アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

日米で共にオリンピック柔道金メダル各1個

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ロンドン・オリンピック柔道で日本は女子軽量級(57kg)松本薫選手の金メダル、アメリカは女子準重量級(78kg)ケイラ・ハリソン(Kayla Harrison)選手の金メダルと、日米の柔道界の金メダル数は一見平等だ。特に松本選手の眼差しは決勝戦開始前から結果金メダルを予感させる鋭いもので柔道の魅力を充分に感じさせてくれた。これで日本のオリンピック柔道金メダルは通算36個となる。一方のアメリカ人judoka(柔道家)Harrison選手(22才)の金メダルについては全米で大歓喜にあふれている。それもそのはず、1964年東京オリンピックで正式競技種目になった柔道でアメリカの金メダルは今回が史上初めて、男女合わせて全米初の金メダル、それも待ちに待った金メダルだ。あれだけ各種目で金メダルをかき集めている金メダル大国アメリカにとって、柔道の金メダルだけは今までずっと高嶺の花だった。前回オリンピックまでに柔道で米国の勝ち取ったメダルは銀3個、銅7個の合計10個だけ。その内銅メダル2個は同じjudoka(Jimmy Pedro)がとっているので全米のメダリストは9人しかいなかった。

そこに登場したのがオリンピック初出場のHarrison選手、黒帯judokaである母親の影響を受けて、6才から柔道を始めた。15才までに2度全米チャンピョンになる。世界ジュニア柔道選手権大会においては2008年(18才)優勝、2009年(19才)準優勝。2年連続決勝戦に進出したアメリカ人judokaはこの前にも後にも他にいない。2010年(20才)東京で開催された世界柔道選手権大会で全米女子柔道史上初の金メダリスト、翌2011年(21才)パリで開催された同大会では惜しくも銅メダリストとなるも、ロンドン・オリンピックでは全米のjudokaから金メダルを期待され、自身も「ロンドンに銀を取りに行くのではない」と公言していた。年初に起きた練習中の靱帯損傷という事故を乗り越えて、永年の苦手の相手Abigel Joo(ハンガリー)に一本勝ちしてから金メダル獲得を確信したという。準決勝で世界ランク1位のMayra Aguiar(ブラジル)にも一本勝ち、決勝戦では地元英国の期待を一身に背負ったGemma Gibbonsから2個の有効をとり文句なし世界王者に登りつめた。

ところが優勝会見で彼女が語った今までで最もつらかったこととは、14才からの約3年間、当時の柔道のコーチ(彼女が8才からコーチをしていたDaniel Doyle=性的暴行罪で2007年から懲役10年の刑に服役中)から秘かに性的被害を受けていたこと。ヴェネズエラ、ロシア、エストニア等国外遠征に出るたびにDoyleに強姦されていたという。元コーチに脅され誰にも相談できなかったが、16才の時に友人のjudoka(Aaron Handy)に告白、母親が警察に連絡してDoyle逮捕に至った。怒り狂った母はDoyleの車の窓ガラスを野球のバットで粉々にしたという。Harrison選手はこの事件を機にOhio州からBostonに移り、全米唯一のオリンピック・メダル2個を保有するjudoka Jimmy Pedro(1996年と2004年銅メダル、現在41才)道場で柔道を続けることになった。一時は柔道そのものを嫌いになり自殺まで考えた16才の少女は、アメリカの柔道金メダリストを育てるという強い信念を持った新師匠Jimmy Pedro父子(Jimmyの両親ともjudoka)の指導のもと、つらい過去に打ち勝ち全米初の偉業を成し遂げた。あの時柔道をやめていたら自分は単なる性的暴行の被害者で終わっていたが、つらい過去があったからこそ、早朝4:30からの筋トレなど過酷な練習をものともせず柔道を続けてくることができた、これからは自分と同じような被害者を励ますために尽力したい、そのためにも柔道を続けたい、そして大学にも行きたいと語る彼女のそばにはDoyle事件を打ち明けられた婚約者Aaron Handyがいた。