塩崎厚生労働大臣が進めようとした受動喫煙防止対策に、大人げなく自民党が大挙して反対、ついに今国会で健康増進法改正案は不成立となった。改正案に立ちはだかったのは、自民党たばこ議員連盟。このグループは自民党国会議員280名で構成する最悪の集団だ。自民党衆参議院議員は410名いたが、先週木曜日、豊田組組長豊田真由子が、暴力・暴言を週刊誌に暴かれたため、党籍離脱に追い込まれたので409名に減った。409名のうち、280名がたばこ業界を応援しているので、自民党の喫煙応援派は66%にもなる。国民の20%しか喫煙者がいないのに、自民党議員の66%が健康増進法改正に反対なのだ。
それもすべて選挙のため。たばこ業界の組織票は、創価学会やゆうちょ関係の組織票と同じで選挙では大きな力になる。喫煙者でもないのにたばこ議員連盟に所属している者が結構いるというのだ。これぞ正に、葉巻たばこ販売数年間1,750億本に群がる利権族議員。たばこ農家、全国たばこ工作組合、全国たばこ販売協同組合などに、厳しい受動喫煙防止策を提出しようものなら、次の選挙で票は当てにできない。たばこ議員連盟に名を連ねておけばご利益はある。この議員連盟の会長は野田毅、役員には、麻生太郎、高村正彦、谷垣禎一、町村信孝、伊吹文明、石破茂、石原伸晃、岸田文雄、高市早苗などが名を連ね、要するに自民党議員の3分の2が喫煙推進派なのだからあきれてしまう。
少数派の塩崎厚生労働大臣が目指していた受動喫煙防止策は、床面積30㎡を超える飲食店は、喫煙専用室以外では禁煙とし、喫煙専用室を設ける、設けないは店の自由とする。30㎡以下のバーやスナックは原則禁煙の例外とするというもの。こんなことをされては、(喫煙者の)客が来なくなり商売が成り立たないからやめてくれという。しかし、すべての店で禁煙になるのなら、客が減るなど考えにくい。飛行機や新幹線で全面的に禁煙にしてから、乗客が減った事実があるだろうか。
喫煙者は、喫煙は個人の自由という。自民党たばこ議員連盟は「たばこを吸って人が憂いを晴らすことまで国は締めつけるのか」と文句を言う。しかし、タバコは百害あって一利なしだ。就寝中も目が覚めてタバコを吸ってまた寝るという生活をしていた先輩は、定年間もなく肺がんで亡くなった。若い頃からずっとタバコを吸い続けてきた僕の兄は、60才になり間もなくすべての歯がなくなってしまった。僕の知り合いのタバコを吸う女性の肌はしわしわだが、彼女の母親はタバコをやらず、娘より肌がすべすべしていた。習慣性があり、やめようと思っても簡単にやめられないのだから、タバコは一種の麻薬であり、危険を伴う嗜好品だ。薬物を始める者は必ずタバコから始める。