「舛添都知事 血税タカリの履歴」と題した記事を掲載した週刊文春が発売されて1か月もしないうちに、舛添が辞任に追い込まれた。公私混同・公金乱用、身から出た錆とはいえ、国民・都民をこれだけ見下していた男の本性が現れた1か月であった。都民がリコールするには、2か月以内に160万人の署名を集めなければならないから、実現可能性は限りなくゼロだ。都議会が不信任決議しようものなら、知事に議会解散される恐れがあり、せっかく都議になってまだ任期が1年残っているのに、解散されたら、自分の首を絞めることになる。次は自分が都議に当選しないかもしれないし、第一金がかかる。
自分をやめさせるハードルは極めて高いと知っていた舛添は、疑惑追及質問に対してかなり高飛車に出たのが間違いの始まりだ。公用車で、毎週末、湯河原の別荘に行って何が悪い。どこにいても危機管理はできている。正月に家族で泊まったホテル代を会議費と偽って国民の税金で賄っていた。正月にも会議をしたと主張し、相手は誰かときかれて「事務所関係者」と言ってみたり、「出版社社長」と言ってみたりしたが、その人物に確認取ろうとしても頑なに名を明かさない。
最初から「実は家族会議でした」と正直に謝り、政治資金収支報告書を修正して返金すれば済む(この程度のことはどの政治家もやっている)ところ、うその上塗りで自ら墓穴を掘った。それどころか、「国際政治学者」時代に自分の発言したことと、知事として今やっていることの違いがあまりにも大きすぎて、完全に信頼をなくし、国民・都民の95%以上が知事失格と烙印を押したことが、今回の辞任に追い込んだと言える。参議院議員選挙が迫っていたという特殊事情も追い打ちをかけたのだろう。舛添をのさばらしていたら、彼を推薦した自公は惨敗のはずだ。
ある大臣について、「そんなに公費で海外に行くのがうれしいのか。そもそも『せっかく大臣になったのだからファーストクラスで海外』というさもしい根性が気に食わない。」と言っていたのは、後の東京都知事だったのだ。自分の給料で払うべき性質の子どもの物でも、屁理屈を付けて公費出費する。自分が指名した第三者弁護士が「精査」したところ、「不適切」な出費が計440万円あったとの報告だが、あくまでも不適切ではあるが違法性はないと居直る。