アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

亀岡無免許暴走事件の民事裁判

ちょうど3年前の今月、京都・亀岡市で登校途中の児童ら10人が殺傷された自動車暴走事故で、無免許運転していた当時18才の少年は、自動車運転過失致死罪で懲役59年の不定期刑を言い渡され、刑罰は確定した(阪高判平25.9.30最高懲役20年までいける、危険運転致死傷罪での起訴を見送った検察の言い分は、この少年が2年前にも無免許暴走族で検挙されていて、その後も無免許運転を続けていたので、いくら無免許運転の常習者であれ、「未熟な運転技能」を立証することが難しいため、ということだった(その間、偶然にも事故を起こしていない)
 
危険運転致死傷罪刑法§208-2)は「その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者」を対象にしており、通常は運転の技能はあるが、事故当時は長時間の運転で疲労が限界に達しており、事故直前はほとんど意識がなかった者が事故を起こしても、「危険運転」とはいえない、という論理だった。ならば、運転が上手であれば免許証は不要かという議論にもなり、法の不備が指摘された。
 
こうして、事故の翌年成立した法律が「自動車運転死傷行為処罰法」だ。無免許運転中に事故を起こした者は罪が加重される。今回のような無免許で事故を起こした者は、未熟運転を立証する必要がなく、無免許運転と死傷の因果関係を問わず、最高刑は懲役20年となる。3人(+胎児)も殺して、更に7人に重軽傷を負わせた無免許の暴走族少年が、危険運転でないと裁判で決着つくのでは、被害者も遺族もたまったものではない。
 
21日、この事故で亡くなった児童引率中の妊娠中の女性(当時26才、胎児も同時に死亡)の遺族が、再度、危険運転致死傷罪に相当するとして、民事訴訟京都地裁に提訴した。当時18才の少年(現在21才)とその父親、二人の同乗者(当時大学1年と専門学校1年、共に無免許、中等少年院送致)、車の所有者の計5人に、慰謝料など損害賠償計3,300万円を請求した。亡くなった児童2名の民事訴訟もいずれ提訴されるだろう。
 
民事訴訟では、無免許運転で事故を起こした元少年の行為は改正前の危険運転致死傷罪に相当すると再度主張している。事故現場の60m手前でハンドルを切ることもスピードを落すこともできず、「運転者としての基本的な技能を欠いた」と指摘した。同乗者には無免許運転を継続させた責任、所有者には車を貸した責任、運転者の父親には監督責任をそれぞれ負うよう請求した。刑事裁判では危険運転致死傷罪を適用しないとなったが、民事裁判では、暴走族少年の行為は「危険運転であったと認められる可能性が高いと思う。無免許ながら2年以上無事故で運転を繰り返し、事故の直前まで長時間の無事故運転の実績をもって「運転技術がある」と認める根拠にする検察に対し、無免許でありながら2年以上も違法運転を続けた悪質性を根拠に「危険運転」と民事裁判で認められるか、一般人の常識が裁判に反映されるかされないかの問題ともいえる。