アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

地下経済

債務不履行寸前のギリシャEUから莫大な金融支援を得て立ち直ろうとしているが原因の一つが30%以上と言われる闇経済地下経済)だ。地下経済が地上経済の3-4倍規模という北朝鮮は論外としても、「世界の地下経済規模推計」によれば、世界には地下経済GDPの60%以上という国はゴロゴロある(グルジアボリビアジンバブエパナマ、他)。ただ、先進国で30%というのはいかにも多すぎる。あくまでも推計だが先進国の地下経済規模はGDP比8-10%程度といわれている(日米英など)。1980年代のイタリアも地下経済は一概に20-25%といわれていた。付加価値税が当時15%くらいだったから全国民・全ての会社が付加価値税を脱税したと仮定しても20%にはならない。個人・法人の所得税も脱税の対象だし、第一にまじめに税金を払うのは政治家個人のポケットを潤すだけだから正義を求める者は税金を払うべからずなんてことを言う人が非常に多かった。実際に公共事業で南部のどこかにできた橋に国家の会計から10億円ほど支出されたが、第三者機関が査定したところその橋の価値は1/10であったなんて話はよく新聞にも出ていた。残りは政治家仲間で分け分けしている。わが社の取引先であった運送会社に一度財務警察が入ったことがあった。その運送会社も色々工夫して「節税」していたが、運送ごとに義務付けられている運送伝票(bolla d'accompagnamento)を大幅に間引いていたのがばれた。2日間3人の吏員が会社の帳簿・資料を調べてかなりの「不正」を発見した段階で、運送会社の社長からお金で解決したいと3人に話を持ちかけ、決着したという。3日目には彼らが3日間で発見した「脱税」をある程度少なく本署に報告するということになり、これ以上の証拠は見つからなかったという書面にサインしてもらった。見返りに3人に払った金額は1人1,000万リラ(当時の換算で約200万円強)というから財務警察官1人の年収よりも多い金額であるという。つまりこの会社は約600万円を払ってこれ以上の経理の「間違い」はないと証明してもらったのだ。彼らは3日間でほどほどの経理の間違いを見つけたと本署に報告し、片方で各人が年収ほどの収入を得ている。財務警察官たちが1年間で何十件の不正を見つけて、いかほどの副収入を得ているかは知りようもないが、彼らが複数の別荘も船も持っているなんて話はよくきく。今回ガサイレがあってお金で解決したところには向こう3年間財務調査に来ないという不文律があるというから、この運送会社にとって年間平均200万円ほどの保険料で、向こう3年間は安泰というお墨付きを手に入れたことになり、この方が節税になると教えてくれた。道理でイタリアという国は貧乏でも個人の生活は豊かに見えたのだ。我が国はイタリアの財務警察官出身のような人がもしかしたら首相になるかもしれないという危機的状況にあるが、日本国の首相だけは心のきれいな清く正しい人がなってほしいものだ。母親からの多額の贈与に対しばれない限り贈与税を払わないというのも地下経済礼賛者のやることで、こういう人たちこそ地下700メートルの空洞で生涯暮らしてもらったらどうだろう。チリの炭鉱夫たちは一刻も早く引き上げてやってほしいものだが。