アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

渡米は無謀と言われていた大谷翔平

 大谷翔平選手、来年から10年間、年俸100億円($7,000万)、総額1,000億円の超大型契約を米MLB Dodgersと締結した。とんでもない快挙だが、6年前、彼が日本ハムをやめて単独米国に行くと発表した時は、年俸2.7億円の大谷が、わざわざ好き好んで年俸6,000万円($54.5万)playerになるとは、なんとばかげていると言われていたものだ。確かにAngelsでの最初の三年間は、年俸6,000万円($54,5万)→ 7,200万円($65,5万)→ 7,700万円($70万)と徐々に上がってきたものの、日本で得ていた収入よりは断然少なく、全く経済合理性がないと業界の解説者は言っていたものだ。

 

 日本ハムで5年しかプレイしていなかった当時23才の大谷選手は、米MLBにとっては「アマチュア選手」の範疇であり、アマチュア選手の最高額が年俸$54.5万(当時の換算レートで6,000万円)なのだそうだ。ちなみに、米国では、米/加/Puerto Rico以外の国の選手については、25才未満でプロ経験6年未満の者はすべてアマチュア扱いになるという。カナダでプロ野球2年経験のある20才でもプロ扱いだが、日本でプロ野球5年経験の23才はプロとはみなされない。いかにも米/加/Puerto Ricoの野球のlevelは高いのだとでも言わんばかりの規則だ。

 

 そんなわけで、Angelsで1~3年目の大谷選手の年俸は、日本ハムをやめた時の年俸より約2億円ほど低かったが、4年目(2021年)は3.3億円($300万)、5年目(2022年)は7.2億円($550万)、6年目(2023年)は43億円($3,000万)と実績に応じて年俸も増えた。そして今回の大型契約。Dodgersは彼に100億円(($7,000万))を10年間払い続けると約束をするからぜひうちに来てくださいとなったのだ。

 

 米MLBにはBabe Ruth(1895~1948年)という野球界のlegendがいる。1918年、投手で13勝、homerun 11本と、同一seasonで10勝10本を成し遂げた唯一の二刀流選手だ。大谷は昨年15勝34本という記録を残し、100年ぶりにlegend Babe Ruthと同列になったばかりか、彼の記録を大幅に塗り替えた。しかも、今年は10勝44本と、再度legend Babe Ruthの記録を更新した。100年に一度のBabe Ruthを二度やるということは、言ってみれば200年に一度の新しいLegendの価値がある。大谷はBabe Ruthのhomerun 714本の記録を更新しようとしているのかもしれないが、彼の記録を超えるには23才で渡米しなければならず、記録に挑戦するのが目的で、年俸がいくら下がろうと大した興味はないという考えだったのだろう。200年に一度の二刀流legendがこれからどんな記録を残すか、大いに楽しみだ。

アルゼンチンの混乱は終わるか

 インフレ率143%の南米アルゼンチン(Argentina)で、新大統領が選ばれた。退任する現職大統領Alberto Fernándezは中国寄りの左翼政権、この左翼政権で経済大臣を務めるSergio Massaと右翼の自称「無政府資本主義者」(anarcho-capitalist)Javier Mileiが対決した、先月19日の決選投票で56%の支持率で当選したのは、既存の政治体制をぶっ潰すと叫んだ無名の経済学者Milei(53才)だった。

 

 自分が大統領になった暁には、中央銀行を廃止し、通貨pesoを米ドルに換えてhyper-inflationをなくす、中国やBrasil(現大統領は共産主義者Lula da Silva)のような共産主義国との貿易取引は断絶し米国と協調する、Vatican(現Francisco教皇はArgentina出身)は共産主義を推進する悪魔に乗っ取られているなどと過激な発言をして、若者などに変化を訴え当選したMileiだが、国民の貧困率40%~50%という世界最大の債務国の大統領の前途は多難だ。

 

 中南米特有の汚職・不正など新大統領の権限で撲滅させるとは思われず、中央銀行によるpeso紙幣の輪転機を止めることにより高インフレが終わるというものでもないし、そもそも自国通貨pesoを廃止して米ドルを採用するとしても、必要とされる$350億~$500億(6~7兆円)はどこから借り入れることができると言うのか。しかも中央銀行を廃止するには憲法も改正し国会の議決も必要だ。下院で14%、上院で10%しかない新大統領の小さな政党(Libertad Avanza=自由の前進)にはその力はない。

 

