アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

チュニジアからエジプトへ

チュニジアの元大統領夫人は今月14日、不正蓄財の金塊1,500kg(≒53億円)などを持って国外脱出(亡命)した。23年間国家の富を食い物にしていた独裁者Ben Ali(2002年憲法改正で事実上の終身大統領)は自分の退陣を求めるデモの群衆に対して発砲するよう陸軍参謀長に命じたが、これを拒否したアマル参謀長が逆に「あなたはもう終わりだ」とBen Aliに退陣を決断させたと言われている。軍も大統領を見限ったおかげで政権崩壊が思いがけず短期間で実現した。暫定新政権がBen Aliの一族33人を「国家に対する犯罪行為」で逮捕したところ、家からは特権を利用して得た金銀財宝・現金が山のように出てきた。大統領という公職にある者及びその一族が多数の豪華な別荘を所有し贅沢な暮しをしていながら、一方で大学を出ても仕事がなく路上で野菜を販売するしかなかった青年が抗議の焼身自殺をした昨年12月17日からわずか1ヶ月足らずで独裁者追放を成し遂げた現代史は革命前夜の王制フランスの状況に酷似している。皮肉にもチュニジア旧宗主国フランスは極端な反欧米のイスラム系政権が誕生するよりは欧米寄りの政策をとる独裁政権の方がましとBen Ali政権を支持してきた。しかしリーマン・ショック以降の経済危機地震の影響が津波のように途上国に広がり、高失業率・貧困が全土に蔓延するようになって、それまで表に出なかった言論の自由と民主主義を求める革命に発展したようだ。今、この民衆の動きがアラブ最大の親欧米国家エジプト(人口8,300万)に及んでいる。ここには30年来の独裁者ムバラク大統領(82才)が君臨するが、エジプトで革命が起きれば世界に与える影響は人口1,000万のチュニジア革命の比ではない。イスラム政治勢力を歓迎しない米国は年間1,000億円(13-15億ドル)以上の経済支援をMubarak政権にしていたが、Obama政権はここにきてMubarak政権を見限る方向に方針転換したようだ。実行不能と思われる言論の自由と民主主義を実現しなければ経済援助を縮小すると脅しをかけた。言論の自由を認めればイスラム系政党の合法化になり、民主主義とはデモの参加者に対して銃口を向けないということだ。2日前(1月29日)にはMubarak夫人、Mubarakの後継者と決まっていた次男Gamalと長男Alaaの二人の息子一族はロンドンに亡命した。「国民はあなたを憎んでいる」ということをMubarak自身がやっと理解したのではないか。北アフリカで起こる「明治維新」革命の成功を祈る。