カジノ特区法案(正式名称「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」)は継続審議になったが、自民党はじめ賛成している国会議員が多いので、一・二年以内には、いずれ衆参両議院で通るのだろう。こうなったら、我が国に合法カジノができるという前提で、ある程度腹を決めておく必要がある。
カジノ推進派によるカジノの主な効果は①雇用創出、②税収増、③観光客増だ。確かに雇用は増えるだろうし、国内外からの観光客も増えるだろう。税収をどのように確保して何に使うかを、事前に決めておく必要がある。ドイツは粗利益の80%を税金として徴収している。しかも即日納入義務だ。違反すればすぐに免許停止になる。スイスは税金の使い道を限定している。大都市にある大型カジノ施設(外国資本、A免許)の税金は全額年金基金に、郊外観光地にある小規模カジノ施設(地方自治体が運営、B免許)の税金は、60%が年金基金に、40%が地方自治体に納められる。
我が国も、高額の賭博税を課し、収入の大半を国民年金に納まるようにすれば、どうせ自民党などの多数決で通ってしまうカジノ法案だから、賭博の社会的リスクはさておき、悪法もいくらかは罪滅ぼしになるかもしれない。わが国では賭博は違法であるから、闇の違法賭博が存在する。頻繁に摘発される違法賭博場のニュースから伝わるのは、暴力団などの闇の組織の存在だ。免許制の合法賭博が出てくると、闇の賭博が減るのではないかとの期待もある。
一方で560万人のギャンブル依存症患者数(成人人口の5.6%)が更に増えるのだろうか。グレー賭博であるパチンコなどによるこれらの依存症患者は、カジノができたら、カジノとパチンコの両方をすると決まっているわけではなく、パチンコがすたれて、カジノに客が流れるだけかもしれないから、総数は増えないのかもしれない。