アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

スイスの番号口座

スイスは永世中立国などときれいなことをいっているが、主な産業は「スイスフラン」とみる。世界中の金持ちがスイスフランを買ってスイスの銀行に貯金を残して死んでいく。番号口座は本人の番号とサインがなければ支払しないから法定相続人が出向いても受け付けてもらえない。番号口座を利用する人はよほどお金をためた人(最低預入金額は邦貨で約1,000万円)だから、そんなに若い人は極めて少ない。家族に相続させようとする財産は番号口座にせず、個人名義にするので、番号口座はやっぱり訳ありの資金だ。そして皆確実に死んでいく。そのお金は銀行・スイス連邦政府と州政府のもの。この口座を持っているイタリア人にきいた話だが、50年出し入れがなければその貯金は銀行・スイス連邦政府と州政府で利益計上してしまうとのこと。もっとも、10年間出し入れがなければ一定の割合で利益計上し、20年、30年、40年でその割合を増して行き、最終的に50年で100%いただいてしまう。もともと金利は付かず、逆に管理費がかかるとのことだから「元利合計」とは言わない。預けている人にとってはかなり大事な貯金のはずだから10年もほっておく人はさほどいないのではないかときいたら、数字は公表しないがかなり多くの人がスイスに貯金を遺贈してお亡くなりになるそうだ。なにせ家族にも言えない秘密の資金だからこそ番号口座にしたのだから、没収されて困る遺族もあまりいない。第一、遺族は当人がいくら番号口座に残していたのか知りようもない。銀行がとる維持管理費は顧客の匿名性を確保する対価である。本人が健康を害して銀行まで出向くことができなくなった時点でこの貯金はいただきだ。こういう人の多くは数年以内にお亡くなりになる。ブラジルの大金持ちが交通事故で亡くなったというニュースが報じられるたびにスイスはますます豊かになる。決してその後「本人」が現われてサインをして引き出すことがない。引き出すことができなくなった人には病気、事故、単なる老衰等の原因から、マルコス、チャウシェスク等の訳あり元国家元首まで無数にあり客には困らない。スイスはマルコス名義の個人資産のうち6億8,400万ドルをフィリピン政府に返還したと公表したが自国にどれだけ残したのかは公表していない。番号口座の分は当然返還していないと推測される。ナイジェリアの元大統領アバチャが国からかすめとってスイスに残していた個人名義の資産のうち7億ドルもスイスはナイジェリア政府に返還したと公表しているが事情は同じだ。日本の反社会的勢力が闇金融で集めた資金の一部52億円を日本から香港に移し更にスイスに移した(当時の換算で6,100万スイスフラン)という事件が公表されたが、組織犯罪処罰法違反(いわゆるmoney laundering)ということが立証されたためスイスはやむを得ず半額を日本に返還した。返還する・しないともめている間に換算レートが変わって6,100万スイスフランが60億円になったから、日本の被害者は30億円を被害弁償の一部として受け取ることができた。残りの半分はスイス連邦政府と州政府が30:70の割合で分け分けしたときく。番号口座にしていたら1円も戻ってこないところだったからあぶなかったが、またしてもスイスは30億円ほど豊かになった。他人の財産管理費用としては膨大な金額だ。番号口座のことを「濡れ手に粟」というのだろう。