アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ユーロ圏17カ国に拡大

新年1月1日からエストニアが欧州単一通貨ユーロを導入、これでユーロ圏参加は17ヵ国になった。PIIGS(Portugal, Ireland, Italy, Greece & Spain)といわれる財政危機の中にある国から金融支援を受けなければならない国も含めて少なくとも5/17がいわば扶養家族(就学中の子供)のような大家族ユーロ。ドイツ・フランスがこの家族の大黒柱たる共稼ぎ両親とすれば残り10ヵ国(Benelux, Austria, Cyprus, Estonia, Finland, Malta, Slovakia, Slovenia)は就業中の成人した子供だろう。EU加盟国27ヵ国だからユーロを自国通貨に採用しない国があと10ヵ国ある。英国・デンマークは自国通貨にこだわりユーロ加盟義務そのものを免れている(がそのうち加盟したいと言うだろう)。スエーデンは数年以内に再度の国民投票でユーロに加盟するだろうと思われる。残り7ヵ国(Bulgaria, Czecho, Hungary, Latvia, Lithuania, Poland, Romania)は比較的最近EUに加盟したばかりでしかもユーロ導入の経済・財政基準を満たしておらず加盟希望だがまだ加盟させてもらえない。基準の一つである累積債務残高がGDPの60%以内となっているからたとえ日本がEUに加盟していたとしても同比率180%では我が国はユーロを導入させてもらう資格はありません。
EUが「euro」(€)という共通通貨を発明するまでは「ecu」(European Currency Unit)という仮想通貨単位が商取引で一般に使われていたから将来的にはドルのようなヨーロッパ共通の通貨ができるのだろうという漠然とした期待はあったとしても本当に導入されて現実に使われ、しかもそれが曲がりなりにもドルに対抗するまでに成長するとは当時思わなかったし思えなかった。イタリアの通貨リラは最終的に1ユーロ=1936.27リラの交換比率になったから200万リラの給料をもらっていた人は約1,000ユーロの給料に減る。1980年代、リラがあまりにもゼロが多すぎるので1/1000のデノミをすべきかという議論があったころ、多くのイタリア人は絶対反対、毎月給料日ごとに百万長者になった方がずっと楽しいと異議を唱えていた。それが現実には約1/2000の実質的デノミになったことになる。新通貨の名称についても2大国たる独仏いずれかの通貨を使うべきかとの議論があったがマルクは実力があり過ぎてイメージが悪すぎ、フランではどうかと議論されていた時期があった。スペインでは人生の三大重要要素は「Salud, Amor, Pesetas」(健康、愛、お金)となっていて、「乾杯」と言う時に「Salud!」とだけいうことも「Salud, Amor, Pesetas!」と全部言うことも一般的だが、新しい通貨がフランになった場合、フランス語のfrancはスペイン語でfrancoとなり悪名高き独裁者Franco将軍の名前と同じなのでこれだけは絶対反対とスペインが拒否したいきさつがある。特にカタルニャの人々は口が裂けても「Salud, Amor, Francos!」と乾杯するわけにはいかない。というわけで1995年12月マドリードで開催された欧州理事会で「ユーロ」の名称が正式に決定した。その欧州理事会がスペイン以外の国で開催されていたらスペインにとって悪夢のような通貨の呼称が決まっていたかもしれないと思うと、多くのスペイン人は「神は我々に味方してくださった」と思ったことだろう。