アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

集団免疫は有効か?

 集団免疫(herd immunity)という発想がある。集団の半分以上がウイルスに感染したら、その人たちは免疫を持っているから、もうウイルスに感染することはなくなる。集団感染というのは、一人から2人~3人以上に感染して広まることだが、理論上50%以上の人たちが感染してしてしまったら、感染を移す対象は一人につき一人以下しかいないからもう大丈夫というものらしい。

 

 元々、集団免疫という概念は、ワクチンのない時代の、羊などの家畜に広まる伝染病からきているようだ。致死率100%でない限り、感染しても動物の自然治癒力で治るものがあり、自然に免疫をつけるから、弱い個体だけが死に、強い個体は生き残る。羊の数は減るが全滅ではないから、残った羊の子孫は疫病に強い羊になる。Charles Darwin自然選択説自然淘汰説のとおり、環境に適した個体が生き残る。遺伝子が確立的に変異を起こし、生存に有利な変異をした個体が生き残るのだ。人類も今まで、このような過酷な環境の中、各種のウイルスと戦って生き延びてきた。

 

 しかし、家畜が致死率10%の疫病にかかっても、人間の財産である家畜が10%減るだけだけれど、人間の疫病の場合、致死率2~3%といえども、相当数の死者が発生する。昨日の時点で、日本の感染者13,441人、死者372人(致死率2.8%)だが、このGolden Weekにみんながマスクを外して、旅行に出て街に出て活躍することにより、感染者がアメリカ並みの100万人になったとすれば、2万人ほどの死者が出ることになる。(アメリカは、現在、感染者100万人、死者数55,000人、致死率5.5%)

 

 人口の55%~70%が感染すると、集団免疫状態となり、疫病は収束する。なぜならば半分以上の人たちは免疫を持っているからだ。しかし、この理論を日本で実践すると、感染者が7,000万人ほどになれば自然に新型coronavirusは消滅するが、一方で100万人ほどの犠牲者が出ることになる。しかも、おびただしい数の重症患者が病院に殺到し、医療は確実に崩壊する。羊を飼っている英国が、当初、感染症対策を一切せず、集団免疫でいくと言っていたが、首相までが感染するに至り、この方針は撤回して、都市封鎖にかじを切った。それでも、英国の感染者数15万人、死者2万人だ。当初の方針通り進めていたら人口6,600万人に対して、感染者3,500万~4,000万人に達したところでピークに達し自然に消滅するところだったが、その陰で50~100万人くらい人口は減少したであろう。羊と人間の集団免疫は全く別物であることを英国は理解していなかった。

 

 今は、武漢市がもしかしたら集団免疫に近い状態になっているかもしれないと分析する感染症専門家がいる。人口1,100万人の武漢市で、公式発表は感染者50,333人、死者3,869人(致死率7.7%)だが、この数字を信じる人はこの世に一人もいない。武漢市の実際の致死率が1.4%と分析している香港の研究者の数字を信じるとして、もし、これまでの死者が4,000人だけと仮定すれば、感染者は約30万人となる。実際の死者の数は10倍~20倍といわれているから、今までに600万人が感染して8万人ほどが死んだとすれば、現在の武漢市には免疫を持った人が人口の半分以上いて、間違いなく集団免疫のできている、世界で一番安全な都市ということになるだろう。