アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

米国の医療保険改革法に最高裁合憲判決

アメリカでは低所得者には国の無償の医療保険があり、給与所得者には会社の医療保険がある。自営業者その他の者は民間の医療保険に加入するのだが、世界一自由の国アメリカの医療保険は富裕な白人が始めた保険会社ばかり。掛け金を上げていくら利益を出そうと自由だ。経営者だけでなく利益が増えれば従業員もその恩恵にあずかる。日本の地域独占電力会社が原発でもうかれば従業員の待遇が良くなるのと同じ構造だ。私企業である保険会社は利益追求を目的にしている。加入を希望する個人にとって全額自己負担だから掛け金も高すぎ2010年Obama大統領の医療保険改革法(Obamacare)が成立したが保険未加入の人口は未だに約4,700万人あるという。無償の医療保険に加入するには一定額以下の収入でなければならず、その収入をわずかでも超える個人経営者等は掛け金が高すぎて加入できない。持病がある等の人は殊更に掛け金が高くなり、その上大きな病気や事故で入院したりすると、2ヶ月ぐらいで保険を切られ、入院料(一日平均3,000泡24万円)を払えなくなると病院から追い出される。

Obamacareでは2014年までに段階的にこれら4,700万人の無保険者全員に保険加入を義務付け、保険会社にも加入・更新の受入れを義務付け、違反した者に罰金を科す。国庫から相当の出費をすることで保険料を安くして加入しやすくし、同時に既往症などを理由に保険加入・更新の拒否を保険会社に禁止するのだが、医療保険の主体は民間企業なので、自由の国アメリカには保険に加入する自由も加入させない自由も尊重すべきというおかしな主張をする者が結構いるようだ。

保険に加入しない自由を認めないのは憲法違反として最高裁で審議されていたところ、28日ついに最高裁判決が出た。裁判官9人のうち最高裁長官を含む5人が賛成、4人が反対で、5:4によりかろうじて合憲判決となった。「国民に保険加入を義務付け、違反した者に罰金を科すのは連邦議会立法権限の範囲内であり、個人の自由を侵害するとはいえない」とした。

この医療保険制度改革は、過去にはTheodore Roosevelt, Bill Clinton 等の大統領がやろうとしてできなかったことであり、やっとObama大統領だからこそできたという難題だった。恩恵を受ける4,700万人の中に多くの黒人が含まれると言われ、経済的に恵まれないアメリカ人には福音ではあるが、富裕層・保険会社側は税金の間違った使い方と批判している。「医療保険に加入しない自由」と「経済的理由で加入しない自由」「採算が合わないから加入を認めない自由」をごちゃ混ぜにしているのではないか。11月の大統領選挙で民主党Barack Obama氏の対抗馬である共和党のMitt Romney氏は、自分が大統領に当選したら初日にObamacareを撤廃すると公約している。良識的なアメリカ人が「自由」をはき違えることがないように望む。