アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

土足文化の国から来客

イメージ 1
この2週間、拙宅に泊めてあげたアメリカ人夫婦の付き合いで家の中はめちゃくちゃだ。玄関では靴を脱ぐという習慣を教えたものの、靴を脱いだそのまま玄関に立ち、その汚れた靴下で家の中に入ってくる。当然床は全体的に何となく埃っぽくなる。畳も汚れるしカーペットもしかりだ。地面を引きづってきたスーツケースも、きれいにふくことなどせず畳に乗せるから、家の中も外も区別がついていないことがよくわかる。そういえば欧米でスーツケースを家の中に入れるときに、スーツケースをきれいにふくという習慣がなかったことに気が付く。外を散歩した犬が土足のまま家の中に入ってソファの上で休むのと同じだ。

玄関までは汚いが玄関を過ぎたところからきれいにしているから、玄関で靴を脱いでその足で玄関に立つなと伝えても趣旨を理解されない。これ以上の説明も面倒だから、汚してもらって後で床を拭くしかない。靴を履いたまま床に上がるのだけは阻止できたから良しとしなければならない。と思っていたら、翌日畳の部屋から二人揃ってスニーカーを履いたまま玄関に出てきた。どうやらスーツケースにふだん履き用のスニーカーを入れていたようだ。靴を履いたまま家に入るなとは伝えていたものの、靴を履いたまま家から出るなとは伝えていなかったことに気がついた。足がよく曲がらない奥さんのために、縁側に簡易のベッドを組み立て寝てもらっていたが、そのベッドに腰掛けて靴をはくと楽なのだそうだ。トイレのスリッパを室内に履いてきたこともある。

我が家に滞在中に姫路・広島・宮島方面に旅行に行ったり、また帰ってきてしばらくしてから京都・奈良に旅行に行ったりしている間に、我々は畳や床などをきれいに拭き掃除しておく。するとまた必ず汚してくれる。カーペットが汚れると拭き掃除ができないから、何となく裸足で生活すると足の裏が汚れるような気がして落ち着かない。異邦人はようやく関西滞在が終わって金沢・東京方面に旅立ってくれた。

元々我が国もその昔は土足の文化だったようだ。それが平安時代に畳が普及してから、家の中では履物を脱ぐ習慣が定着したのだそうだ。今やはだしの習慣は日本人の文化そのもの、若い留学生に、家に入るときは靴を脱ぐようにと説明するのに、家の中は大きなベッドと同じと説明すると何となく分かってもらえるが、初めて日本に来た65才のアメリカ人夫婦には、玄関を過ぎると全部ベッドと説明しても通じない。不意の外敵に備えて銃を備えている外国人にとって、靴も履かずにくつろぐという発想がそもそも間違いなのだろう。こういう人たちに、脱いだ靴はかかとを手前にして揃えて置くようにという礼儀作法を教えることは、愚の骨頂というべきものかもしれない。彼らが帰った後、文化の違いに呆れて静かに拭き掃除をするしかないと悟った。