アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

米国麻薬性鎮痛剤過剰摂取で死者11万人

 アメリカ人の死亡原因1位は心臓病、2位は癌、3位は新型コロナ、4位は不慮の事故(unintentional injuries)、その不慮の事故の中身は、銃、交通事故、薬物などだったが、ここ数年、薬物中毒による死者が急増して大問題になっている。その薬物の種類も、伝統的な麻薬ではなく、病院で処方される鎮痛剤opioid(オピオイド、麻薬性鎮痛薬)だ。

 

 体に痛みを感じる人は沢山いる。病院で診てもらうと、医者はopioidを処方する。Morphine(モルヒネ)やheroine(ヘロイン)などもopioidの一種だが、こちらは癌の堪えられない苦痛をマヒさせる時などに使う。単に胃が痛いとか精神的に不安定な時にはoxycodone(オキシコドン)、fentanyl(フェンタニル)などのopioidが処方される。このopioidに常習性があることが問題になっている。一度服用すると、やめることができなくなる。継続服用すると痛みはなくなるが、やめると不安、不眠などの離脱症状が現れ、服用し続ける羽目になる。一種の麻薬であるから、陶酔作用もあり、たくさん服用すると気分がよくなるので、更に量を増やすと死に至る。

 

 Fentanylが米国に多く出まわったのは2013年頃から、その頃の薬物中毒死亡者は4.4万人ほどだったが、2021年の薬物死亡者は10.7万人、その70%以上はopioid過剰摂取による死亡だ(opioid中毒死)。そして、その70%はfentanyl過剰摂取による死亡とのこと。麻薬というよりは薬という感覚で薬局でも買えるから、麻薬使用のような効果を求めて、簡単に入手できるfentanylを入手する人が急増している。Fentanylの鎮痛効果は、heroineの50倍、morfineの100倍といわれ、ほんのわずかな量で鎮痛効果はある。

 

 しかし、常習性があるから、一度服用するとやめられなくなり、量も徐々に増えていく。Medicaid、Medicareなどの保険もきくから手軽に買える。医者は薬程度の量しか処方しないから、もっと欲しければ薬局で買うことになる。一応薬なので合法的に入手可能。もちろん薬局よりも安く買えるルートもある。メキシコから麻薬売人が米国内で販売ルートを持っている。エスカレートして、気が付けば致死量を摂取して死亡となる。Fentanylの原料を生産しているのは中国だ。中国は米国が憎いので21世紀のアヘン戦争を仕掛けているのだという。

 

 Prime Ageという25才から54才までの働き盛りの人口の死亡原因一位は、薬物過剰摂取による中毒死、不慮の事故だ。米国は非常事態を宣言してfentanylを管理しようとしているが、この薬物の効果は政治家の意思よりも薬物管理政策局の取り締まりよりも強い。Fentanylは確実に米国社会を蝕んでいる。