アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

パレスチナ人とユダヤ人どちらの土地か

 パレスチナ(Palestine)とイスラエル(Israel)が、同じ土地の帰属をめぐって争いを起こしているが、歴史的にこれほどこじれた関係にある2国間の問題は複雑すぎて解決方法は見当たらない。普通なら、原状回復で決着をつけるべきだが、いつの「原状」に戻すべきかで結論が正反対に変わるからだ。

 

 Palestineはパレスチナ人で構成され、Israelはユダヤ人で構成される。現在、(Fatah自治政府支配地域とHamas支配のGaza地区から構成される)Palestineがある土地とIsraelがある土地は、歴史的には、もともとユダヤ人が住んでいた土地であり、ローマ帝国ユダヤ人が追い出されて、その後この地に入植したのがパレスチナ人だ。本来は我らの土地だと主張するユダヤ人の根拠は、紀元前12世紀頃からユダヤ人(=ヘブライ人)がこの土地に住んでいたという史実に基づく。紀元前11世紀にはヘブライ王国ができ、そこから派生して紀元前922年頃にはIsrael王国が成立しているから、2945年前の原状に戻すなら、Israelに分がある。

 

 Israel王国は紀元前772年にアッシリア(Assyria)帝国に滅ぼされ、紀元前37年にはローマ帝国支配下に入る。ローマ帝国キリスト教を支配の道具に使いだすと、ユダヤ人はユダヤ教故に迫害され、自分たちの土地を離れて世界中に離散した。7世紀、預言者Muhammadがイスラム教を起こし、イスラム教のパレスチナ人がこの土地に入植し、キリスト教にもイスラム教にも改宗しないユダヤ人は出ていった。千数百年前の「原状」に戻すなら、パレスチナ人に分がある。

 

 その後、オットマン(Ottoman)帝国の支配を経て、1882年から英国がこの地を支配する。第一次世界大戦で英仏露はOttoman帝国と戦うにあたり、パレスチナ人にはPalestine国家の建設を認める、ユダヤ人にはIsrael国家の建設を認めるという矛盾した条件で両者の援助を得て、Ottomanを滅ぼした(Sykes-Picot協定)。嘘をついた英仏の二枚舌外交から現在のPalestine – Israel戦争が始まったものだが、そもそもは、旧約聖書に問題がある。神はいずれメシア(messiah、救世主、預言者)を地上に派遣して人々を救うことになっている。Jesus Christが現れた時に彼がmessiahだと信じた者がキリスト教徒に、Muhammadが現れた時に彼がmessiahだと信じた者がイスラム教徒に、そして、messiahはこれから現れるとまだ楽しみに待っているのがユダヤ教徒だ。誰かが旧約聖書というややこしい書物をこの世に残したおかげで、どの時代の「原状」に復帰すべきか三つ巴の宗教の問題になっている。米国(キリスト教)はユダヤの味方をし、アラブ世界(イスラム教)はPalestineの味方だ。ユダヤ人のmessiahが現れるまで、恐らくこの戦いに終わりはないだろう。(統一教会文鮮明オウム真理教麻原彰晃も自己をmessiahと称した。)