アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

NY市初のネズミ対策本部長就任

 ドブネズミの被害に苦慮するNew York市は、ネズミ対策本部長(Rat Czar)を高額で公募していたところ、3か月経ってようやく適任が見つかったと発表した。悪者を取り締まる保安官ならぬ、迷惑ネズミ退治保安官に選ばれたのは、Ms. Kathleen Corradiという元小学教師、廃棄物管理の専門家の実績が買われ、New York市初のネズミ対策本部長に任命された(厳密には齧歯類(rodent)対策本部長)。

 

 人口900万人のNew York市に数百万匹(200万匹とも400万匹ともいわれるが実態は不明、900万匹はいないだろうとの推測)いるといわれるドブネズミ対策は、公衆衛生上、市の喫緊の課題だ。家庭の台所に住みつくものから、路上駐車の車のワイアをかじるなどの被害は無数に報告されており、中には、よほど食糧事情がいいのか、猫ほどに大きく成長するものもいる。市は、昨年11月、Rat Action Plan(ドブネズミ対策法)という条例を作成し、道路わきにゴミを出す時間を午後8時以降に変更した(ごみの収集は深夜)。今月1日から、午後8時前にごみを出すと罰金が課される。ネズミは市内のゴミをあさって成長し、どんどん増える。1匹のネズミは1年後5.6万匹に増え、2年後には3,487万匹に増えるとNew York市は市民に訴えている。時間との戦いだ。

 

 Micky Mouseの感覚でペットとして飼う者もいるらしいが、Eric Adams市長は、大のネズミ嫌い。自分の給料(年俸$90,800≒1,200万円)よりはるかに高い、$155,000(約2,000万円)の年俸で、このネズミ対策本部長を処遇すると発表した。Ms. Kathleen Corradiは、従来New York市がやっていたネズミ駆除対策を根本的に見直す。市は、餌でおびき寄せたネズミを、箱のふたの仕掛けでアルコール溶液の中に落とす装置を、イタリアから輸入して設置したりしてきたが、今いるネズミを捕まえるだけでは数は減らないということがわかってきたので、新しい対策は、市民に対する啓発活動になるようだ。元小学校の先生なら、市民皆を教育するには適任だろう。

 

 ネズミ対策本部長の仕事は、いかにして、今いるネズミをたくさん捕まえるかだけではなく、ネズミが生息しにくい人間の社会をいかに作り出すかというところにある。そのためには市民の教育が最も効果的だ。Rat Academyというネズミ対策の講習会を、New York市は、年2回開催していたが、この啓発運動を頻繁にして、市民の教育に努める。我々人間が生活習慣を変えない限り、ネズミの数は増える一方だ。食べ物があるから敵は優雅に生きていられる。街中からネズミの食べ物になりそうなものを減らそうという運動が必要だ。この女性保安官の仕事は、ネズミとの戦いというよりは、市民・人間との戦いともいえる。ネズミ対策費$3,000万(40億円)をどのように使うか、Ms. Kathleen CorradiにNew York市民は期待している。