アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

絶対不神聖バチカン帝国銀行(Wholly Unholy Bank)

スイス人傭兵が雇用主に最も忠実に命をかけて戦うという評判からいまだにバチカンの衛兵は全てスイス人だ。この雇用主はイタリアの中にある世界で最も小さな独立国(0.44km2)でカトリックの総本山。バチカンの全人口約800人のほとんどはカトリック聖職者だがその中にはスイス人傭兵約100人も含まれる。2010年9月21-22日、欧米日の主要新聞は一斉にバチカン銀行(Instituto per le Opere di Religioni)による資金洗浄(money laundering)に関連してイタリア当局がバチカンの資産3,000万ユーロ(約34億円)を押収したと報じた。長年に渡り顧客の身元を明かさず、他行への送金を代行していたバチカン銀行は2009年11月にも受取人を明らかにしないまま合計1億8,000万ユーロ(約200億円)を送金していた疑惑が発覚し、イタリア司法当局が捜査していたところだった。今回(2010年9月21日)の事件も法律に定められた送金者の情報などを不明にしたまま、イタリアの銀行から在ドイツの米系銀行などに合計2,300万ユーロ(約26億円)送金しようとした違法行為が運悪く摘発されたもの。バチカン銀行はバチカンという独立国のいわば中央銀行であるので「世界で最も秘密に包まれた銀行」で、広大な不動産などを収入源とする資金と各国の民間投資銀行を通じて運用している投資利益などの動きを、外部の者が把握することはほぼ不可能だと言われている。小生がイタリアに駐在して間もなく起こった事件はかなり衝撃的だ。ローマ法王の銀行と言われていたアンブロジアーノ銀行の頭取が1982年にロンドンで不可思議な首つり自殺をしたというニュースが伝わってきた。数日後のニュースではそれは他殺だと言いだすやいなや歴代頭取の秘書も次々に自殺してしまう。しばらくして時のバチカン銀行頭取(マルチンクス大司教、Marcinkus)の命によりマフィアが暗殺したと判明し、イタリア当局はマルチンクス大司教の逮捕状をとったが敵はバチカン国籍であったため、イタリアの司法の力が及ばず、この人物はほとぼりが冷めた1990年アメリカに帰り2006年84歳で死亡したとなっている。ところがこの男は不正融資とか資金洗浄などの汚い取引を知っている人物を神の御名において次々に暗殺しただけでなくこともあろうに神の代理人たるローマ法王の暗殺の首謀者とも断定されている。1978年8月即位したローマ法王ヨハネ・パウロ1世はバチカン銀行の不正改革を目指すと宣言したところ、即位後たった33日でマルチンクス頭取に暗殺された(下司人は別にいる。あるはずの遺言書も見つからず)。アンブロジアーノ銀行は1982年10-15億米ドルの使途不明金が原因で倒産したが、バチカンにとって不都合な者は神の御名においてこの世から消される運命にある。今回イタリア当局の捜査を受けているバチカン銀行頭取はテデスキ(Tedeschi)という別の男だがトカゲのしっぽのように没収された3,000万ユーロを犠牲にして神の御名において不正はなかったと証明し、逮捕されることはないのであろう。今回の事件で今後どなたがバチカンの犠牲になられるのか大いに気になるところである。もしかしたら民主党代表選挙で負けた人もバチカン銀行副頭取くらいで雇ってもらえるのではないか。