アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

高齢者に超法規的保護は必要か

今月23日、東京拘置所で病死した死刑囚(綿引誠、享年74才)がいる。35年前、少女(資産家妻の養父の娘)を身代金目的で誘拐・殺害して死刑が確定していたのに、歴代法務大臣の職務怠慢による死刑執行引き延ばし(刑事訴訟法第475条によれば、死刑判決から6カ月以内に死刑執行命令書に署名しなければならない)により、まんまとこの歳まで天命を全うさせてしまったのだ。生きる権利がなかったくせに、少なくとも最高裁判決確定から25年間、国費で衣食住を賄い、逃亡防止のため、国費で看守をつけていたのだから、我が国はどこまで無駄な出費をすれば済むのか。

国費をこれから社会に貢献する若い世代に使うとか、これまで社会に貢献してきて今は病弱・老齢になった、それほど若くない世代に使うならまだしも、国家が「死ね」と見放した人間に、これほど長期にわたって、経済的面倒をみなければならない理由はない、と言わなければならない。死刑執行をしない正当な理由がない限り、死刑判決から6カ月以上経過した死刑囚の扶養義務は、過去一度も死刑執行命令書に署名せず、自分の職務を果たさなかった歴代法務大臣達に負わせてはどうだろう。裁判所が10年もかけて審理し、ようやく結論を出した死刑判決であるのに、くも膜下出血で病死となれば、実質無期懲役となんら変わるところがない。死刑執行されることなく高齢者になった者に、超法規的保護が与えられるのは正義ではないだろう。この死刑囚が病死しても、まだ、わが国には死刑執行されていない確定死刑囚は134人もいる。

イタリア元首相ベルルスコーニ(76才)も今月24日、2010年、当時17才のモロッコ人ダンサーに日本円で約5億8,000万円を払って買春行為をしたとして、未成年者買春の罪で、禁固7年+永久公職追放のミラノ地裁判決を受けた。この少女は元首相と性的関係を持っていないと証言するも、彼女が窃盗の容疑で逮捕された際に、元首相は警察側にはたらきかけ、釈放させた経緯あり、証言に信憑性がないことは明らか。元首相は職権乱用の罪の他、巨額脱税の罪にも問われているが、控訴するとしており、麻薬密輸疑惑、マフィア癒着疑惑など、あまりにも沢山の罪を犯しているため、全ての判決が最高裁で確定する頃には100才を超えるだろうから、現世で収監されることはないのではないか。高齢者故の超法規的保護の例になるだろう。

我が国にもかつて金丸信という高齢者故の超法規的保護を受けた自民党政治家がいた。いわゆる「金竹小」という極悪政治家3人組の大ボスだが、東京佐川急便献金5億円、不正蓄財数10億円等の脱税により逮捕された時は78才、地裁の判決が出る前に脳梗塞により死亡(享年81才)。自宅に時価1,000万円以上の金塊を隠すなど、あまりにも複雑な蓄財をしていて、最高裁で罪が確定するまで生き延びるには無理のある高齢者だった。この手の高齢者には、早めに最高裁判決を出してあげて、現世で罪を償う機会をさし上げてほしいものだ。