 はっきりしているのは、国民は既存の政治家に何も期待することができずにほぼ半世紀ほど経過しており、今回は、大津波のような巨大な変化を求めて、極端な主張をするMileiに投票したということだ。1966年にcoup d'étatが起こり、その後軍事政権が続いたり、左翼政権に代わったりしているうちに、1982年には英国とFalklands戦争が起こり、経済はますます疲弊して、2001年には経済危機から国家財政が破綻(default)、IMFから巨額の融資を受けるまでになった。そんな中で、現左翼政権は労働者保護、貧困対策、年金増額などの小手先の政策で国家財政を運営しているものの、貧困率40%~50%で絶望の淵にいる国民は、誰でもいいから大きな変化をもたらしてくれる大統領を選んだというわけだ。

 

 12月10日に正式就任だが、その日が近づくにつれ、新大統領は現実主義に修正しつつあるようで、選挙公約をどこまで実現できるのか大いに見ものだ。

イタリア最強のmafia集団に対して初判決

 ‘Ndrangheta(ンドゥランゲタ)という名のイタリア最強、欧州最大のmafia集団がある。Italia半島のつま先部分に当たるCalabria州に本拠地があり、欧州のcocaine市場の80%を支配する、世界で最も危険な犯罪組織だ。‘Ndranghetaの年間収益は$600億(9兆円)を下らないと言われていた。

 

 南Italiaの政治・社会全般に幅広い影響力を持っていた‘Ndranghetaの構成員から関係者など数百名が2019年末までに拘束され、3年の年月を経て裁判が行われ、この度、その200名強に第一審の判決が出た。平均禁錮10~11年、単純合計で2,200年超の禁錮刑となる。裁判の過程で、mafiaが南Italiaのみならず国政にも深く入り込んでいた実態が明るみに出た。弁護士で元上院議員の被告Giancarlo Pitelli(判決は禁錮刑11年)に至っては、‘Ndranghetaの一員であることを隠して元Italia首相であったSilvio Berlusconiの政党Forza Italiaに所属していて、‘Ndranghetaが合法的な経済と国家機関に入り込むため尽力していたというから、いわばmafiaがItaliaの政治を乗っ取っていたというものだ。

 

 Pitelliの他にも政治家や公務員・政府高官などが今回の裁判で有罪になっており、このmafia集団がいかに幅広くItalia全土に強い影響力を持っていたかがわかる。3年以上に及ぶ裁判で明らかになった彼らの罪状は、殺人、恐喝、麻薬取引、高利貸し、職権乱用、資金洗浄などだが、活動の場所はItaliaや欧州に限らず、南米やAustraliaなど世界中だ。

 

 ‘NdranghetaのbossはLuigi MancusoというMancuso一族の親分、このMancuso一族はCalabria州Vibo Valentiaという町を支配していたが、2016年から2019年にかけてItalia警察が大規模な強制捜査に踏み切り、警官約2,500人を投入して、Mancuso一族をほぼ全員拘束することができた。それ以前は、Mancuso一族、’Ndranghetaに逆らおうものなら、玄関に死んだ仔犬やヤギの頭を置かれたり、車に放火されたり店舗を破壊されるなど、徹底的に嫌がらせをされたので、人々は従うしか選択肢がなかったという。

 

 このItalia最大規模のmafiaは、墓地の礼拝堂に武器を隠す、救急車を麻薬運搬に使用する、大麻栽培のために公共の水道を迂回させるなど、やりたい放題のことをやっていたことが、裁判で明らかになった。これまでmafiaの報復を受けて命を落とした警官・裁判官など計り知れない犠牲者を出してきたが、ようやくItaliaも最大のmafia集団を制御できるようになりつつあることは、遅ればせながら喜ばしいnewsだ。

パレスチナ人とユダヤ人どちらの土地か

 パレスチナ(Palestine)とイスラエル(Israel)が、同じ土地の帰属をめぐって争いを起こしているが、歴史的にこれほどこじれた関係にある2国間の問題は複雑すぎて解決方法は見当たらない。普通なら、原状回復で決着をつけるべきだが、いつの「原状」に戻すべきかで結論が正反対に変わるからだ。

 

 Palestineはパレスチナ人で構成され、Israelはユダヤ人で構成される。現在、(Fatah自治政府支配地域とHamas支配のGaza地区から構成される)Palestineがある土地とIsraelがある土地は、歴史的には、もともとユダヤ人が住んでいた土地であり、ローマ帝国ユダヤ人が追い出されて、その後この地に入植したのがパレスチナ人だ。本来は我らの土地だと主張するユダヤ人の根拠は、紀元前12世紀頃からユダヤ人(=ヘブライ人)がこの土地に住んでいたという史実に基づく。紀元前11世紀にはヘブライ王国ができ、そこから派生して紀元前922年頃にはIsrael王国が成立しているから、2945年前の原状に戻すなら、Israelに分がある。

 

