アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ウイグル民族抹殺を企てる中国

パナマ文書を暴露したICIJ(International Consortium of Investigative Journalists = 国際調査報道ジャーナリスト連合)が、今度は中国によるウイグル民族抹殺の実態を暴露した。ウイグル(Uighur)人は主にイスラム教徒で、人種的にはトルコ人と親戚関係にある。人口1,000万位といっても中国の中では数ある少数民族の一つ、ウイグル自治区に住んでいるが、中国共産党の進める同化政策で民族の宗教・文化・言語を捨てて「中華民族」並みの生活をしない者は強制収容所にぶち込んでいる。ICIJが入手した文書によれば、現在、少なくとも100万人(現実は恐らく300万人近く)のウイグル人ウイグル自治区465か所の強制労働キャンプ、再教育キャンプ、職業教育訓練センター、刑務所、軍の施設などに収容されているという。(これらの場所は衛星画像でも確認されている)

 

中国は(外見的)共産主義以外の思想の人間を認めず、イスラム教・法輪功など宗教も禁止だ。キリスト教も公式には認められず、1億人ともいわれるキリスト教徒は主に地下教会の信者といわれる。宗教は13億中国人を中華民族として束ねる邪魔になるので排除すべき対象だ。ウイグル人は主にイスラム教なので、彼らを共産主義中華民族に改造しなければならない。再教育として百万単位の少数民族に行われているのは弾圧(殴打、食事剥奪、医学的実験、拷問)を通じた人間改造で、民族の言葉も中国語を話すよう強制している。彼らの先祖が眠るイスラム式墓地も都市開発とか墓地の標準化などの大義名分のもと、掘り起こされて破壊され、公園などに造り変えられている。

 

遊牧民を無理やり思想改造して共産主義中華民族に作り変える国家的行為は、少数民族の虐殺(Genocide)だ。こんなひどい人権侵害をしている中国には、すぐにも職業訓練施設と称する収容施設の即時閉鎖などを求める「ウイグル人権法案」が3日、米下院で可決され、上院に送られた。香港人権法と同じように、間もなく成立し、施行されるだろう。成立すれば、ウイグル人の弾圧に関わっている中国当局者への制裁が発動することになる。

 

中国における臓器移植実績は世界一で、提供される臓器はオンデマンドで入手可能、払われる金額に応じて数日から数週間で必要な臓器は何でも手に入る。死刑になった囚人が自発的に生前にドナー登録をしたことになっているが、実際は法輪功信者、ウイグル人などの思想・精神改造不可能人物を死刑囚人として、臓器を取り出し、売買しているのが実態だ。政治犯なども刑務所では入念に健康診断されて、どの臓器が利用できるか膨大なデータベースが出来上がっているとのこと。中国最大の医療センター「東邦臓器移植センター」(天津市)には、国外から年間数千人の臓器移植希望者が来て、必要な臓器は必ず出てくると保証されている。臓器移植手術をする病院は中国に100か所以上あり、ドナーの条件が厳しい先進国ではありえない実績が中国にはあるという。人体部位のための殺害が日常的に行われていなければ、外国からわざわざ中国に臓器移植手術を求めてこれだけたくさんの患者が来ることはないと米医学会は指摘する。米議会のウイグル人権法案に対し、中国は内政干渉と反発していて、いかにも人口が多すぎるから整理しているのだというつもりかもしれないが、独裁者が国を治めている間は、少数民族の人権が認められることはないだろう。

オーストラリア支配を企てる中国

Australia保安情報機構(Australian Security Intelligence Organization=ASIO)長官を退任したばかりの人物が、中国の暗躍により国家の存続が脅威にさらされていると警告を発した。Mr. Duncan Lewisは5年間のASIO長官時代の経験から、中国共産党が同国を丸ごと乗っ取る計画を立てていたことを明らかにし、今後とも中国に乗っ取られることのないよう、最大限の注意を払わなければならないと述べた。その発表の直後、タイミングよく、中国の元スパイだった27才の中国人男性(王力強 = Wang Liqiang)がAustraliaに亡命を求め、スパイとして自分のやってきたことや中国の内部組織など、かなりの国家機密をASIOに暴露しただけでなく、テレビに顔を出して中国共産党の秘密をつぶさに明らかにした。

 

