アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

国際刑事裁判所のお尋ね者・金正恩

国連の「北朝鮮における人権に関する調査委員会」(委員長は元オーストラリア最高裁判所裁判官Michael Kirby)は月曜日、11ヶ月に及ぶ調査の結果を372ページに及ぶ報告書の形で公表した。この最終報告書は、320名に及ぶ脱北者等の証人や強制収容所から命からがら脱出できた被害者等の証言をまとめたものだ。横田めぐみさんの両親など、日本人拉致被害者家族の聞き取りの内容も盛り込まれている。結論として、国家ぐるみで組織的に「人道に対する罪」が犯されており、その全責任は国家最高指導部の金一族にあると非難、金正恩ら指導部の責任を追及するよう国連安保理に勧告した。

この中で、最も恐ろしい強制収容所の実態が暴かれている。ヒトラー・ドイツの強制収容所旧ソ連強制収容所が廃止されても、なお、北朝鮮強制収容所は1950年代から、金日成金正日金正恩と三世代に渡って60年もの間続いているのだ。金一族の独裁を批判する政治犯本人のみならずその家族、宗教の信者、中国との国境で捕まった者、外国のビデオを見たとか、空腹のあまり非合法の食料を調達した程度の者まで強制収容所にぶち込まれ、子々孫々の代まで決して外に出ることは許されない。証言をした者の中には、この強制収容所で生まれた人までいる。

外の世界で生きる者でも充分な食料が手に入らず餓死している国である。強制収容所の中で餓死する者の数は驚くばかり、軽い規律違反で公開処刑された者も含めて、金日成の代から数百万人の犠牲者が出ているという。餓死だけでなく、拷問死、処刑も日常的にあって、収容所に連れてこられる人の数はいくら増えても、収容されている人数は12万~20万人と推測している。(半数以上は政治犯収容所)

強制収容所の中の生活は基本的に飢餓との戦いで、生きた虫、ネズミ、ヘビでも見つけたら食べる。作業中に食べることができそうな草を見つけた少女が、草をポケットに入れるところを監視に見つかり、監視がその子を踏みつけ、土も根も付いた草を食べろと強制した。土まで食べさせられてその子は病気になり亡くなったが、他の20体ほどの死体と共に連れて行かれたという。監視が飼っている犬の餌になるそうだ。

最終処分場と恐れられる第16収容所(核実験施設の隣)から例外的に脱出した人が、ただ一人、今回の証人の中にいた。他の収容所から夜間貨車に乗せられ1,000人単位で第16収容所に到着する。自分の入る穴を掘らされ、そこでハンマーで頭を殴られて穴に落ちていく。貨車が何台到着しても、順次、手際よく処理されるので、収容所があふれ返ることはないという。ここには人権の微塵もかけらもない。国連は「金正恩を逮捕せよ」と言っているに等しい。