 Israel王国は紀元前772年にアッシリア(Assyria)帝国に滅ぼされ、紀元前37年にはローマ帝国支配下に入る。ローマ帝国キリスト教を支配の道具に使いだすと、ユダヤ人はユダヤ教故に迫害され、自分たちの土地を離れて世界中に離散した。7世紀、預言者Muhammadがイスラム教を起こし、イスラム教のパレスチナ人がこの土地に入植し、キリスト教にもイスラム教にも改宗しないユダヤ人は出ていった。千数百年前の「原状」に戻すなら、パレスチナ人に分がある。

 

 その後、オットマン(Ottoman)帝国の支配を経て、1882年から英国がこの地を支配する。第一次世界大戦で英仏露はOttoman帝国と戦うにあたり、パレスチナ人にはPalestine国家の建設を認める、ユダヤ人にはIsrael国家の建設を認めるという矛盾した条件で両者の援助を得て、Ottomanを滅ぼした(Sykes-Picot協定)。嘘をついた英仏の二枚舌外交から現在のPalestine – Israel戦争が始まったものだが、そもそもは、旧約聖書に問題がある。神はいずれメシア(messiah、救世主、預言者)を地上に派遣して人々を救うことになっている。Jesus Christが現れた時に彼がmessiahだと信じた者がキリスト教徒に、Muhammadが現れた時に彼がmessiahだと信じた者がイスラム教徒に、そして、messiahはこれから現れるとまだ楽しみに待っているのがユダヤ教徒だ。誰かが旧約聖書というややこしい書物をこの世に残したおかげで、どの時代の「原状」に復帰すべきか三つ巴の宗教の問題になっている。米国(キリスト教)はユダヤの味方をし、アラブ世界(イスラム教)はPalestineの味方だ。ユダヤ人のmessiahが現れるまで、恐らくこの戦いに終わりはないだろう。(統一教会文鮮明オウム真理教麻原彰晃も自己をmessiahと称した。)

Trumpに群がる弁護士らの末路

 4回も起訴されている米前大統領Donald Trump、しぶとく裁判でうその供述を繰り返し、事実を架空の作り話に仕立て上げようとするのは、腕のいい弁護士の仕事だが、今や彼はその弁護士の調達に苦慮しているという。それもそのはず、今までの彼の弁護士は、ことごとく裁判で訴えられ、とんでもない金額の損害賠償を請求されているため、彼らは検察と司法取引をして、事実を話す見返りに自分の罪は問わないと約束してもらっているのだ。

 

 Trumpが現役の大統領だった頃の弁護士Michael Cohenは、今や反Trumpの急先鋒としてすっかり検察側に付き、Trumpが金融機関から有利な条件で融資を受けるために資産評価額を大幅に水増しした経緯を裁判所で証言した。2020年大統領選の結果を覆そうと計画したTrumpに協力した弁護士John Eastmanは、弁護士倫理違反の疑いで裁判所の審理を受けており、裁判の結果次第では、弁護士資格を失う可能性もある。現役大統領だったTrumpは、弁護士たちに倫理と先例を無視せよと命令したからだ。

 

 2020年大統領選でGeorgia州の選挙結果に干渉した容疑でTrumpと共に起訴されたSidney Powell弁護士は、司法取引をして、Trumpの指示があったことを認め、Trump有罪を認めた。寝返った弁護士たちは、Trumpからは冷たくあしらわれ、「あんな奴は一度たりとも自分の弁護士であったことはない」とまで言われている。現役大統領だったTrumpの強力な弁護士だったSteve Bannon, Rudy Giuliani, Mike Lindellの3人も、2020年大統領選挙結果に関し、嘘の供述をしたとして起訴されているが、皆、刑事・民事で訴えられている件数が多いために、それなりの弁護士を雇わざるを得ず、その弁護士代の支払いで火の車だ。Rudy Giulianiに至っては、支払期限到来済みの弁護士費用だけで$140万(2.1億円)となっており、当初の約束では、その費用はTrumpが払うはずだったが、Trumpが約束を守るとは考えられず、払ってもらえなければ自分で払うか自己破産するしかない。

 

 要するに、現役大統領だったTrumpに認められてTrumpの味方をした弁護士らは、Trumpが現役だった間だけいい思いをさせてもらったが、失職した後は、裁判だらけの人生に代わり、元の親分は面倒見がめちゃくちゃ悪いため、結果的には、ほぼすべての弁護士が、Trumpと関りを持たなければよかったと反省している。そのTrump自身は、4件の起訴で百数十の裁判を抱えているが、もう有能な弁護士は一人も来てもらえない。実績も失うものもない経験不足の弁護士に囲まれて、Trumpは孤独な裁判を戦わざるを得ないのが実態のようだ。