中国共産党はAustraliaの複数の上場企業を実質的に支配し、与党・野党双方に政治献金するなどして、国会議員にも近づき、水面下で狡猾に組織的なスパイ活動を続け、Australiaの政治体制を中国の利益にかなうよう改変し乗っ取りを画策していた。その中心人物は中国人富豪実業者で不動産業を営む黄向墨・周沢栄などとされる。黄向墨は永住権を持っていて、市民権を申請していたが、その活動が国益に反するとの理由で却下され、その上、永住権も取り消されて、2019年2月、国外追放になった人物だ。彼は野党の有力上院議員だったMr. Dastyariに多額の政治献金をして、議会で外国のスパイ活動や内政干渉を阻止するための法案成立を阻止させようとしたことがばれ、2017年12月に議員は辞職に追い込まれた。(中国との癒着スキャンダル事件)

 

中国の情報機関は、Australia人政治家の買収だけでなく、自前の政治家も豪州に誕生させようと、中国系Australia人実業家で、高級車販売店経営のMr. Nick Zhao(享年32才)に近づき、100万豪ドル(約7,400万円)を提供する見返りに、中国系住民の多いMelbourn東部選挙区で立候補するよう持ち掛けていた。Mr. Zhaoはその気がなく、この情報をASIOに通告したから、中国側は面子丸つぶれ、昨年3月彼は死因不明でMelbournのホテルで死体で見つかった。当時は死亡原因、背景など警察が調べてもわからなかったが、現在亡命を求めている元中国のスパイ氏によると、Mr. Zhaoは中国の情報機関の手先に始末されたのだという。中国から認められて、話に乗らなかったら消されるというのは、かの業界では当たり前のことのようだ。Australiaでは、これからようやくMr. Zhaoの死亡事件に関する調査が本格的に始まるところだ。

 

中国は今年に入ってから南太平洋の島国ソロモン(Solomon、人口60万)・キリバス(Kiribati、人口10万)などに経済援助の見返りとして台湾との断交を認めさせ、味方を2国ほど増やしたところだ。香港・台湾・ウイグル族などすべて支配下に置くべく着々と準備中だが、人口2,500万人のAustraliaを支配下に置くことは、中国共産党にとって数段魅力的だ。同国は過去50年で人口を2倍に増やした成長国であり、中国系住民は人口の5.6%、約130万人。彼らを使ってこれからも中国共産党の意思が反映されるような社会・政府を作るべく情報機関は工作を続けるだろう。ASIO前長官は、今後とも中国共産党の影響を断固排除すべく、我々は日々彼らの行動に気を付けなければならないと警鐘を鳴らす。

大学入試共通試験変更の問題点

大学入試共通試験変更点が真剣に議論されている。文科省の案では本年度から英語は民間試験導入だったが、受験費用が高いうえに、都市部の裕福な受験生は各種の試験をいくつも受けることができ、最もいい成績を提出できるという不平等が問題で、結局これは導入を見送ることになった。地方の貧乏人は一番近い都市まで行き、一度だけ受験することになる。北海道なら交通費も結構かかるから2回受ける余裕のない受験生は運が悪いとあきらめてというものだ。身の丈に応じて勝手に判断せよという大臣は即刻首にすべきだ。英語の能力を測定して比較するなら、やはり同じ試験を皆が受けなければならないことは初めからわかっていたことだ。

 

来年度の国語・数学の記述式問題にしても非現実的な大問題がある。50万人の受験生の答案の採点を、ベネッセという民間企業に委託するという。全国約1万人の採点者が同一の基準で採点することなどできるはずがない。AIが瞬時に50万人分の答案を採点できる日が来るまで、公平な採点などできるはずはない。出題者の想定しない解答が出てきたらどう対応するのか、採点の公平性、採点者によるばらつきを考慮すると、50万の受験生共通の試験にはなりえない。しかも採点するのは大学の教官ではなく学生のアルバイトを想定しているという。

 

採点者がそんなにたくさんいるなら、問題の事前漏洩は必ず起こるだろう。採点者は模範解答なり、採点の容量なりを事前に受け取るわけだから、問題を受け取らずに模範解答だけをもらうことはない。早速、ベネッセは共通試験記述式の採点をわが社が請け負ったと公表して自社の宣伝に使って文科省から注意を受けた。たとえ会社の経営者が守秘義務を守ったところで1万人もの学生アルバイトの口にふたをすることは不可能だ。現に経営者がすでに守秘義務違反をしている。実際の試験が始まってから各自のパソコンに問題と模範解答・採点の基準を送るとしたら、各採点者が準備できる時間は、受験生に与えられる2時間程度となり、到底充分な時間とは思えない。

 

