アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

日産・ルノー電気自動車機密漏洩事件

企業の知的財産は保護されなければならないが金銭的報酬に誘惑され道を踏み外す者は世界中どこにもいる。今回の日産・ルノー電気自動車の機密漏洩について日産・ルノーのCEO(Carlos Ghosn)が情報流出の可能性を把握したのは昨年8月とのこと。その後、年が変わって新年早々疑惑の幹部社員3人を停職処分にしたが、ルノーが機密漏洩に関する事実を解明するのにこれだけ時間がかかったというには理由がある。幹部社員のうちの2人が受け取った報酬の銀行口座が他でもないスイスとリヒテンシュタインにあったからだ。これらの非協力的租税回避地に金が集まるのは金融機関の堅い守秘義務による。よほどの犯罪の証拠を示さなければ情報の一部を開示しないし、フランスのような大国の国家権力が介入しなければ全部を開示する必要はないと考えているためだ。ピエール・カルダン・ジャパン元社長の長男ら相続人5人が相続資産を隠していたのもスイスの銀行だった。2007年に亡くなった武田正彦元社長(弁護士、1956-64年裁判官経験者)は25.8億円をスイスの銀行に預けており、相続人がこれを申告せず脱税がばれて悪質と判断され、重加算税を含め約15億円の追徴を受けた(1月18日報道)。日本の国税当局がスイスにこの手の情報を開示させるにも日本国内で相当の確たる証拠をつかんでいる必要があり、相続税の申告は被相続人死亡日から10ケ月以内だから、国税当局も2年以上かけて国内で証拠集め・スイス当局との交渉を続けた結果であろう。租税回避地ではあっても以前のように「守秘義務」を盾に顧客の利益を保護することが許されなくなった現在、スイスの金融機関はどのような延命策を講じるのだろうか。最近チュニジアから国外逃亡した前大統領(Ben Ali)一族のスイス国内に持つ全ての資産はスイス政府により凍結された。Ben Ali一族の名義ではあるがチュニジアの公金であると認めチュニジアの新政府に返還するとスイス政府は発表したのだ。応分の手数料を差し引いて返還することになるのだろう。昨年11月の選挙(Ouattara:Gbagbo 54:46)で負けたにもかかわらず大統領職に居座るコートジボワールのGbagbo(自称大統領)の保有するスイス国内の資産についても、スイス政府は不正に蓄財された可能性があるとしてスイス国外に持ち出されるのを阻止するために凍結した。これらはスイスの銀行に存在する莫大な不正蓄財の氷山の一角である。全ての氷山が解けるには長~い期間を要するであろうが、とりあえず最近ウィキリークスがスイスの元銀行員から入手した英米の政治家らの脱税行為の証拠とするデータが専門家により分析中とされているので、小さな氷の塊が2-3週間後にも公表されるとのことだ。