アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

スーパーマリオによる教会免税特権剥奪

イタリアでは現在、教会の所有する不動産について、100%商業施設とみなされるもの以外には固定資産税がかけられない。過去の司法判断で「専ら商業的ではない教会の不動産」に限り免税を認めるとされたから、教会側は営利施設でも一角に礼拝所などを併設して固定資産税を免れてきた。何百室もある客室を抱えたホテルでも 小さな礼拝所を作れば非課税になる。日本にもチャペルを併設したホテルはたくさんあるからイタリアの基準では免税になるだろう。一般企業に比べて教会ビジネスは免税分だけ有利であり「不公正な競争」に当ると欧州委員会で問題になった。

現首相マリオ・モンティ(Mario Monti)は、財政再建に向けた改革の一環として、教会の不動産免税特権を剥奪すると決め、来年1月からカトリック教会の商業不動産に課税する特別措置令を施行する。これに対してイタリア行政裁判所は10月8日、「税法の範疇を逸脱している」として課税は不適切との判断を下した。これにより、ローマだけで年2,550万ユーロ(約25.5億円)の追加税収が得られるという。

全世界のカトリック教会の総本山バチカンは世界最小の国(面積0.44km2、人口約800人)でありながら、直接/間接に(傘下の教会・修道院を通して)イタリア国内で所有する不動産の総面積は、イタリア全土の20%に達する。実質的法王領だ。もちろん、純粋に宗教活動にだけ使われる教会・修道院もあるが、オフィス、学校、病院、ホテル、商店、ブドウ畑、山林なども所有する。巡礼にやってくる信者などを収容するための宿泊施設は、ベッド数でイタリアホテル業界全体の15%を占める。

スーパーマリオ氏は「専ら宗教的ではない教会の不動産」には課税するとしたから、これでイタリアの財政はかなり好転するはずだ。選挙で選ばれた首相でもないから国民(カトリック信者)の人気を気にする必要もなく、行政裁判所の判決も無視するつもりだ。選挙で選ばれた首相なら大多数の有権者カトリック信者なのでこうはできない。しかし、財政再建には時として神とも闘わなければならない。わが国も宗教法人にあまりにも優しすぎるからオウム真理教などがのさばったのではないか。「入場料」としたら課税され「拝観料」とすれば課税対象外とするのも神仏に配慮し過ぎる。日本にもSuper Mario氏がいつか現れ、一部の荒稼ぎしている宗教法人に正当に課税する日が来ることを期待する。