先週の16日、パソコン遠隔操作ウィルス事件の第8回公判の最中に「真犯人」を名乗るメールが報道機関に届き、主任弁護人の佐藤弁護士は、これで無罪勝ち取り間違いないと小躍りした。しかし、執念の尾行を続けていた警視庁捜査員は、本当の「真犯人」片山祐輔(32才)が、前日の15日午後、東京都江戸川区の荒川河川敷で袋に入った携帯電話を埋めているのを確認、その解析結果、この携帯電話から「真犯人」を名乗るメールがタイマー送信されていたことを突き止めた。
決定的な証拠をつかまれて逃げようがなくなった真犯人は、終に全ての事件は自分が仕掛けたものであることを弁護士に話した。昨年の正月、江ノ島の猫に首輪をつけたのは自分ではないとしらを切っていたが、ここに及んで自分でしたと認めた。彼は検察も弁護士も、1,000万円の保釈金を払ってくれた自分の母親までもだまし続けてきた。真犯人片山だけが人をだますならまだしも、彼と一体となって今まで世間をだまし続けた主任弁護士も、国費を使って国民を欺いてきた「真犯人」と一心同体のように思う。
思えば、自称全聾作曲家・佐村河内の弁護士も、ゴーストライターが自由に話もできて、作った音楽も聴いてもらっていたと証言した後も、最後まで、自称全聾作曲家が障害者手帳を持っているという理由で、「彼は本当に耳が聴こえない」と断定し続けた。国税で雇っている国選弁護人が、これだけ徹底的に国民を欺くのを防ぐ方法はないのだろうか。
ジャーナリスト・江川紹子に至っては、真犯人片山の嘘にすっかりだまされて、「一年以上身柄を拘束する人質司法は、裁判をやる前から罰を加えるやり方で、懲役刑よりひどい」と言って、3月の保釈が遅すぎたことを強烈に批判していた。今回のタイマー真犯人メールの証拠がつかまれなかったならば、決定的な証拠がないとして、弁護士は片山の無罪を確信していた。第一に検察は、犯人性の立証ができていない、第二に、合理的な疑いを抱かせる証拠が存在する、というのだ。要するに、検察側の「証拠構造」には脆弱性があるとたかをくくっていた。