数学の記述式問題は、正解に至る思考過程を評価するものだと思うが、問いの要求に正しく応答しているか、途中の説明で間違いがあっても結論が正しければ満点にするのか、論理があっておればたとえ結論が間違っていても部分点をあげるのか、その辺になってくると採点者の主観が入ってくるので公平な採点などありえないと思う。要するにこのような大人数の受験生に記述式試験を受けさせることが間違いの始まりだ。個別の大学の二次試験があるので採点は短期間に仕上げなければならない。やはりAIの登場を待つしかないだろう。

 

学生の能力を一律の試験で測定しようというのが、すでに時代に合わないように思う。共通試験などなしにして、各大学が独自の基準で学生を選考する方がいいのではないか。英語圏からの帰国子女と日本で生活してきた学生に同じ英語の試験をして何がわかるのか。ベルギーでは9才の男の子が来月大学工学部を卒業する。希望する学生に自由に勉強する機会を提供する大学にするための入口で国家があまり関与しない方がいい。学生の個性を伸ばすために、いっそのこと共通試験は廃止してはどうだろう。(僕らの時代にはそんなものなかった)

人類滅亡の可能性はあるのか

米雑誌TIMEの記者Bryan Walsh(Princeton大学卒)が書いた本「世界の終わり= End Times: A Brief Guide to the End of the World」が、今アメリカでよく売れているそうだ。記者は2006年から2007年にかけてTIME東京事務所特派員も経験した人で、世界中の自然災害・人災などを取材してきて、予言者ではないが自分なりに未来を予測した本だ。

 

いつの日か人類滅亡があるとすれば、その原因は何かを記者の目で観察したところ、AI(人工知能)又は超巨大火山噴火が一番ありそうな可能性ではないかとの結論に達したそうだ。他には、宇宙人による侵略、地球温暖化、安全でない食事(食物による感染症など)、世界規模の病原菌、小惑星の衝突(その後恐竜が絶滅した)などもあるが、全人類が滅びるほどの原因にはならないだろうとみている。これらは、確かに人類に対する脅威ではあるが、一部の人類はその環境の中でも生き延びることができるはずと考える。しかし、AIと超巨大火山噴火については、全人類を滅亡させるかもしれず、よほど準備をしておかないと一部の人間すら生き延びることができない状況もありうるという。

 

自然が引き起こす最大の危険は巨大火山の噴火だ。2.5億年前のペルム紀、シベリアで超大規模火山の爆発があり、地球史上最大規模の大量絶滅を引起した。地上、海中のすべての生物の90%以上が絶滅に追いやられた。大噴火により発生した大量の灰とすすを含む雨が降り、大気を汚染して急速に地球を冷やす。長期間にわたって太陽光を遮断し、その結果、地上の植物も絶滅、動物も食物がなくなり絶滅するしかなかった。これは6,600万年前の小惑星衝突による恐竜絶滅の比ではなく、しかも、小惑星の衝突は地球外部からの侵入を原因とするが、巨大火山の噴火は地球の内部にその原因があり、現在その可能性を秘める火山は少なくとも20個はあるというのだ。

 

  太平洋の海底、日本の東1,600kmに位置するタム山塊(Tamu Massif)は海底から3,500mの高さだが、30kmもの深さの根を地殻内に張っていて、マントル最上部にまで届く。面積は31万km2(⇔日本の面積37万km2)と、地球最大規模の火山だ。1億4,400万年前に大噴火したこのモンスター火山が次に噴火する時はペルム紀の大量絶滅の再来(又は、それ以上、ペルム紀に人間は存在していなかった)となり、人類は絶滅する。活火山の定義は過去1万年に一度でも噴火したかが基準となっており、億年単位の危険予測を要する人類絶滅の参考にはならない。

 

人間が原因で人類滅亡を引き起こす最大の可能性はAIだと彼は主張する。AIは人間による人類滅亡の潜在的脅威なのだ。人間よりもはるかに賢く、思考速度が極端に速い超高度な人工知能が実現されたら、人間ではもう制御できなくなる。自動運転のTesla社、宇宙船打ち上げ事業のSpaceX社などのCEOであるMr. Elon Muskによれば、究極の高度な人工知能と人間の知能の比較は、今の人間と猫の知能の比較のようなもので、今、人間が地球上の猫を全滅させようと思えば可能なように、将来、超高度人工知能が人類を滅ぼそうと考えたら、超高速で実行に移され、人間には対抗する術を考える時間すら与えられないだろうという。可能性だけで済んでほしいものだが。

