アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

極小国アンドラの外交術

スペインとフランスの間にあるピレネー山脈にある国アンドラは小国であるがゆえにどこの国にも併合されずいまだに独立を維持している。1950年代半ばの人口統計では約5,700人、産業といえば農業と牧畜、幸いにして余りにも小さすぎてわざわざ軍隊を出して戦争を仕掛け征服するほどの魅力もないとみられたからであろう。大阪府で一番小さい地方自治体「千早赤阪村」の現在の人口が約6,300人、「千早赤阪公国」が徳川幕府の支配からも免れ日本国から独立を維持して現在に至っているとしたらアンドラ公国のようになっていたのかなと想像するだけで楽しくなる。歴史によれば1278年以降アンドラはスペインとフランスに対して独立を認めてもらう引き換えに上納金を納めている。インフレという概念のない時代だったからスペインには年間460ペセタ、フランスには年間960フランと金額が固定されている。恐らくその当時は両方の金額がほぼ同じ貨幣価値で実質は今よりもずっと大金だったと思われる。その上納金は今の通貨ではスペインに対して2.77ユーロ(約300円)、フランスに対して146.35ユーロ(約17,000円)だから独立保障費用として今となってはうそのように安い。そのアンドラに銀行口座を持つ客からスペインでの商取引の口銭を送金依頼されるとすぐにスペインの税務当局から疑いの目で見られる。アンドラも独自通貨こそ持たないがスイスに似て外国人の金融資産を管理して利益を得ようとする金融王国である。また関税をなくして国中が免税なのでスペイン・フランスから買い物に来る客相手の商業が盛んだ。酒・煙草のみならず砂糖まで一時スペイン国内のおよそ半額で売っていたから、アンドラ旅行のついでに砂糖をたくさん自動車に積んで帰って来たものだ。家電製品から宝飾品・食料品まで両国から毎日たくさんの買い物客が来る。かくしてアンドラの人口は近年急増し1965年頃には1万人、最近は7万人位になっているようだ。アンドラ公国の元首は近年までフランス大統領とスペイン・セウデウルヘル大司教が2年ごとに就任してきたが、1993年制定の憲法ではこの両者を永久に共同元首と定め、この年同時に国連にも加盟した。等距離外交の典型で、軍事費の出費がゼロだが未来永劫フランスからもスペインからも攻略される心配が一切ない。万が一フランス・スペイン以外の国が攻めてきた場合には両国の軍隊がアンドラを守ってくれる約束になっている。そのために年間17,300円ほどの上納金を納めているのだ。