習近平独裁中国どこに行く

 2期10年と決まっていた国家主席の任期を突破らい、終身の国家主席になった習近平中国に嫌気を刺した中国人が、中国では働く気になれないと外国に移住する例が後を絶たないという。特に高学歴、高所得の若者が欧州・アジア諸国・米国などに流出している。当分の間、習近平の特栽が続くという前提で、自分の将来は自分で決めるというものだ。

 

 反スパイ法に至っては、外国人も中国人も同様に、いつ理不尽な逮捕をされるか先が読めない。香港に残っていた一定程度の自由も、英中合意を反故にして一国一制度に統一してしまったし、人民を支配する道具として中国共産党という制度を独裁者は利用している。習近平自身は共産主義者でもなく、単に終身独裁者の地位に留まりたいだけの利己主義者だ。隣国ロシアにも自分の先輩特栽者がいて、23年も頑張っているので、自分はまだ10年しかたっておらず、これから現代の「毛沢東」になろうと企んでいるようだ。

 

 しかし、タイミングはあまり良くない。2001年WTO加盟以降、中国の経済成長は目覚ましく、今や米国に次ぐ世界第二の経済大国になったものの、これからは従来通りの高度成長が続くはずがない。若者の失業率は30%~40%といわれており、特に16~24才の若年層失業率は50%を超えると言う説もあり、彼らは「啃老族」(親のすねかじり族)といわれて、独自の収入がない。1980年代以降、原則は一人っ子なので、親二人で子一人の経済的面倒をみるから、何とかやっていけるというものの、啃老族の年齢は40代にもなっている。一部は引きこもり状態で社会と隔離した環境で住んでおり、これから親が更に高齢になるにつれ、これらの啃老族の生活も成り立たなくなる時が来る。

 

 GDPの25%を占めるといわれる住宅建設市場のバブル崩壊により、不動産大手の倒産が始まり、人々の反乱が始まっている。中国では住宅の引き渡しを受ける数年前に、全額、現金又はローンで支払わなければならない習慣があり、いつまでたっても完成しない住宅は決して引き渡されることもなければそこに住むこともできない。唯一、銀行ローンで購入した人ができることは、途中からローンの返済を拒否するだけだ。2022年6月末時点での個人向け住宅ローン残高は777兆円(38兆8600億元)、このうち5~10%は未完成(1年以上工事が中断している)につき返済拒否されていると推定される。不動産大手の恒大集団や碧桂園は実質破産(default=支払い不能)、破産の予備軍不動産業者は次から次に現れ、被害者が団結して反乱を起こせば、独裁者はいずれ退場させられるのではないか。人民の力を甘く見てはいけない。

戸籍変更に手術強制は違憲

性同一性障害の人が、戸籍の性別を変更するのに、生殖機能がないことを要件とする現行の性同一性障害特例法は憲法違反だ、との判断が、昨日の最高裁大法廷で、15人全員一致で決定となった。つい4年前の最高裁小法廷は合憲としていたので、わずか4年で国際標準に訂正した形だ。

 

生まれつきの性と自認する性が異なる性同一性障害者が、戸籍の性別を変更するには、2004年施行の性同一性障害特例法第3条(性別の取扱いの変更の審判)1項により、次の5点すべてを満たしていなければならないと定められている。

 ①18才以上

 ②未婚であること

 ③未成年の子がいないこと

 ④生殖腺がない又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖不能手術=男 

  性は精巣、女性は子宮嫡出)

 ⑤その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えてい 

  ること(外観手術)

 

 今回訴えている原告(申立人)は、出生時の性は男性だが、女性自認、女性として暮らしている「生物学的男性」だ。戸籍の性を変更したいとして裁判に訴えるも、一審の岡山家裁、二審の広島高裁ともに④⑤の条件を満たしていないとして、性別変更は認められず、最高裁に特別抗告していた。④生殖不能手術、⑤外見手術共に体の危険を伴う外科手術を強制するのは、「個人の尊重、生命、自由及び幸福追求の権利(13条)」や「法の下の平等(14条)」を定めた憲法に違反すると主張した。

 

 病気の治療として必要な外科手術ではなく、性同一性障害特例法の生殖能力喪失要件を充たすためだけに、強度な身体的侵襲である手術を受けさせるのは、憲法の趣旨に反するという最高裁決定は妥当な判断だ。最高裁は「外観要件」に関して判断を下さなかったが、この点に関しては広島高裁に差し戻し、審理を尽くさせるとした。

 

 世界の趨勢は、生殖能力喪失要件も外観要件もなく、子なし要件や未婚要件すらないで性別変更を認めている国がほとんどであり、日本だけが特殊な条件を課していても、訪日外国人の中に多様な人々がいるわけだから、やはり国際標準に合わすのが妥当な線だと思う。