五輪マラソン札幌でよかった

IOCは7-8月の東京の猛暑を軽く見ていたことを反省し、暑さ対策として、急遽、マラソン競歩を札幌で開催することを決めた。9月28日、カタール・ドーハで行われた女子マラソンで、4割を超える棄権選手が出たことが決め手になった。ドーハでは日中は暑すぎるとして出発は真夜中の12時としたが、それでもこの結果だから、予定通り来年8月2日女子マラソン、8月9日男子マラソンを東京で強行していたら、どれほどの棄権選手が出てくるか分かったものではない。今年8月15日、五輪の女子トライアスロンのテスト大会が東京で開かれたが、フランス代表選手が脱水症により、救急車で緊急搬送されている。一般にトライアスロンの選手は普通のランナーよりも体は頑丈に鍛えているはずだ。真夏の東京でマラソンなど狂気の沙汰としか言いようがない。

 

そもそも、東京に五輪を招致した時のうたい文句は「この時期(7月24日~8月9日)は温暖でアスリートに理想的な気候」であると東京を売り込んだから、今更、東京の夏は猛暑とは言えない。「屋内の環境は空調がきいて理想的」と条件を付けるべきだったが、東京に誘致するためにはしょうがない。なんとか日本の技術で猛暑の夏をいくらか和らげようと始めたのが、東京の町中を遮熱性舗装・保水性舗装で覆うという事業だ。この3月末時点で遮熱性舗装109km、保水性舗装20km、合計129km出来上がっているという。300億円をかけて「涼しい道路」に改良する一大プロジェクトだが、日本スポーツ健康科学学会によれば、遮熱性舗装の効果はランナーにとって何らメリットはなく、路面の気温がやや低くなるだけで、その上を走る人間が感じる温度は、かえって、普通のアスファルト道路よりも高くなるという。

 

小池都知事はそれでも、東京を走りたいというアスリートのため、マラソンを見たいという都民のために、札幌開催は断固反対と駄々をこねた。とても見苦しい政治家を見た思いだ。東京で強行するのはどう見てもアスリートファーストにはなっていない。来年7月30日に任期が切れる自分の都知事としての身分を確保するための、選挙用のポーズとしか見えない。「私は、これだけ都民のために最後の最後まで東京開催に力を尽くした。だからこの選挙で又知事に当選させてください。」東京五輪は7月24日から8月9日までだから、開会式の都知事は小池で決まりだが、閉会式の都知事は誰になっているか分からない。選挙は恐らく開会式の前に行われるのだろう。

 

IOCとしては、東京マラソンドーハの悲劇は絶対に繰り返したくない。東京で強行する場合は、選手の安全はもとより、ボランティアや沿道の市民の安全にも配慮しなければならない。東京より5-6℃気温が低い札幌の方がよほどましということくらい、東京五輪が決まった時からわかっていたことだ。一番の問題はIOCが放映権を米国に最高に高く売れるこの時期に決めたことが問題で、本当にアスリートファーストと思っているなら、時期を9月とか10月にずらすべきだった。

 

商業主義でIOCもお金にくらんで7-8月開催を決めたのだから、IOCにも責任がある。札幌では会場の収入もないから地元自治体に金を出せとも言えない。この際、IOCが札幌開催のすべての費用を負担して、選手の安全確保を最優先にするのが、IOCの使命だろう。

IS最高指導者自爆

2014年よりイラク・シリアにまたがる広大な面積を、「イスラム教の国」(Islamic State = IS)と主張して支配していたISは、国家としてどこの国からも認められず、出身母体であるアルカイーダとも絶縁状態になって、残った戦闘員は世界各地に散らばってテロを起こしている。ISの最高指導者になりあがった者が、昨日の米軍Delta Forceによる急襲で死亡したBaghdadi(バクダディ)と称する享年48才の男だ。生まれた時の名前は別だが、自分の師であったAbu Omar al-BaghdadiにあやかってAbu Bakr al-Baghdadiと名乗っている。イラクアルカイダの指導者であった先輩Baghdadiは2010年5月殺害され、その後継者になったのが、昨日自爆死を遂げたISのBaghdadiだ。

 

もともとISはal-Qaeda(アルカイダ)から派生した一派だが、Osama bin Ladenが生きていた頃は彼に敬意を表して目立った活動をせず、2011年5月、米軍の急襲でbin Ladenが殺害されてから、独自の活動を始めたようだ。bin Ladenは自分たち独自の国家は持たず、アフガニスタンパキスタンあたりに潜伏していた。Baghdadiはイラクの一部からシリアの一部に至る面積を「国家」と称して、最盛期の2015年は年間国家予算$10億(1,000億円以上)も使っていた。油田を支配して石油を売るほか、銀行強盗、身代金目的の誘拐、武器の転売、麻薬の密売等幅広い資金源を持ち、暴力団並みの悪事を働いていた。異教徒の女性、外国人ジャーナリストなどISに「処刑」された数は数えきれない。

