アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

英国議会調査員2名中国のスパイとして逮捕

 昨年1月、中国の女スパイ(中国系弁護士Christine Lee、59才、夫は英国人)が、中国共産党「中央統一戦線工作部」の意向を受け、有力英国会議員に影響力を行使していたと暴露されたばかりだが、この3月にも英国国会調査員2名が中国のスパイとして逮捕されていたことが9月9日の報道で発表された。28才の英国人調査員は、議会に自由に出入りできるパスを持ち、数年にわたり中国共産党と国際政策について複数の有力議員と協力してきた潜伏工作員とみられる。もう一人の男は30代で、二人とも3月に逮捕されてから10月まで共に拘留されている。中国政府に批判的な政治勢力に対し、寄付をすることにより圧力をかけるのをその目的としている。Tom Tugendhat安全保障大臣やAlicia Kearns下院外務委員長を含む数人の与党・保守党議員らとつながりがあったという。

 

 これらのスパイを監視する部門は、英国保安部MI5(Military Intelligence Section 5、軍情報部第5課)という部署で、昨年スパイと名指しされたChristine Leeは、弁護士の立場を利用し、首相経験者Theresa May、David Cameronのほか、労働党前党首Jeremy Corbyn、彼の側近で下院議員Barry Gardinerなど大物国会議員に献金を通して影響力を行使してきた。資金の出所は中国共産党であっても、表面的には、香港などの資産家が女スパイに資金を送金し、女スパイから国会議員に多額の寄付が提供されているから、法律に触れることはなく、合法的だ。だからこそ、この女スパイは本年7月、スパイと言われたことで弁護士の仕事がなくなったとMI5に対し、損害賠償請求訴訟を起こしたところだ。(図々しいにも程があると思うが)

 

 遅ればせながら、この7月、英国は従来のスパイ法を抜本的に見直し、国家安全保障法を施行させ、その中で外患誘致罪を設けて、英国の民主主義に不可欠な基本的権利を妨害する行為も違法とした。(但し、法律は遡及しないので、昨年の女スパイには適用されない)しかし、中国共産党の狙いは単に現在の国会議員に寄付を通して影響力を行使するだけにとどまらず、中国共産党のシンパと目される中国人の血を引く個人に対し、政治資金を提供することで、政治家を目指すよう勧めているのだ。

 

 中央統一戦線工作部は、既に、該当する複数の議員候補者に海外の口座から資金を提供して寄付をしており、数年後、十数年後には中国共産党の意に沿う英国会議員が複数誕生する可能性がある。英国国会の内部から、英国の政治を中国寄りに変えていこうという大胆な試みだ。香港、台湾、Tibet自治区新疆ウイグル自治区など英国と人権問題でもめている中国は、英国の反対意見を封じようと、積極的な行動に出ている。Rishi Sunak首相は、よほど注意して対処しなければ、民主主義国家英国の将来は危ういことになる。