アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

子供の命名権

自分の子供に好き勝手な名前をつけるのは親の権利と思っている人は世界中いたるところにいるようだ。20年前東京で、男の子に「悪魔」という名前をつけようとした親がいたが、市役所戸籍課を管轄する法務省民事局が認めなかった。悪魔に負けない強い子になってほしいと願う親に対し、法務省は、子供の福祉を害する恐れがあり、親権の濫用であるとした。高裁で争っているうちに親が諦めて「タクマ」としたのか、裁判は途中で中断された。この父親は命名騒動の3年後に、悪魔の誘惑に負けたのか、覚醒剤取締法違反で逮捕されている。

ニュージランドでも同じようにわが子に「悪魔 = Lucifer」(Lucifer=Satanと同義)と命名しようとする風変わりな親が時々いるらしく(過去12年で6回Luciferの申請があったという)、今月、同国出生届受付機関は、名前に使用できない名称一覧を公表した。全て過去に命名申請を却下したものばかりだ。" Lucifer"はもちろん、マフィアを恐れない強い子になってほしいとの願いを込めた"Mafia No Fear" (マフィアなんて怖くない)も公序良俗に反するとして認められない。4年前、子供の名前を変えるよう命じられた両親がNZ政府の命令に従わなかったため9才の娘は親元から強制的に引き離された。フラの上手な踊り子になってほしいと願うのはともかく、" Talula Does the Hula From Hawaii" (タルラはハワイのフラを踊る)は誰が考えても子供の名前としてふさわしいとは思われない。この子は" Talula"だけにしてもらったのだろう。

スエーデンでも過去、自分の子供にふざけた名前をつけようとして罰金刑になった親がいる。1991年に生れた息子に"Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116"と命名したが受理されなかった。この43文字で「アルビン(Albin」と読ますのだそうだが到底不可能だ。納得できぬ親は裁判にも持ち込んだが敗訴、腹を立てた両親はその後改めて息子の名前として"A"("Albin"と読ます) 1文字で届け出るもこれも裁判所で却下されている。

平成12(2000)年「オレにふざけた名前をつけやがった」といって息子が父親を殺害する事件がおきた。長男に「鼎」(カナエ)といういい名前をつけたはずの父親だが、子供は漢字の意味を理解せず、女の名前をつけられたため自分の人生がうまくいかなかったと父親を恨み、53才になった長男が、73才の父を包丁で刺し殺したのだ(懲役14年)。学校の先生には何と読むのかと文句を言われ、友だちには女の名前かとバカにされ、通信販売では女性用のカタログが送られてくるし、団体旅行では男女逆の部屋割りにされる。親には命名権があり、親の好みで勝手な名前をつけるのは結構なことだが、一歩間違えれば、一生子どもに心理的な虐待を与えるものでもあるので、あまりにも特殊な名前をつけるのはやめるべきだろう。たかが名前だが、生れてから与えられるものの中で結構大切なものだからだ。