 

貧乏な家の4人兄弟の3番目の息子に生まれたBaghdadiが、なぜISという勝手な国を作り、カリフ(Caliph)という予言者ムハンマッド(Muhammad)の後継者と自称して一時的に最大20万人ほどの戦闘員を抱えることができたのか、それは、イスラム教の信仰のせいではなく、単に現状に不満を持つ若者に傭兵という仕事を与え、生活できるほどの給料を払ったからだ。単なる仕事だけでは若者は命を懸けて戦わないので、宗教を利用しただけであり、Baghdadi自身は敬虔なイスラム教徒でもなく、単なる悪党である。たまたま、大学のイスラム学科を卒業して、博士号まで取ったので、イスラム教を若者に都合よく教えることができただけだ。Baghdadiの言葉を信じて戦闘で命を落としたIS戦闘員は既に64,000人になる。

 

最盛期のISにはシリアのアサド政権派(ロシアも含む)から反アサドの外国勢力も含めほぼ周り一体全て反ISとなってしまい、ISの首都と称したラッカ(Raqqa)陥落後は頻繁に隠れ家を変えて逃げていたが、何度かロシア、イラク、シリアなどの空爆で死亡したと報じられた後も、負傷しただけで生き延びており、今年に入ってから何度かビデオメッセージを流して、Baghdadi健在を誇示していた。しかし、これが命取りとなった。

 

クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」に居場所が漏れて、米CIAにその情報が伝わり、今回の奇襲作戦になった。この情報に対する米国の報奨金は$2,500万(約27億円)。Trumpの手柄ではないが、来年の大統領選挙で自分の実績にするには安い金だと思っているだろう。

英国はEU離脱できるのか

EUはもともと6か国で始まり英国は入っていなかった。途中から(1973年)入れてくれというので仲間に入れたら、今度は自由がないとの理由で出ていくという。6か国で始まって現在28か国のEUだが、自分の意思で加盟させてもらってから途中で離脱したいと言った国は英国だけだ。しかも国民の意思を尊重するという国民投票(2016.6.23)は、現首相Johnsonなどの嘘の情報を信じたり、EUと英国を分断させようとたくらんでいたロシアのネット工作専門業者によるインターネット操作で惑わされたりした国民の意思を反映したものだ。

 

離脱条件で一番もめているのは、アイルランド島に存在する北アイルランド(英国)とアイルランド国の物理的国境がないのに、英国離脱後、関税同盟をどうするのか答えがないからだ。先週JohnsonがEUと交渉して引き出した合意点は、英国は2020年末まで関税に関してはEUの規則に従うというもの。その後はどうなるかというと、同じ島内でEUであるアイルランド(人口460万)とEUでなくなる北アイルランド(人口180万)が隣接して存在し続け、関税制度の異なる2か国間の物流については、両者で委員会を作り、そこが最終仕向け地がEUであるかないかを判断する。そして最終決定権はEUにあるとする。たとえばドイツの自動車が非課税でアイルランドに入ってきて、その後北アイルランドに渡るのか、渡ったのか、最終判断を下す権限はEUにあるというものだ。

 

昔の東西ベルリンの壁のような障壁がないアイルランド島内で、EUから入ってきたモノが北アイルランドを経由してロンドンまで運ばれるかどうか管理するのは現実的ではない。みなしで適当に決めるしかないと思うが、英国のEU離脱派は、主権を取り戻すと主張するので、EUと交渉で合意できるとは考えられない。

 

離脱反対の労働党などは、Johnsonがまとめた協定案では到底受け入れられないと同意せず、国民の多くも再度の国民投票を望んでいるようなので、ここらで第二回国民投票を実施するのが唯一現実的な方法ではなかろうか。英国の決定権にこだわり、もっと大きなEUに歯向かったところで、時代の流れに反しているばかりか、経済的にもより大きな負担を強いられることになるだろう。

 

今までEUの一部として自由にモノ・カネ・ヒトが動いていたのに、それに歯止めをかけようとするのだから、社会の進展に逆行する動きだ。韓国の文在寅北朝鮮と合併しましょうと言うようなもので、経済的にも文化的にも何も良いものはなく、単にすべてを混乱に陥ることになるだけだ。過去の大英帝国は、EU離脱を契機にスコットランドも独立して、小さなイギリスになってしまうだろう。

 

そうなっても構わない、自分だけが存在感を示すことができればそれでいいという政治家がJohnsonでありBREXIT党のNigel Farageらだ。もう第二回国民投票しか道はない。