アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ハニーロンダリング

ビタミン、アミノ酸、鉄分、カリウム、カルシウムなどの豊富なミネラルが摂取でき、しかも殺菌力・防腐性のような効用を得ることができる天然の蜂蜜だが、アメリカではここ数年、中国産の蜂蜜が原産国を偽ってアメリカに大量に迂回輸出されているのが問題になっている。中には天然の純粋蜂蜜も混ざっているかもしれないが、価格から判断して非純粋蜂蜜であることが容易に想像できるものが極めて多いそうだ。元々米国は蜂蜜国内消費量の半分以上を輸入に依存しているところに、国産の蜂蜜生産が減少しているという背景もあり、アメリカの蜂蜜輸入量は増加している。一方の世界最大の蜂蜜生産国中国においても蜂の伝染病などで蜂の巣が減ってきており、蜂蜜の生産量も確実に減少している。中国の蜂蜜生産量は十数年前に比べて3分の1に減少したはずという説もある中、なぜか統計上は現状20万トン強あるようだ(社団法人日本養蜂蜂蜜協会、2003年は26.8万トン)。日本でもstreptomycinとかchloramphenicolなどの抗生物質の含まれた中国産蜂蜜が上陸直前の検査で見つかり廃棄又は積み戻し処分になった事件があったが、アメリカの場合は輸入港の数も多く輸出国も多岐にわたるので抜き打ち検査を巧みに素通りする事例が多いという。これらの抗生物質は蜂の伝染病である腐蛆(ふそ)病を防ぐために違法に使われるがもちろん人体には有害だ。アメリカには中国から直接輸入される中国産の蜂蜜のほかに、中国産でありながら他国で梱包し直して原産地を偽って入ってくる蜂蜜が後を絶たない。代表格はロシア、ポーランド、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、オーストラリア。中にはシンガポールバハマなどの蜂蜜を生産もしておらず輸出をした記録もない国からの輸入まであるという。背景には中国での生産から梱包・販売までを世界的に管理している大掛かりな蜂蜜の密輸業者組織があるといわれている。非社会的勢力の資金洗浄をmoney launderingというが、中国産蜂蜜の密輸業者の活動はhoney launderingと言われて米当局は目を光らせているようだ。この業界にも技術革新の波が押し寄せ、今や花の咲かない時期に澱粉から人工的に作った異性化糖という安い甘味料を蜂に与えることで安定して「蜂蜜」を採取できるそうだ。しかし、当然のことながらいくら蜜蜂が集めたからといっても、異性化糖を餌にして採れた蜂蜜に蜂蜜本来の効用はまったくない。やはり蜂蜜は1匹の蜂が腹いっぱい吸い取った花の蜜(0.02gram)からできた純粋なものだけを人間が横取りさせていただいてパンに塗って食べるのが一番健康にいいと思われる。(蜂に対する道義的責任は問わないでください)