アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

我が国もついにハーグ条約加盟

今月26・27日にフランスで開かれた主要国首脳会議(サミット)で管首相が我が国も懸案の「ハーグ条約」(正式名称“Convention on the Civil Aspects of international Child Abduction”『国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約』)に加盟すると発表した。日本人の20人に一人以上の割合で国際結婚が行われている現状から、国際結婚が破綻した場合、生まれた子どもの親権争いの解決ルールが一応そろうことになる。従来日本では子どもの親権は母親とするのが妥当との発想から、国際結婚が破綻した日本人の親が結婚相手に無断で子供を日本に連れ帰り、外国人の親が面会を求めても、日本は条約非加盟のために法的に対応できず、解決できない事例が相次いでいた。外国人の父親が子を返すよう訴えを起こした場合、この条約に加盟することで親権争いの決着は従前の居住地の裁判所となり、とりあえず子どもは元の居住国に返還しなければならなくなる。今月、日本人の元妻が日本へ連れ帰った子供2人を取り戻そうと米国人男性(40才)が元妻に損害賠償を求めた民事訴訟で、米テネシー州の裁判所は、慰謝料など610万ドル(約5億円)の支払いを元妻に命ずる判決を下した。元妻は2009年、現在10才の息子と同8才の娘を日本へ連れ帰って以来、日本に滞在している。この男性は2009年、二人の子供を取り戻そうとして未成年者略取容疑で福岡県警に逮捕され、起訴猶予となった経緯がある。同州の司法当局は男性に監護権を認め、元妻に逮捕状を出していたが、日本は、ハーグ条約に未加盟のため米国の判決が出ても日本国内で執行できない。米国では父親が子どもを育てる意思がないのに単独親権を取って養育費の支払いを免れるという事案も出ているので、子どもの福祉の観点からハーグ条約を基にまずは居住地に子どもを移し裁判所の判決を待つというのは必ずしも現実的ではない。子を連れて帰国する日本人女性には家庭内暴力被害を訴える例が多い。ハーグ条約で子どもの返還拒否が認められる場合は〇劼匹發返還申立人から暴力を受けた∋劼鯱△譴真討申立人から暴力を受けた子を連れた親が元の居住国に入国できないな峇圓子どもに害を与えるのいずれかを証明すること。政府は家庭内暴力等から逃れるために日本に帰国した妻子らがハーグ条約締結により連れ戻されることがないよう、返還を拒否できる条件を新たな国内法で定めることにより自国民の保護を図るつもりのようだ。父母間に争いがなくても、日本がハーグ条約に非加盟という理由で、外国に住む日本人には子を連れた一時帰国に許可が出ないという事態も起きている。ハーグ条約加盟によりこの不利益は是正されるだろう。

ハーグ条約全文
http://www.hcch.net/index_en.php?act=conventions.pdf&cid=24