アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

DNA家系図から凶悪犯特定

 米California州で1979年から1986年にかけて170件以上の強盗・強姦事件、13人以上の殺人事件を犯して捕まっていなかった男が2018年4月ついに警察に逮捕されたが、犯人特定につながった情報は、5世代にわたるDNA家系図、GEDmatchだった。

 

 米国は移民の国で、自分の先祖がどこから来たのか知りたいという人が多い。個人の出生証明書を取り寄せれば両親の名前が記載されている。その父母個人の出生証明書で祖父母がわかる。国外から米国に渡ってきた先祖については、過去150年分くらいの帰化書類などが残っているので、調べることができる。最近は、調査費用$10(≒1,100円)/月ほどで、DNA家系図というものが普及してきたという。

 

 犯人のDNAがわかっていると、DNAデータベースにあるすべてのDNAを分析することによりにより、共通の先祖を5代ほどさかのぼることができる。その先祖の下の代に子供が何人いて、その下の代に子供が何人いるかという統計と照合して、家系図を作り、犯人の代の子供全てを特定できるというのだ。このDNA家系図を基に、2018年4月、数十年ぶりに凶悪犯が逮捕された。候補者で最後に残ったのがこの犯人を含む二人だが、もう一人はDNAが一致せず、最後に残ったのがJoseph DeAngelo(逮捕時72才)という。

 

 普通、このような凶悪犯は、つかまるまで悪事を繰り返すので、どこかの段階で逮捕されるものだが、彼は1986年の最後の殺人事件以降、表立った犯罪を犯していないことになっている。直近の30年間ほど善良な市民として生活されては、警察としては捜査しようもない。この男はもともと大学で刑事司法を勉強して警察官になったが、3年後窃盗事件を起こして警察を解雇されている。その間に結婚して、その後子供3人を育て、最後はトラック整備の仕事をしていたという。弁護士の妻とは、別居中、夫が凶悪犯だったと判明した後離婚した由。近所の住民は、一様に、彼が昔、凶悪犯だったと知って大層驚いたという。

 

 これだけ悪の限りを尽くした男だが、強姦や強盗の罪では時効が成立しているため、13件の殺人と13件の誘拐で起訴された。検察官は死刑を求刑しているが、最終的には、仮釈放のない終身刑又は死刑のいずれかとなるはず。72才で逮捕されるとは思っていなかったDeAngeloは、老後は娘と孫娘と暮らしていた。おじいちゃんが有名な連続殺人犯と知った孫娘の驚きはいかほどだったか想像に難くない。

 

 米国の人口は約3.3億人、このうちGEDmatchにDNAを登録している人は120万人ほど、約270人に一人の割合でしかDNAを把握していないのに、たった一人の犯人のDNAから親族を割り出し犯人を特定することができるのは、過去5代の家系図による。夫婦の子がすべて3人ずつその子を産んだとして5代で242人、すべて4人ずつとすれば5代で682人になる。1/270のDNA情報でも、多くの場合、かなりの確率で犯人のDNAの親族の一人は判明するのだそうだ。