アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

性犯罪者に化学的去勢の刑罰

性犯罪者も人間であり人権侵害は許されないという理由から、刑罰としての外科的去勢を実施している国は北欧・西欧のほんの一部に限られる。しかし薬物治療である化学的去勢を強制的に行っている国は意外と多い。米国の8州、カナダ、ノルエー、スエーデン、デンマーク、スイス、ドイツ、そして昨日、韓国が新たに加わった。ロシアは現在議会で議論中。

性犯罪は男性ホルモンの分泌過剰を原因とする性的衝動に当人が堪えられなくなって起きるという発想をもとに化学的去勢療法は発明された。性犯罪者の身に男性ホルモン遮断薬物などを入れ、男性ホルモンであるテストステロンの血中数値を下げて性的衝動や性欲が生じないようにする。副作用として長期的には慢性疲労うつ病、頭痛、肝機能障害などを起こすと言われているが、薬品の投与をやめれば性欲は再びもとに戻るそうだ。

韓国は昨年7月24日に「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」を制定・公布し、1年後の昨日からこの法律が施行された。今後、16才未満の未成年者に性的暴行を加えた犯罪者には化学的去勢として薬物を投与する。性暴行の容疑で現在裁判中の犯罪者中、とりあえず20人余りが化学的去勢治療を受けることになる。韓国政府によると、化学的去勢治療の対象となるのは、19才以上の児童性犯罪者で、年間約100人になるだろうという。化学的去勢治療命令は、精神科の専門医による診断に基づき裁判所に請求される。請求が認められると、裁判所が15年の範囲で期間を定め治療命令を下す。化学的去勢には「ルクリン」など前立腺がん治療に使用されている薬を使う。前立腺ガンには男性ホルモンが関係しているから、女性ホルモンで治療し、ガンの進行を遅らせる。その治療により、男性患者は前立腺ガンの進行を遅らせることが保障されるが、女性ホルモンの作用で中性化されてしまう。場合によっては胸が膨らむこともある。前立腺ガンの治療の場合は、本人の了解のもとに、ある意味で人為的な改造人間を作り出すわけだが、刑罰として薬物治療をする場合は本人の了承は関係なく、強制的にするところが人権団体からいちゃもんつく部分だ。「児童を保護するためには避けられない措置」であり、「児童や青少年が性犯罪の危険から脱し、明るく健康的に発育する社会環境作りの助けになる」はずと韓国法務部は期待している。

韓国の動きに刺激されたのか、ロシア議会下院には、児童わいせつ罪を犯した者への刑罰として化学的去勢を導入するための法案が今月提出された。ロシアでは、児童わいせつ犯罪者の97%が再犯に及ぶとのことで、最近4年間で、児童わいせつ犯罪の事件は25倍に増えているため、刑期を終えた児童わいせつ犯罪者を強制的に去勢すべきだと提案している。外科的去勢は二度と元に戻らないが化学的去勢はそこまで強烈ではないので、わが国でも必要な者には刑務所を卒業する前にやってもいいのではないだろうか。