アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

裁判員裁判の死刑判決を破棄する裁判官

最高裁23日の2件の判決に続き、9日、3件目の裁判員裁判死刑判決破棄を決定した。20103月に発生した長野一家三人殺害事件。当時62才の会社社長(男性)とその息子夫婦(当時それぞれ30才と26才)の三人は、当時全員30代の従業員だった男ら三人(松原智浩、伊原和史、池田薫)にロープで首を絞めて殺され、現金約416万円が強奪された。4人目の男(当時51才、自営業)が、長野県から愛知県まで遺体を運び、資材置き場に埋める役割を担当、謝礼として200万円受け取った。
 
一審裁判員裁判では、殺人に直接関与した3人を死刑とし、4人目の遺体運搬・遺棄役を懲役28年としたが、「人情派」の東京高裁・村瀬均裁判長は、主犯の池田薫(39才)につき、強盗殺人・死体遺棄に「主体的」に関わっていなかったとして、無期懲役減刑し、遺体運搬・遺棄役の男については、「反省し、被害者らの冥福を祈っている」として、懲役28年から18年に減刑してあげた。
 
一審裁判員裁判で、池田薫は、共犯者から呼び出されても犯行を止めさせなかったばかりか、殺害を遂行するために重要な協力をしたと認められて死刑になったが、二審の村瀬裁判官は、「共犯者に巻き込まれる形で犯行に加わっており、被告には計画性もなかった」から死刑は重過ぎるとして、無期懲役とした。彼がロープの一方を引っ張って首を絞め殺したのは二人だけだから、死刑では刑が重すぎるらしい。村瀬裁判官は、遺体運搬・遺棄役の男についても、直接強盗殺人実行に加わっておらず、仲間がやった後の遺体運搬・遺棄だけを担当しただけなので、28年の懲役は長すぎると判断した。しかし、運搬・遺棄係が確保できなければ、殺人自体も実行できたかわからないわけで、一審が認めた共謀共同正犯のほうがわかりやすいが、温情派裁判官は、単なるお手伝い(強盗殺人幇助)であるから罪は軽いと判断した。ここには、無念にも亡くなった3人の犠牲者本人と遺族の感情が無視されてはいないか。
 
せっかく国家予算40億円以上かけて、国民に裁判員になってもらう制度を立ち上げておきながら、裁判員になった国民の意見を尊重せず、裁判官の独立ばかりを強調されては、利用されただけの国民もたまったものではない。確かに三審制だから、高裁、最高裁で覆ることがあっても不思議ではないが、杓子定規に量刑を決めてもらっては、判決に民意を反映させるはずの裁判員裁判が泣くというものだ。
 
事件はそれぞれみな内容が異なるので、被害者の数が何人とか、主体的に関わっていたかどうか、その後真摯に反省して被害者の冥福を祈っているという罪人の言い分を素直に信じるかどうか、神の立場ではなく、感情を持った人間の立場で裁くことができる人を裁判官にしなければならない。過去の判例でデータを作り、それを個々の事件に当てはめるだけなら、コンピューターに判断させたほうが、過去の判例と均衡の取れた判決を作れるのではないだろうか。