じているDr. Yanは、これから英米のマスコミを通じて、自分が知っている新型coronavirusについての事実を公表する予定だ。もう香港にいないから、中国政府・共産党ににらまれることもない。

嘘をつく文化を大切にする韓国

 嘘をつくことは韓国でもどこの国でも犯罪だ。しかし、日韓関係史が専門の李東原(イ・ドンウォン)氏の説によると、韓国人(朝鮮人)が嘘をつくのはDNAに組み込まれているからという。古くから隣の大国(中国)に支配され、途中モンゴル帝国の傘下に入り、その後また中国の属国となるも、日清戦争で中国が負けると、今度は日本に併合され、第二次世界大戦が終わるまで日本の統治下にあった。このような運命の国民が生き延びるには、嘘も方便と信じて実行するしかない。現にかの国では、目的が「善」ならば嘘(善意の嘘)は大目に見るのが当たり前なのだそうだ。お世辞は一種の嘘だが、事実に反して相手を褒める嘘なので、当然善意の嘘として受け入れられる。

 

 韓国の小学校では、教科書でスッポンとウサギの逸話を習う。竜王様の肝の移植手術のために、ウサギの肝が必要で、スッポンが陸に上がって、ウサギを竜宮まで誘いだし連れてくるという話。スッポンは、竜宮に行けば幸せに暮らせると嘘をついて、まんまとウサギを竜宮まで連れてくる。しかし、ウサギは肝を取られる直前に、肝を陸に忘れてきたという機転の利いた嘘をついて、自分の命を救った。スッポンもウサギも嘘つきだが、主君・竜王様に対する臣下・スッポンの忠誠心を評価する教えであり、嘘が悪いと教えられなかった。ウサギの嘘は生き抜くための知恵の象徴とみなされ、そのために君たちはよく勉強しなさいと教えられるのだそうだ。

 

 しかし、善意の嘘をつき続けると、たまには、うっかり善意でない嘘もついてしまう。現在、日韓で問題になっている徴用工問題が、典型的な韓国型嘘の典型だ。過去のレーダー照射問題も、日本側があれだけ証拠を提示しても、認めようとしない。朴槿恵(パク・クネ)前大統領までほぼすべての過去の韓国大統領は、現役時代の不正蓄財で、投獄されるか自殺を選んでいる。根底には、肝臓を陸に忘れてきたというウサギの奢りがあるのだろう。結果至上主義だから、騙される人はその程度、騙した自分の方が賢いのだということだ。

 

 李東原氏は、詐欺罪で起訴される件数から、韓国人は根っからの嘘つきのDNAを持っていると分析している。2013年の統計だが、韓国で詐欺罪で起訴された件数は29万件、これはOECD加盟37か国中、人口比で最高だという。日本は、詐欺罪で起訴される件数は2019年統計で7,863件、日本の人口は韓国の2.5倍、日本の詐欺罪起訴件数が韓国並みになると72万件になるから、検察官、裁判官を大幅に増やさなければ、詐欺大国・韓国の司法に追いつかない。

 

 裁判所で嘘を言ういわゆる「偽証罪」の起訴件数も、韓国は世界最高水準。2007年の統計だが、偽証罪で起訴された件数は、韓国で1,544件、日本では9件(但し、昨年はゼロ)。人口比率では400倍以上の開きがある。これは嘘をつくDNA以外では説明がつかないというのだ。我が国で、IR汚職により逮捕され、保釈中に法廷で偽証してくれと2,000万円の現金を証人に持っていって依頼した国会議員(自民党・秋元司)が先般再々逮捕されたが、これは例外的な事件。お隣の韓国ではごく普通の日常であるばかりか、庶民から国会議員、大統領までほぼみんな息を吸うかのように嘘をつくのだそうだ。この記事の著者、李東原氏は韓国人、自身の出自に対して、「顔から火が出る思いがした」と告白している。今、彼はこのDNAを消し去りたいと日々努力し始めたそうだ。

あの世から生還の例

 先週、米Michigan州の町で、脳性麻痺で死亡した20才の女性が死亡宣告後、葬儀場で生き返ったというニュースが流れた。8月23日、Timesha Beauchampという女性が自宅で泡を吹き呼吸困難に陥って倒れているところを家族が発見、救急車が到着した時は既に呼吸をしておらず、30分ほど心肺蘇生を試みるも息を吹き返さなかった。その後、医師が死亡を確認し、死亡宣告をしたので、家族は、遺体を遺体収納袋に入れて葬儀場に運んだ。埋葬の前に遺体から血液を抜いて防腐液を注入する防腐処理(embalming)という工程があり、そのために遺体整復師が遺体収納袋のジッパーを開けると、「遺体が」パッチリ目を開けたという。

 

