Trumpによる米中貿易戦争が始まった。米中共に500億㌦に及ぶ品目に25%の関税をかけるというものだ。確かに中国の国営鉄鋼生産は法外な規模に拡大した。今や世界生産の半分(83万㌧)を中国一国で生産する。米国の鉄鋼生産8万㌧は中国の10%ほどに過ぎない(日本は10万㌧)。私企業ならばそんな無節操な増産などやらないところだが、相手は共産国、国策だから世界の鉄鋼市場を独占することも理論上可能だ。資本主義圏の私企業ならばコスト計算があり、採算が合わなければ増産などできないが、共産中国はコストはどのようにでも計算できる。あってなきが如くだ。だから他国で不当廉売と言われても自国では正当なコストと主張する。
基本的に自由貿易は経済学上すべての国に利益をもたらす。しかし、そこには、コスト計算の基準が異なる巨大な共産圏の企業・国があるという前提にはなっていない。中国の経済規模が小さかった時は未だ大して問題にならず、米国は共産圏中国をWTOに参加するのを認めた。しかし、中国の経済成長は1960-1970年代の日本同様の高度成長を続け、今や日本を抜いてGDP世界第二位になった。この規模で、勝手な基準で、他国に自由に土足で上がってこられてはたまらない。
知的所有権も今回の貿易戦争では問題になっている。世の中、ハイテク商品が氾濫しているが、中国は知的所有権として守られている企業秘密まで、も公開しないと通関させない方針をとっているので、公開したくない情報の詰まった商品は中国には売れない。どんな仕組みでできているハイテク商品なのかそれを公開してくれなければ、一旦、、事故が起こった場合危険だから国が管理するという論理だろうが、明らかにこれは知的所有権を横取りする国策だ。
中国は情報規制もしているので、SNSなど世界中で自由にやり取りできる情報発信が規制される。何もかも自由とするとfake newsなどでロシアのような国が他国の情報を操作して自分に都合の良い方向に持っていこうとするから、歯止めは必要なのだが、人口13億の人間を管理しようとすれば情報規制しかないらしい。習近平がtaxhavenに隠してある個人資産に関する情報など中国国内では検索不能だ。為政者が自由に情報操作できる。