アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

アラブの春革命後のイスラム化

独裁者を倒したチュニジア・エジプトにおいて民主的選挙で台頭したのはイスラム勢力だ。先に選挙が行われたチュニジアでは議席の40%を占めて第一党となったのアンナハダ(Ennahda)というムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)だし、エジプトの選挙においては第一党の自由公正党ムスリム同胞団)39%と第二党のヌール党(イスラム原理主義イスラム復古主義サラフィー主義)を併せて70%がイスラム勢力だ。リビアでも新政府「国民評議会」暫定最高責任者(カダフィ時代の法務大臣 Abdul Jalil)はこの夏にも予定されている初めての選挙に向けて「リビアイスラム法(Sharia)に基づく国家を目指す」と宣言している。イスラムの二大勢力は穏健派といわれるスンニ派サウジアラビアのような現実派)と過激派といわれるシーア派(イランのような革命派)だが、エジプトでは両派閥で議会の大半を占めたから世俗派の出る幕がない。数兆円の費用を投じてリビアの国民評議会側を軍事的に支援した英仏米等は貸した戦費の徴収を原油で始めているようだが、リビアイスラム主義に進むとは予想していなかったようだ。これでは負傷した狼を治療してあげたのに元気になったら自分達の村を襲ってきたという話に似てくる。(だから狂気のアサドがシリア国民を既に6,000-7,000人以上惨殺しても英仏米等はリビアでしたように反アサド側を支援しないのだ。もともとシリアには石油のような資源がないから投資した戦費を徴収する方法もない。)一方でムスリム同胞団スンニ派)は教育を普及したり安い病院を建てたりと社会の中で相互扶助の組織を確実に作っており、呪文のように「自由」を唱えるだけの世俗派よりも圧倒的に支持を得ている。どうやら欧米流の民主主義は庶民の生活がある程度豊かにならなければ草の根のように活躍するムスリム同胞団に太刀打ちできないというのが真実だろう。今年は泥沼化しているシリアだけでなく、イエメンの独裁者、バーレン・ヨルダンの国王の対応によってはアラブの春がもっと多くの国に広がり、その辺り一帯がムスリム同胞団の勢力下になる可能性がある。米民主主義は1979年のイラン革命で蜂起した民衆を支援し国王追放に一肌脱いだが、そのイランは今や対欧米強硬路線のシーア派に牛耳られ核開発にいそしんでいる。共産主義に対して民主主義・自由を唱えるのは効果的だったかもしれないが、イスラム主義に対して民主主義は有効な対抗策ではないのかもしれない。ムハンマド様は何とも厄介な宗教を残してくれたものだ。