 心肺停止で脈もなく、医師の死亡宣告から3時間以上経っており、家族も葬儀場の係りの人も驚いて、すぐに葬儀場から病院に連れて行ったという。27日(新聞記事)の時点では、ICUで人工呼吸器につながれて経過観察中とのことだが、死亡宣告をした医師の判断ミスというよりは、本当に死亡していた時間があったのだと考えなければ説明がつかない。

 

 今年2月17日、ウクライナで83才の女性が自宅で倒れ、救急隊員が駆けつけて呼吸が停止したことを確認、念のため心電図も取ったが心臓の動きは全く見られず、医師が死亡診断書を作成した。高齢の母親を埋葬するため、墓掘りが雇われ、準備中に娘が母親の頬に触れたところ、不思議なことに暖かく感じたという。死亡宣告から10時間ほど経過しており、病院に運んだところ昏睡状態に陥っており、生命の兆候がほとんど見られないと判断された。しかし、治療を続けていくうちに、彼女は昏睡状態から抜け出し、意識を取り戻した。医師が再検査しても、彼女は健康上問題がない状態であることが確認されたとのこと。

 

 昏睡状態で死んでいる間の感想を、地元の新聞の取材できかれた女性は、「私は天国にいて、父を呼んでいた」と記憶していたそうだ。元看護師のこの女性は、多くの患者を救うために働いてきたので、神様が私にご加護を与えてくださったのでしょうと考えている。彼女は「死亡」後1週間で退院し、その後は健康で元気に過ごしているという。僕の7才上の姉は十数年前心筋梗塞で3週間ほど意識のない状態が続き、もうだめかと思っていたらその後意識が戻り、後遺症はあるもののまだ生きている。意識のなかった頃の記憶があるか尋ねたら、舟で川を渡って対岸に着く前に誰かに「帰れ」と言われたとのこと。(三途の川のことか?)

 

 2014年12月、インドで、72才の男性が突然死したため、親族が葬儀をとり行い、ヒンドゥー教のしきたりで木片や布など燃えやすいものを集めて火葬の準備をしていたところ、着火の寸前に突然目を開け上体を起こしたという。息も脈も確認できないため医者が死亡を宣告したのだが、気絶してほぼ死んだ状態だったのが実際のところだったようだ。「死亡」している間、複数の人に「起きろ!目を覚ませ!」と叫ばれて目が覚めたのだという。危うく焼き殺される直前に目が覚めて運がよかったのかもしれないが、この世には、完全に死んでいないのに、埋葬されたり火葬されたりする人も稀にいるのかなと思う事件だ。

英西間300年来の領土問題

 大英帝国が1704年に占領したスペイン南端の半島ジブラルタル(Gibraltar、対岸はモロッコ)が、本年末の英国EU離脱を機に、英西間の古い領土問題として現実的課題になってきた。300年前、スペイン継承戦争(1701~1714年)というのがあり、スペインの王位継承問題に、他国である英国が首を突っ込み、軍隊を派遣してスペインの領土を侵略して今も居座っている。Gibraltarがイギリス王領植民地(crown colonies = 国連の表記、英国は単に「海外領土」= overseas territoryと呼ぶ)として現在も英国の支配下にある事実は、300年以上前、英国がスペイン王位後継問題に内政干渉して、どさくさの中で占領した半島であり、第二次大戦後、国連は植民地の独立を支援する方針をとったにも拘わらず、英国は違法にもスペインの中で植民地を維持し続けている。

 

 300年ほど前のスペインでは、当時の国王カルロス2世(Carlos Ⅱ)に子がなく、フランス王ルイ14世(Louis XIV、ブルボン家=Bourbon=)が自分の孫Felipeをスペイン王として認めてもらうために、イギリス海軍が占領したGibraltarを英国領とすることを認めたのだ。1713年のいわゆるユトレヒト条約(英国対仏西)。英国海軍にとって、自国から離れたイベリア半島に自国領土があると、軍艦の補給などで大いに役立つが、今はその必要もなく、単に一旦自国の領土になったものを減らしたくないというだけだ(他に排他的経済水域の漁業権などあり)。アルゼンチン沖にあるフォークランド(Falkland)島も同じような理由で英国の海外領土だ。経緯は違うが、ロシアが実効支配している北方四島も、ロシアは既得権益と考えているので手放さないのだろう。

 

 Carlos Ⅱの前までのスペインはAustriaハプスブルク家(Habsburg)の王だったが、300年前からフランスBourbon家の王になり、一時中断してJuan Carlos → Felipe現国王に引き継がれている。その間ずっとスペイン南端の半島Gibraltar(6.5㎢)は英国の所有となっている。英国は、本年12月31日で正式にEUから離脱するので、イベリア半島にはスペイン・ポルトガルというEU加盟国しかないはずが、GibraltarだけはEUでないということになり、国境を復活させなければならない。人口3.4万人のGibraltarに、1.4万人のスペイン人が毎日「国境」を渡って働きに行っているので、一人5秒かかるpassport controlにスペイン側、英国側でそれぞれ少なくとも20人くらいの係り員を配置しなければならない。しかも越境労働者の長蛇の列ができるはずだから、通勤時間が毎日1時間余計かかることになる。

