アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

Trump 2度目の起訴でとどめを刺されるか

 3月、New York州大陪審に、34の罪状で起訴された米史上初の大統領経験者(Donald Trump)が、今月8日、新たに37罪状で、米連邦大陪審(Florida州)に起訴された。前回の起訴は、2016年大統領選挙で、自分の過去の悪事を隠すため、金を使って口止め料(hush money)を払い、それを自身の会社の経理上「経費」(弁護士費用)として書類を改ざんしたというものだが、今回の起訴は、大統領をやめる際に大量の最高機密文書を勝手に持ち出し、私邸に保管していたというスパイ活動法違反などだ。FBIが昨年8月、Trump私邸に捜索に行ったところ、Trumpは自身の弁護士に対し、返却を求められている機密文書は残っていないと司法省に伝えるよう指示したとの証言もある。

 

 Trumpの口止め料に関与した当時の弁護士Michael Cohenは、事件がばれてから裁判で禁錮3年を言い渡され、3年間服役した。悪事を指示したTrumpは「指示」をした客観的証拠がないとして、この事件では有罪になっていない。しかし、今回の起訴は、国防に関する最高機密情報の所持・漏洩であり、有罪の場合の最高刑は禁錮20年だ。情報漏洩については、大統領退任後の出版関係者とのinterviewで、Top Secretと書かれた機密文書を誇らしげに見せたことなどが証拠として提出されており、今回はTrumpにとってかなり状況は悪いと言わざるを得ない。

 

 George Washington大学法科大学院のCatherine Ross教授の見方は、かなり厳しく、Trumpにとって破滅的な打撃になると指摘する。弁護士を誘導して証拠隠滅を企てたり、FBIにうそをつかせようともしており、Trump個人の責任が追及されているので、他人に罪を擦り付けるのは難しいだろうという。しかも、今回の起訴に使われた証拠の多くは、Trumpに近い関係者から提供された電子メールや写真などであり、あるものをないとは否定できない状況にある。

 

 米国では、起訴されたり有罪で服役したりしても、大統領への立候補は自由だが、公文書を故意且つ不法に隠匿したり破損したりした場合、公職資格を失うという連邦法の規定がある。大統領選の出馬要件を満たしていても、公職に就任するとなると、この連邦法の規定に引っかかり、当選則失格となる可能性もある。その場合、連邦最高裁で結論が出るまでは、大統領を務めることができるかもしれないが、米国民がそのような人物を大統領に選ぶかどうか疑問でもある。Trumpは、これで2回起訴されたことになるが、更に、議会乱入・襲撃により権力移行に違法に介入した事件や、南部Georgia州の開票結果を覆そうと違法な圧力をかけた事件などで3回目、4回目の起訴の可能性もあり、じっくり選挙活動などやっている時間はあまりないように思う。