アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

大塚家具世代間闘争

27日の株主総会で、父娘が委任状争奪戦を繰り返した大塚家具の内紛に決着がついた。父(71才、会長)と長女(47才、社長)の一騎打ちだが、父の側には母(68才、相談役)と長男(46才)がつき、長女の側には次男、次女、三女(三女の夫=取締役=も含む)がつく。一家が二手に分かれて、創業者父親の経営方針に従うべきか、現代才女長女(一橋大学卒)の経営に任せるべきか争った。父会長は個人で最大の大株主だが、結果は自身の18%を含めて合計36%の支持票しか集められず、長女側の圧倒的勝利に終わった。
 
一介の桐たんす職人から27才で独立、家具の多店舗定価販売事業を起こした実業家に成長したが、海外の家具がたくさんあるので見に行こうとすると、まず入り口で会員登録をさせられ、社員がべったり横について、店を出るまで付きっきりの接客をしてくれる。何も知らない客なら感謝もしようが、僕もスペインに8年住んでいたからValentiの家具がどれほど有名で何が特徴かくらいは知っているのに、それをことさら詳しく説明してくれる。現地と同じ値段で販売しているとも説明してくれたが、輸送費用もかけて持ってきているし、大塚家具の利益も上乗せしているから、明らかにスペインの小売値より高い。確かに個人輸入と比較すれば大塚家具で買う方が安いだろうが、Valentiが高すぎるなら、スペインではAlmazánにするのに、大塚家具では扱っていないから、うちには一流品しか置いていないと説明する。
 
しつこく、付きっきりで説明を受けるのが厄介だから、大塚家具から客は遠のくとして、接客販売を展示販売方針に変えたのが2009年社長に就任した長女・大塚久美子氏だ。富裕層向けの高級家具一括販売で成長した大塚家具ではあっても、これ以上伸ばすには、イケア、ニトリの一格上程度の普及品を扱わなければならない。しかし、父会長には会社をここまで伸ばしてきた成功体験があるから、高級路線を娘に勝手に変更されるのは納得いかない。長女を会社から追い出して自分が社長に復帰すると宣言したから、今回の株主総会委任状争奪戦に発展した。
 
時代は変わっている。70代の老人がでしゃばるよりは、40代の子どもに任せたほうがいい。新旧の価値観は常に異なり、古い価値観を子どもに強要するのを老害という。誰のせいでもなく、昔正しかったことが、いつの間にやら間違ったことになるのが世の移り変わりというもの。ホンダのように、自分の子どもを自分の会社に入れないという方針の本田宗一郎氏を見習い、今回の株主総会で勝利したかぐや姫殿は、次は1,750人の社員の中から社長を選ぶ方針にして、世襲経営から卒業すべきだ。会社はいつまでも創業家一族の私物ではない。所有と経営を分離して、後継者を育てれば、会社は確実に成長するだろう。