 

 英国が、EU離脱を決めたことで、Gibraltarはいよいよ自分たちの運命を、自分たちで決めなければならない時が迫りつつある。スペインはこれを機に、主権をスペインに返せと動き始めている。過去には英西共同主権をスペインが提案したこともあったが、英国が拒否している。Gibraltarが独立したらどうかという考えもあるが、人口3.4万人の弱小国にとり、これは現実的ではない。人口の半分以上は英国人・スペイン人の末裔だが、2002年の調査では、住民は英西共同主権を望まず、英国への帰属を圧倒的多数で希望した。その後の英国EU離脱投票では96%の住民がEU残留を希望した。こうなったら、再度住民投票をして、EUのスペインかEUでない英国かをGibraltarの住民に決めさせ、その決定に両国が従うしか方法はないのではないか。

スペイン前国王ほぼ罪人

 2012年4月、母国スペインが経済危機のさなか、アフリカ南部ボツワナの王族関係者の招きで、当時の国王ファン・カルロス(Juan Carlos)は、「優雅な」象狩りで豪遊中に転んで股関節を折り、旅行を切り上げてprivate jetで急遽帰国、Madridの病院で手術を受ける羽目になった。このお忍び旅行には、デンマーク人女性実業家(Corinna zu Sayn-Wittgenstein、当時48才、夫とは離婚)が同伴しており、怒ったSofia女王が病院の夫に面会に行ったのは、入院3日後だった。Juan Carlosは、長年、野生動物保護を掲げる国際的NGO世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature = WWF)スペイン支部の名誉総裁の地位にいたにも拘わらず、この旅行で、死んだゾウの横でライフルを持って撮った写真などが公表され、WWFスペイン支部名誉総裁は解任された。

 

 この象狩り旅行が契機となって2014年6月、76才で国王を退任、息子のFelipeに王位を譲り、自分は「名誉国王」になる。ところが、この名誉国王は、女王のほかに愛人がたくさんいることが昔から知られており、僕がスペインに駐在していた1990年代、国王がBarcelonaに来る時はいつもMallorca島に住む女性と逢引きしていたと言われていた。現にBotafumeiroという海鮮レストランには、Juan Carlosが女王Sofiaでない別の女性と一緒に写っていた写真が飾られており、国王の愛人として広く知られていた。英国の新聞(2017年8月)にも前国王のMallorca島でのvacationとして、Marta Gayaと一緒にいる写真が出ている。

 

 Juan Carlosは本年6月からスペイン・スイス両方の裁判所から賄賂・資金洗浄の罪で事情聴取を受けている最中だ。この追求から逃れるためか、彼は先週、現国王である息子Felipeに置き手紙を残してアラブ首長国連邦UAE)に従者4名を連れて亡命した。首都Abu Dhabiの高級ホテルEmirates Palaceの1フロア(1泊$1万≒106万円)を借りている。彼はスペインから年間19.4万ユーロ(約2,400万円)の生活費を受け取っている身分なので、生活費に事欠くことはないが、愛人にお小遣いを渡すための財源が必要で、今問題になっているのは、Saudi Arabiaの高速鉄道工事(2011年、総額€67億≒8,400億円)をスペインの事業者が受注する過程で、国王に$1億(106億円)の口銭をSaudi Arabia王家からJuan Carlosのスイスの口座に支払われたというものだ。

 

 Juan Carlosは各国の王家からスペイン企業が受注するたびに、口銭を受け取る仕組みを作っていて、スイスの口座にはとんでもない金額が入金される。バーレン(Bahrain)国王から受け取った$190万(2億円)を現金でスイスに運んだこともある。Juan Carlosは、CorinnaとMartaに夫々€1億(125億円)贈与したことが確認されている。スペイン政府も国民も新型コロナで経済的打撃を受けている中で、このような愛人に貢ぐことが名誉国王に許される行為か。2014年6月までは国王としてスペイン国内では免責特権を有しているが、それ以降の分についてはその特権はない。しかもスイスは、そもそも外国の国王に免責特権を認めていない。前国王の犯罪が、やがてスイスの裁判所を中心に暴かれるであろうが、なんとも破廉恥な「国王」がいたものだ。彼は自分のスイスの財産は息子のFelipe国王に相続させると公言していたが、Felipeはその財産は相続しないと宣言した。スペインでは、もう君主制を廃止して共和制にすべきだという議論も始まっているという。ギロチンにかけられる前に国外亡命は、Juan Carlosにとって正しい選択なのだろう。